コールセンターのテレワーク化が進まない理由とは
更新日:2023.10.23コールセンター近年、働き方改革の一環や、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策として、さまざまな業界で積極的にテレワーク化が進められています。しかし、コールセンターに関しては、セキュリティ面に大きな問題があるため、テレワーク化が難しいといわれています。テレワークが導入されれば、人材を確保しやすくなると考えられるため、人手不足に悩まされている企業にとっては大きなメリットとなるでしょう。そこで今回は、コールセンターでテレワーク化が進まない理由や、テレワークを導入するメリット、導入時に必要な対策などをご紹介します。
目次
コールセンターでテレワーク化が進まない理由
コールセンターでテレワーク化が進まない主な理由は、情報漏洩のリスクが高いためです。導入のメリットが明瞭でないため、スムーズな業務進行が難しいと指摘する声も聞かれます。
情報漏洩のリスクが高い
コールセンターがテレワーク化を進めるうえで、情報漏洩の問題は大きな課題になっています。最近のコールセンターでは、業務関係で取り扱っている顧客情報が多種多様です。お客様の氏名、住所や連絡先だけでなく、商品の販売時に代金が振り込まれる銀行口座の情報を預かっている場合もあります。
これらの個人情報が外部に流出すれば、職場の信頼失墜につながる問題になるでしょう。テレワーク化で各種情報が職場外に持ち出された場合、情報漏洩のリスクは高まると考えられます。セキュリティ対策の難しさは、コールセンターのテレワーク化が進まない理由のひとつといえるでしょう。
導入のメリットが不明瞭
コールセンターでは、テレワーク化するメリットが不明瞭であることも導入が進まない理由になっています。テレワークの導入は、すべての業務にメリットをもたらすわけではありません。とくに接客関係の仕事は、テレワークが適さないといわれる職種の代表例です。
コールセンターも、テレワークの導入にメリットがあるか疑問視する意見が少なからずあります。実際、総務省の調査では「導入のメリットが分からない」との回答は2割近くに達しました。テレワーク導入のためには、企業全体に理解を求める必要があるといえるでしょう。
スムーズな業務進行が難しい
テレワーク化によるスムーズな業務進行の難しさも、多くのコールセンターで導入を見送っている理由のひとつです。通常、コールセンターには幅広い用件で電話がかかってきます。すぐオペレーターが適切に対処できるとは限らないため、円滑に業務を進めるには上司やスーパーバイザーによるフォロー体制が不可欠です。
在宅勤務が導入されると、管理者による日常的な通話記録のチェックは難しくなります。通話中に何かトラブルが起きた時も、速やかに対処することが困難になってしまうでしょう。コールセンターがテレワーク化すると、業務の品質管理やトラブル対応が難しくなるため、導入を断念している企業も多いようです。
テレワーク化によるメリットとは?
コールセンターのテレワーク化で期待されている主なメリットは、人材不足の解消です。最近は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、在宅勤務を希望する声も増えています。
テレワーク導入で人材不足を解消
人材不足の解消は、テレワーク導入がコールセンターにもたらすと考えられている大きなメリットです。以前からコールセンターでは、クレーム処理の難しさなどもあり人材不足は重要な課題になっていました。いまは少子高齢化の流れが止まらない影響もあり、今後はさらに人手は確保しにくくなると考えられます。
そんな状況を打開する方法として、テレワークの導入は有効です。オペレーターが在宅勤務できれば、通勤距離を気にする必要はありません。たとえば子どもや高齢者のいる家庭の場合、在宅勤務で家族の世話を続けながら勤務できれば仕事を続けやすくなるでしょう。テレワーク化でオペレーターが多様な働き方を選べるようになれば、コールセンターも人材を確保できる可能性は高まると考えられます。
在宅勤務で新型コロナウイルス対策
テレワーク導入で在宅勤務が可能になると、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策にも効果的です。現在、新型コロナウイルスの感染状況は、地域や季節により多少の違いが見られます。とはいえ、少しでも感染拡大のリスクを抑えるなら混雑した場所への外出は望ましくありません。
通勤時、大勢の乗客で混み合う電車やバスを使うと、感染リスクは高まります。出社後も、多くの従業員が同じ職場内で一緒に働けば感染を防ぐのは難しくなるかもしれません。在宅勤務なら、自宅を出ることなく勤務に臨めます。通勤に伴い混雑した場所へ足を運ぶ必要はなくなり、感染拡大を気にせず落ち着いた気持ちで仕事を始められるでしょう。
コールセンターの場合も、テレワーク化は通勤時や職場での感染拡大を防ぐのに有効です。在宅勤務で感染リスクが下がり仕事に対する従業員の集中力が高まれば、さらにメリットは増すと考えられます。そもそもテレワークは、通勤ラッシュによるストレスを減らすのに効果のある勤務スタイルです。新型コロナウイルスの感染リスクを別としても、従業員の負担軽減にはおすすめの選択肢といえます。
実際にテレワークを導入するなら
実際にコールセンターが職場でテレワークを導入する場合、情報漏洩を防ぐとともに業務を円滑化する工夫などが不可欠です。
情報漏洩を防ぐには
オペレーターがテレワークする場合、情報漏洩を防止するにはセキュリティ面の整備を怠れません。理想としては、在宅勤務でも職場と同レベルのセキュリティ対策が望まれます。ただ自宅は基本的にプライベート空間であるため、会社に比べると万全を期すのは難しくなります。
それでも近年は、通信技術の進歩により情報漏洩を防ぐのに効果的な方法が増えてきています。たとえば、オペレーターのパソコン画面を録画することでセキュリティ面の安全性は確保する方法です。個々のオペレーターが情報を安全に管理するのは簡単ではないため、企業が管理体制を整えることが重要です。
業務を円滑に進めるには
コールセンターがテレワーク化した際、少しでも業務を円滑に進めるには、コミュニケーションツールの活用が有効です。近年は、コミュニケーションツールの発達により、企業と従業員間の連絡が取りやすくなってきています。コールセンターもさまざまなツールを活用することで万一勤務中にトラブルが起きた時も、スムーズな対処が期待できます。
コミュニケーションツールは、多彩な機能や種類がそろっています。テレワークの導入時には、職場のニーズに合ったタイプを選ぶとよいでしょう。
お客様からの信頼獲得も必須
コールセンターでテレワークを導入する際は、お客様からの信頼獲得も必須です。テレワークの導入は、職場や従業員に多くのメリットをもたらすと期待できます。一方、お客様からはオペレーターが在宅勤務するのを歓迎しないとの声も聞かれます。
コールセンターの在宅勤務がお客様から不評である主な要因は、情報漏洩のリスクの高さや通話時の騒がしさです。とくに生活音により会話が遮断されてしまった場合など、不快に思われる可能性は高いでしょう。お客様の信頼を保ちつつテレワーク化を進めるためには、企業によるセキュリティ対策の充実と、オペレーターが静かな環境で業務できるような場所の確保が大切です。
現在、コールセンターのテレワーク化を検討中の企業は、オペレーターの自宅周辺の騒音事情も確認しておくとよいでしょう。
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