管理業務主任者のキャリア|資格試験や年収について

更新日:2024.08.01業界関連情報

管理業務主任者のキャリア|資格試験や年収について

管理業務主任者は、比較的新しい国家資格です。そのため、今後は給与面の手当てなどが充実すると見込まれています。しかし、資格の取得を検討している場合、新しい国家資格ゆえの不明点も多いでしょう。そこで今回は、マンション管理士との違いや資格試験の概要を解説し、資格取得のメリットや勉強方法・勉強時間、資格取得後のキャリアなどをご紹介します

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資格の概要

管理業務主任者 資格の概要

管理業務主任者は、マンションの管理業務をマネジメントする職種です。国の定める資格試験に合格すると、国家資格を得られます。以下では、管理業務主任者の業務や資格試験について概要をご紹介します

管理業務主任者とは/マンション管理士との違い

管理業務主任者は、マンションを管理する各種業務のマネジメントを担当する専門家です。国土交通省による概要では、「マンション管理を委託された際、受託契約の重要事項を説明する立場にある者」と位置づけられています。また、受託した管理業務の実施状況をチェックし、管理組合などへ事務報告する役割も担います。

それに対し、マンション管理士は、マンション管理の指導やサポートを専門的に手がける職種です。具体的には、マンションの管理規約や修繕計画を策定するほか、入居者からの相談などに応じます。実際の業務内容をふまえた場合、マンション管理士はマンションの管理・運営を援助するのに対し、管理業務主任者はマネジメントを専門とする点が特徴的です。

管理業務主任者 マンション管理士
専門分野 マンション管理のマネジメント マンションの管理・運営を援助
業務内容 管理受託契約に関する重要事項の説明
受託した管理業務の実施定命を確認
管理組合などに対する管理関係の事務報告
マンション管理規約の作成
修繕計画の策定
管理組合・入居者の相談対応

資格試験の試験日程

管理業務主任者試験は、国土交通省の管轄のもと一般社団法人マンション管理業協会が実施する資格試験です。国土交通省の資料には、2024年度の試験日程について次の通りに示されています。

  • 申込 期間 :(郵送)2024年8月1日(木)~8月30日(金)
    (ネット)同年8月2日(金)10時頃~9月30日(月)23時59分まで
  • 試験日・時間:2024年12月1日(日)・13時~15時
  • 合格 発表 :2025年1月10日(金)

なお試験結果は、マンション管理業協会のホームページや個人用ページに掲示される予定です。

一般社団法人マンション管理業協会 「令和6年度管理業務主任者試験の実施について」 (参照 2024-08)

免除科目について

管理業務主任者試験を受験する場合、マンション管理士試験に合格していると、試験問題が一部免除されます。マンション管理業協会によれば、免除となる出題範囲は、「マンション管理の適正化の推進に関する法律に関すること」の5問です。具体的には、「マンション管理の適正化の推進に関する法律」や「マンション管理適正化指針」が該当します。

以上の内容が免除されると問題数は全45問になり、試験時間は13時10分~15時に変わります。

一般社団法人マンション管理業協会 「令和6年度 管理業務主任者試験」のQ&A」 (参照 2024-08)

合格者数や合格率の推移

管理業務主任者試験の合格者数は、ここ数年の試験結果を見る限り、3,000~3,500人ほどです。また、合格率は、20%前後になっています。マンション管理業協会の報告を見ると、過去5年の合格者数(合格率)は、以下の通りです。

  • 2023年度:3,208人(21.9%)
  • 2022年度:3,065人(18.9%)
  • 2021年度:3,203人(19.4%)
  • 2020年度:3,739人(23.9%)
  • 2019年度:3,617人(23.2%)

合格者数は年によって100~500人ほど増減していますが、合格率は約2割を維持しています。2023年度の内訳を示すと、受験者数14,652人のうち3,208人が合格しています。最少年齢は17歳・最高年齢79歳で幅広い年齢層が受験しています。ここ数年はいずれも近い数値であり、男女別の合格率は大差がなく幅広い年齢層が合格していると理解できます。

一般社団法人マンション管理業協会 「令和5年度 管理業務主任者試験 結果報告」 (参照 2024-08)
一般社団法人マンション管理業協会 「令和4年度 管理業務主任者試験 結果報告」 (参照 2024-08)
一般社団法人マンション管理業協会 「令和3年度 管理業務主任者試験 結果報告」 (参照 2024-08)
一般社団法人マンション管理業協会 「令和2年度 管理業務主任者試験 結果報告」 (参照 2024-08)

難易度

管理業務主任者試験の難易度は、比較的に低いと見てよいでしょう。国家資格の場合、資格試験の合格率は1割~3割にとどまる傾向があります。また不動産関係の資格試験に目を向けると、たとえばマンション管理士は、過去2年間の合格率が10.1%(2023年度)と11.5%(2022年度)でした。これらの数字をふまえた場合、管理業務主任者試験は合格率が約2割であり、他の資格に比べて難易度は高くないと考えられます。

公益財団法人マンション管理センター  「令和5年度マンション管理士試験の結果について 」 (参照 2024-08)

資格取得に向けて

管理業務主任者 資格取得に向けて

管理業務主任者の資格は、就職で有利になるなど、様々なメリットが期待できます。ただし、資格を取得するには計画的な勉強が必要です。以下では、この資格に見込めるメリットや資格取得に向けた勉強方法をご紹介します

管理業務主任者の資格取得のメリット

管理業務主任者の資格を取得した場合、就職で有利になりやすく、キャリアアップにも役立つところが大きなメリットです。マンションの管理業務は多岐にわたり、管理業務主任者でなければ扱えない独占業務も存在します。有資格者は通常業務から独占業務まで幅広く手がけられるため、不動産関係の就職で有利になると期待できます。また、管理業務主任者の資格を活かして多くの業務経験を積めば、昇進や転職・独立につながるでしょう。

勉強方法

管理業務主任者の資格取得に向けた勉強方法は、独学・通信講座・予備校などが代表的です。一般的に資格試験は出題範囲が広く、計画性をもって勉強する必要があるといわれています。独学はペース配分が簡単でなく、資格試験の初学者には不向きとの声が多く聞かれます。初学者が計画的に勉強するなら、通信講座や予備校を活用するとよいでしょう。おすすめといわれるのは、アガルート・タック・フォーサイトなどです。

必要な勉強時間

資格試験を受ける際、必要とされる勉強時間は、1週間あたり20時間が目安といわれています。1週間20時間のペースを守ると、年間の勉強時間はトータルで約1000時間になる計算です。日々の勉強を継続し、1年で1000時間ほど勉強すれば、ストレート合格を目指せるといわれています。なお、資格の難易度によって必要とされる勉強時間は変わってきます。

資格取得後のキャリアについて

資格取得後のキャリアについて

管理業務主任者の資格を取得した後のキャリアは、不動産関係の会社への就職をはじめ多種多様です。以下では、資格取得後の仕事内容・平均年収・待遇面の利点などをご紹介します。

仕事内容

管理業務主任者の資格は、マンション管理に関わる専門的な仕事で活かせるといわれています。国土交通省の定めによれば、マンション管理業を手がける場合、法的義務として管理業務主任者を設置しなければなりません。そのため、有資格者は、マンション管理会社や不動産会社への就職で有利になる傾向が見られます。

また、管理受託契約に関する重要事項の説明・重要事項説明書の記名・管理受託契約書の記名・管理組合への管理事務の報告は、管理業務主任者の独占業務です。いずれの業務も、有資格者のみが担当できます。そのため、管理業務主任者の仕事は専門性が高く、有資格者は大きな責任感を求められる特徴があります。

年収や資格を持っていることでの待遇UP

管理業務主任者の年収は、300万~500万円が平均とされる金額です。年収を増やす方法としては、昇進や独立によりキャリアアップするケースが一般的でしょう。また、資格を有することで、就職時から給与面の待遇がよくなる状況も期待できます。管理業務主任者は、設置義務や独占業務の関係からマンション管理会社や不動産会社で需要が大きく、収入面で好待遇を受けられる可能性は高いと考えられます。

実際に働いてみた人の声

実際にマンション管理会社などで働く人からは、「仕事がきつい」と訴える意見とともに、「やりがいを感じる」との声も聞かれます。マンションでは、騒音などをめぐり、入居者の間でトラブルが発生するケースは少なくありません。問題解決のため管理業務主任者が関与する場合もあるため、「仕事がきつい」と感じてしまう方が多いようです。

それでも、速やかに解決へ導けば入居者や管理組合に感謝されることがあり、このような場面では「やりがいを感じる」方も多いといいます。また、重要な独占業務を任されるところも、大きなやりがいの一つに挙げられるでしょう。管理業務主任者はやりがいが大きいといわれる仕事であり、就職の際も収入面などで待遇アップが期待できる仕事です。今後のキャリアアップを目指すなら、資格を取得する価値はあると考えられます。

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