スタートアップとベンチャーの違いとは?
更新日:2023.01.18ビジネス豆知識「スタートアップ」と「ベンチャー」は、いずれも明確な定義がなくビジネスシーンで混同されやすい表現です。ただし、言葉の由来や主な特徴には違いがあります。それぞれの特徴などを理解すれば、いずれのスタイルで起業するか検討する時に役立つでしょう。そこで今回は、「スタートアップ」と「ベンチャー」の由来や特徴、それぞれの違いをご紹介します。
目次
「スタートアップ」とは
ビジネスの場において「スタートアップ」は、一般的に創業2~3年の企業です。いまのところ明確に定義されていませんが、短期間で急成長しているケースが多く見られます。以下では、言葉の由来・現在の定義や特徴をご紹介します。
言葉の由来・現在の定義
英語の「startup(スタートアップ)」は、「開始」や「起動」の意味をもつ言葉です。そこから派生し、米国のビジネスシーンでは新興企業を意味する使い方も加わります。ただし、当初は、主に「新しく設立されたばかりの企業」を指していました。
もともと創業から間もない企業を意味するスタートアップは、米国のシリコンバレーで登場した使い方です。シリコンバレーはIT企業が集中する地域であり、スタートアップの多くはIT関係の企業を指す傾向があります。さらに、先進的な分野で短期間のうちに急成長するケースも少なくありません。
これらの特徴から、現在のスタートアップは「革新的なアイデアや最先端技術で短期間に成長を遂げる企業」と定義されることが多い傾向にあります。
スタートアップの主な特徴
スタートアップの主な特徴は、事業分野・技術面の革新性および成長するスピードの速さです。近年、スタートアップと呼ばれる企業は、これまでにない新たな事業分野を手がける傾向が見られます。同時に、業務の現場では革新的な技術を導入するケースが珍しくありません。
革新的な技術を用いながら新規事業を展開した場合、競合他社が存在しない市場を開拓できる可能性があります。ライバル企業と競争せずに済めば多くの利益を得やすくなるため、スタートアップは短期間で急成長するケースが多く見られます。
国内外の現状
現在、スタートアップを取り巻く環境は、日本と海外で大きな開きが生じている状況です。日本のスタートアップが抱える課題としては、資金調達の問題が挙げられます。海外の先進国に比べると、国内で起業する時に提供される資金の規模は著しく低いと指摘されています。
日本経済新聞の調査によれば、米国で起業時に提供される資金の規模は日本の約100倍です。日本は米国などに比べると資金提供が小規模であり、政府は支援策の強化に力を入れています。
ベンチャーとは
ビジネスシーンにおける「ベンチャー」は、一般的に「新規事業を展開する創業から間もない」企業です。「スタートアップ」と同じく明確な定義はありませんが、以下では基本的な定義・言葉の由来や主な特徴をご紹介します。
基本的な定義・言葉の由来
「ベンチャー」は基本的に「成長過程の企業」を指し、「フットワークの軽い中小企業」や「スモールビジネスを手がける新企業」など幅広い意味で使われています。
ベンチャーは、英語の「adventure(アドベンチャー)」に由来する言葉です。「アドベンチャー」には「冒険」や「投機」の意味があり、そこから「成長過程にある新しい企業」を指す和製英語「ベンチャー」が生まれたと説明されています。
具体的な定義については、かつてベンチャービジネスについて論じた日本の書籍のなかで示されました。その経緯から、新しい企業を意味する「ベンチャー」は英語に由来した日本生まれの造語と理解されています。なお現在、ベンチャービジネス全般は英語でも「venture(ベンチャー)」と表現され、起業家は「venturer(ベンチャラー)」が使われています。
ベンチャーの主な特徴
ベンチャーの主な特徴は、既存の企業が着手していない新しい分野の事業を手がけるところです。また。創業から間もなくスモールビジネスを展開する傾向も見られます。既存の企業の場合、経営状態が安定している時は現状を維持する必要があります。新規事業を展開する際は、経営悪化を招かないか顧客ニーズの有無や競合他社について事前の分析・調査が不可欠です。
それに対し創業したばかりの企業の多くは、既存の企業と異なり現状維持を強く意識する段階にありません。ベンチャーの場合、この利点を活かし未開拓の事業分野へ積極的に挑戦する特徴があります。ただし、起業した時点から大規模に事業展開することは難しく、経営が軌道に乗るまではスモールビジネスにとどまるケースが多く見られます。
ベンチャーの成長ステージ
ベンチャーの成長ステージは、大きく分けると「シード」「アーリー」「エクスパンション」「レーター」の4段階です。最初の「シード」は、商品開発が継続中であり商業上の事業展開が不十分な初期段階を指します。次の「アーリー」は、商品の製造・販売やマーケティング活動が本格的に開始された段階です。
3番目の「エクスパンション」は、商品の出荷作業が進むなか販売個数や在庫が増える段階に該当します。最後の「レーター」は、企業の運営資金が円滑に流れる状況にあり、未公開株の新規上場を見込める最終的な成長段階です。ベンチャーは以上の4ステージを進むにつれて事業規模が大きくなり、経営状態は安定すると考えられています。
スタートアップとベンチャーの違い
スタートアップとベンチャーとの主な違いは、事業分野・技術面における革新性の有無や成長スピードの差です。以下では、具体的な違いについてご紹介します。
革新性の有無
事業分野や技術面において革新性を有しているといわれる企業は、スタートアップです。スタートアップは、この用語がシリコンバレーで登場した当時は「創業したばかりの新しい企業」を意味していました。ただし現在は、事業分野・技術面の革新性が主な特徴に挙げられています。
一方、ベンチャーは、企業で手がける事業内容や現場業務で用いる技術が革新的とは限りません。新しい事業を展開するところはスタートアップと共通しますが、既存のビジネスモデルをベースにしているケースも少なからず見られます。そのため、事業分野・技術面における革新性の有無は、スタートアップとベンチャーを区別する大きな違いになっています。
成長スピードの差
企業が成長するスピードの差も、スタートアップとベンチャーを分ける違いの一つです。スタートアップは、新規事業を展開した時、革新性の高さにより新たな市場で大きな需要を生み出しやすい特徴があります。起業から間もない企業も多大な利益を上げられる可能性は十分にあり、短時間で急成長を遂げるケースが目立ちます。
ベンチャーの場合、既存の企業が手がけていない新しいビジネス領域に挑戦する姿勢が特徴的です。起業家は、失敗のリスクを恐れず新規事業に取り組む傾向がある一方で、成長スピードは緩やかになる場合が多く見られます。そのため企業の成長スピードを比べた場合、ベンチャーよりスタートアップのほうが急成長する可能性は高いと考えられています。
現在、スタートアップに対する国内の支援体制は海外ほど大規模ではありませんが、政府は資金提供の強化・拡充に積極的です。今後、革新的なアイデアによる起業を検討しているなら、スタートアップを選択する価値は小さくないでしょう。
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