社員のヘルスケアを重視する「健康経営」とは?

2020.06.01ビジネス豆知識
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最近は人手不足に悩む企業が多く、従業員は大切な戦力です。長く働いてもらうには、健康管理を怠れません。その重要性を認識し、従業員のヘルスケアを企業の経営課題のひとつとして捉える姿勢が「健康経営」の考え方です。ただ詳しい中身については、不明点を持つ方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、健康経営の概要や従業員が健康を損なうデメリット、ヘルスケア関連の助成金などをご紹介します。

従業員の健康状態

 

健康経営の概要

健康経営とは、従業員の健康管理を企業の経営課題と考える運営スタイルです。職場の経営管理と健康管理を統合し、個々の健康増進を業績につなげるため戦略的に取り組みます。

 

健康経営の目的

健康経営の主な目的は、職場の生産性向上です。この経営方法により従業員の定着率が安定すれば、企業価値も高まると期待されます。

現在、国内の少子化傾向が止まらないなか労働力不足は深刻な問題です。多くの企業では人材確保が難しく、それぞれの職場は十分な人手が得られなくても生産性の向上を求められています。

厳しい現状のもと、業績アップに欠かせないと重視され始めた要素が従業員の健康状態です。心身ともに健康的であれば仕事に対するモチベーションや集中力は増し、生産性の上昇につながると考えられています。

従業員の健康に配慮した際、さらに期待される点が職場への定着率の上昇です。健康的に働ける労働環境と評価され従業員の多くが職場に定着すると、企業イメージもよくなると見込めます。

企業価値が高まれば、収益は上がり運営資金も潤うでしょう。従業員の健康管理に多少なりともコストはかかりますが、将来への投資と考えることが重要です。

 

いま注目される社会的背景

いま健康経営が企業から注目される主な社会的背景としては、労働人口の減少と長時間労働の常態化が挙げられます。

労働人口減少の大きく影響している要因は、上述した通り少子化問題です。さまざまな職場では、人手不足に対処するため定年の延長あるいは外国人労働者の採用をこれまでになく積極的に進めています。

ただ以前ほど新人を補充できないため若手育成は滞りがちであり、外国人労働者は言葉の壁により職場だけでなく私生活でも苦労が絶えない状況です。企業によっては数々の問題を抱え、経営難に追い込まれるケースも見られます。

労働人口減少のため、とくに問題視されている現象が長時間労働の常態化です。労働者全体の人数が少ないため従業員1人あたりの仕事量は増加し、結果的に時間外労働を余儀なくされる事態が多発しています。

総じてサービス残業によるストレスの蓄積は見過ごせるレベルでなく、過労による心身の負担の重さが大きな健康被害を引き起こすリスクもあると目に見えて明らかになってきました。

これらの社会的背景から、たくさんの企業では貴重な戦力である従業員に働きやすい職場環境を提供するため健康経営に取り組んでいます。

 

従業員が健康を損なうデメリット

従業員が健康を損なうデメリットは、体調不良のまま働き続けることで作業効率の低下や辞職を招いてしまう負の連鎖です。そんな不健康経営と呼ばれる状況が慢性化すると、職場や企業のイメージ低下にもつながります。

 

無理すると辞職する事態も

体調が優れないまま働くと、ほとんどの従業員はいつも通りモチベーションや集中力を高められません。頑張りたいと思っても自然に作業効率は落ち、仕事は予定より遅れる傾向にあります。

責任感の強い従業員は、体調に関係なく何とか遅れを取り戻そうと考えるでしょう。ただ無理しても、休息を取らないと簡単には体調の改善を見込めません。健康管理を怠っている限り、普段のペースで業務を進めるのは困難でしょう。

それでも仕事していると、心身ともに疲労は蓄積するばかりです。体調がさらに悪化すれば遅刻や早退は増えると考えられ、場合によっては勤務を継続できず辞職を避けられなくなる可能性もあります。

人手不足のなか従業員の離職により現場の戦力を欠くことは、企業にとって大きな損失と考えられます。

 

不健康経営により企業価値は低下

無理な勤務が辞職につながる負の連鎖は、一時的な問題で終わる保証はありません。注意しないと、従業員の健康に配慮しない不健康経営が職場で慢性化する恐れもあります。

誰かが職場を離れた場合、かつては新たに人員を雇うのが一般的でした。昨今は新人募集しても必要なだけの人員を確保するのは容易でなく、離職者の抜けた穴を埋められないケースが生じています。予算的に厳しいと、新人を補えない場合もあります。

いずれにしても人手が足りなければ、離職者の穴埋めは残っている従業員で引き受ける必要があります。個々の従業員に任される仕事量はこれまで以上に多くなり、ますます心身への負担は重くなります。

体調が思わしくなくても、のんびり仕事を休んでいる場合ではなくなるでしょう。職場に健康面を考える余裕がなくなり次々に無理する従業員が出てくれば、不健康経営が慢性化します。

不健康経営で従業員の離職が止まらなくなると生産性は落ち、収益増進は望めません。労働環境もよくない場合、職場のイメージも含めて企業価値は低下すると考えられます。

 

ヘルスケア関連の認定制度や助成金

企業による健康経営の推進には、政府も協力的です。経済産業省は望ましい健康経営を実施する企業を健康経営優良法人ならび健康経営銘柄に認定する制度を導入し、厚生労働省は複数の助成金制度を用意しています。

 

経済産業省による認定制度

経済産業省による政策のうち健康経営優良法人の認定制度とは、従業員の健康管理に経営的な視点から取り組む企業を、社会的に評価する環境づくりが主要目的です。企業が同省の規定する基準を満たす場合、健康経営優良法人(ホワイト500)と認められます。

認定基準は、経営理念、組織体制、制度・施策実行、評価・改善、法令遵守・リスクマネジメントの5項目です。企業が認定を受けるには、各項目に関わる健康面の課題を積極的かつ効率的に解決していく必要があります。

戦略的な手法で課題をクリアした企業は健康経営優良法人のロゴマークを利用でき、金融機関からの融資や自治体の公共調達で優遇措置を受けられます。

健康経営銘柄の認定制度も、従業員の健康管理に経営面から尽力する企業を評価する政策です。経済産業省と東京証券取引所が共同しながら、企業の選定作業を進めています。認定企業は健康経営優良法人より少なく、ハードルの高さが特徴的です。

 

厚生労働省による助成金

厚生労働省による助成金には、時間外労働等改善助成金、業務改善助成金、人材確保等支援助成金、受動喫煙防止対策助成金があります。

時間外労働等助成金は、時間外労働の上限設定や短縮に努める企業が対象です。残業を避けながら生産性向上を実現する事業主を助成し、中小企業における労働時間の改善を目指しています。

業務改善助成金の主な目的は、最低賃金アップと生産力向上の支援です。これらの課題を解決する目的で企業が資金を投じると、費用の一部を援助してもらえます。

人材確保等支援助成金は、雇用管理体制の改善により人材の確保・定着を図ると支援を受けられる助成金です。具体的な改善点としては、健康づくりを中心とした処遇制度や研修制度の導入が示されています。

受動喫煙防止対策助成金の支援対象は、従業員の受動喫煙を防ぐため必要な施設を整えた企業です。職場に分煙室や喫煙室を設置すると、費用の助成を受けられます。

 

企業の健康経営が実現した際には、生産性や企業イメージの向上はもちろん従業員の離職率の改善や医療費負担の軽減も期待できます。政府の認定制度や助成金を有効活用し、大切な従業員の健康管理に役立てて下さい。

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