新NISAはこれまでと何が違う?法改正の詳細
更新日:2024.07.12ビジネス豆知識NISAは、2024年に現行制度から新制度への移行が予定されています。金融庁の発表によれば、法改正の主な目的は、成長資金の供給拡大や家計の安定的な資産形成の推進です。すでにNISAを利用している、または、新NISAの利用を検討中であれば、何が変わるか気になるところでしょう。そこで今回は、これまでのNISAと新NISAの違いなど、法改正の詳細についてご紹介します。
目次
これまでのNISAと新NISAの違い
2024年以降に導入予定の新NISAは、現行制度の大幅な拡充および恒久化が大きな特徴です。以下では、新制度の主な変更点や現行制度との違いをご紹介します。
新NISAの主な変更点
金融庁の資料によると、新NISAの主な変更点は以下の5つです。
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用可
- 上記投資枠における非課税保有期間の無期限化
- 同上投資枠の口座開設期間の恒久化
- 2つの投資枠ともに年間投資枠の金額拡大
- 投資枠全体の非課税保有限度額拡大
新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠が用意され、併用が可能になる見通しです。また、いずれの投資枠も非課税保有期間と口座開設期間に制限は設けられず、年間投資枠と非課税保有限度額は拡大される予定になっています。
参考:金融庁「新しいNISA」(参照2023-10-09).
現行制度と新NISAとの違い
現行制度と新NISAとの違いは、各投資枠の併用の可否や非課税保有期間・口座開設期間の制限の有無です。現行制度は、「つみたてNISA」と「一般NISA」に分けられています。この2つは選択制であり、併用できません。それぞれ非課税保有期間は20年間と5年間、いずれも口座開設期間は2023年までとなっています。
また、各NISAの年間投資枠は40万円と120万円、非課税保有限度額は800万円と600万円です。新制度は選択制でなくなり、非課税保有期間・口座開設期間の制限は外されます。
また、年間投資枠は、「つみたて投資枠」が120万円・「成長投資枠」が240万円に広がります。非課税限度枠は、2つの投資枠全体で1,800万円まで増額、そのうち「成長投資枠」は1,200万円が上限です。なお、投資対象商品は現行制度と基本的に変わらず、それぞれ「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」と「上場株式・投資信託等」に限られます。
また、対象年齢も、現行制度と同じく18歳以上です。今後、新制度を利用する場合、2つの投資枠を併用して年間で最大360万円まで投資できる点は大きなメリットでしょう。ただし、すでに現行制度で投資した商品は新制度にロールオーバー(移管)できないため、デメリットになる可能性があります。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用について
つみたて投資枠と成長投資枠の利用方法は、大きく分けると一方のみを選ぶか両方を併用するかの2パターンです。以下では、それぞれのパターンにおける新制度の内容などをご紹介します。
一方のみを選択
2つの投資枠のうち一方のみを選択した場合、年間投資枠・非課税保有限度額の上限や投資対象商品は変わってきます。つみたて投資枠の設定を見ると、年間投資枠の上限金額は120万円、非課税保有限度額は1,800万円です。成長投資枠を併用していないため、非課税保有限度額は最高額が上限になります。
投資対象商品については現行の「つみたてNISA」を引き継ぎ、長期積立・分散投資に適した投資信託に限られます。それに対し、成長投資枠の上限は、年間投資枠240万円・非課税保有限度額1,200万円です。こちらは、つみたて投資枠を併用しているかに関係なく、非課税保有限度額の上限に制限が加えられています。
投資対象商品は現行の「一般NISA」を継承し、上場株式・投資信託等と設定されています。ただし、整理・監理銘柄を含む一部の投資信託は対象外です。いずれも、非課税保有期間と口座開設期間に期限はありません。そのため、どちらの投資枠を選ぶか決める時は、年間投資枠・非課税保有限度額の上限や投資対象商品の種類が判断基準になると考えられます。
2つの投資枠を併用
新制度で2つの投資枠を併用する場合、非課税保有限度額の設定は少し複雑です。まず、2つの投資枠を併用した時、投資枠全体の上限1,800万円、および成長投資枠に対する1,200万円の制限は変わりません。ただし、一方の非課税保有額によって、残りの保有額の上限が違ってきます。
つみたて投資枠で1,000万円を非課税保有すると、全体の限度額は1,800万円のため、成長投資枠は800万円が上限になります。また、成長投資枠で1,200万円まで非課税保有した場合、つみたて投資枠の上限は600万円です。一方のみを選択する場合と異なり、各々の投資枠で限度額まで非課税保有できるとは限らないため、気をつける必要があると考えられます。
また、2つの投資枠を併用しても、それぞれ別々の金融機関で利用できません。そのため、この仕組みも注意点に挙げられるでしょう。
新NISAへの移行について
現行制度から新NISAへ移行する場合、すでに投資した商品については新制度の枠外で処理される予定です。以下では、投資済み商品の保有の可否や非課税保有期間の適用範囲についてご紹介します。
投資済み商品の保有の可否
現行制度のもとで投資した商品は、新NISAに移行した後も保有可能です。金融庁は、公式ホームページにおいて、すでに投資した商品は新制度が導入されても保有できるとの見解を示しています。つみたてNISA・一般NISAのいずれも、新制度への移行に合わせて手放す必要はありません。
また、そのまま保有する考えがない場合、任意のタイミングで売却することも自由です。制度上は新NISAに変わっても、保有中の商品は所有者本人の意思で自由に取引できます。投資済みの商品を保有するか売却するかは、法改正に伴う制度変更に関係なく、任意で決められます。
非課税保有期間の適用範囲
新NISAの非課税保有期間が適用される範囲は、新制度の導入以降に投資された商品です。すでに保有済みの商品については、現行制度の仕組みが反映されます。新制度の場合、非課税保有期間は無期限となっています。つみたて投資枠と成長投資枠のいずれを利用、あるいは併用しても、投資した商品を非課税で保有する期間は制限を受けません。
それに対し、現行制度は、非課税保有期間に期限が設けられています。つみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間です。どちらかのNISAで投資済みの商品を保有している場合、投資する時に利用したNISAの期限が適用されます。つみたてNISAで投資した商品は、新NISAに移行した後も、現行制度にもとづき非課税で保有できる期間は20年間になります。
対象商品を保有している間に新制度が導入されても、非課税保有期間は20年間から無期限へ変更されません。そのため。これから現行制度の利用を検討している場合も、新NISAの仕組みへロールオーバー(移管)できない点は注意する必要があるでしょう。なお、「ジュニアNISA」で投資した商品は、これまで通り非課税期間に関係なく18歳になるまで非課税措置を受けられます。
また今回は、法改正に伴う利用者の負担を軽減するため、自動的に移管手続きが進められると説明されています。これから新NISAが導入されると、現行制度との違いに困惑するかもしれません。その際、保有済み商品の取扱いについては、金融庁の公式ホームページなどで詳細を確認できます。現行制度・新制度の仕組みや違いに不明点がある時は、早めにチェックしておくことをおすすめします。
参考:金融庁「2024年からNISA制度が変わります!」(参照2023-10-09).
この記事を読まれている方へのオススメ
>>つみたてNISAとは?メリットや注意点
>>副業をしている会社員向け|年末調整を徹底解説!
>>人気のNFTとは?注目を集める背景と基礎知識
最新記事 by 電話代行サービス株式会社広報部 (全て見る)
- やってはいけない電話のガチャ切り|正しい電話の切り方を解説 - 2024年11月22日
- 電話の取り次ぎが業務効率に与える影響と改善策 - 2024年11月20日
- 【例文付き】信頼度UP!取引先への電話の折り返しマナー - 2024年11月18日