アメリカで弁護士資格を取得するには?

更新日:2023.04.13業界関連情報

六法全書とハンマー

日本人でも、アメリカで資格を取得して弁護士を目指すことは可能です。ただし、アメリカの弁護士資格は州ごとであったり、受験にはロースクールの学位が必要だったりと、日本と異なる点があるため注意しましょう。こちらでは、日本とアメリカの弁護士資格の違いや、アメリカで弁護士資格を取得する方法についてお伝えします

日本とアメリカの弁護士の違い

アメリカの弁護士資格の大きな特徴は、連邦レベルの弁護士資格がないことです。取得する場合は、州ごとの資格を得ることになります。ひとつの州で弁護士資格を取得しても、ほかの州で弁護士業務を行うことはできません。

アメリカの司法試験は、日本の試験に比べると難易度が低いといわれています。しかし、司法試験の難易度が低めだからといって、アメリカの弁護士のレベルが低いわけではありません。弁護士になってからの競争が激しく、優秀な弁護士でないと生き残れないからです。アメリカで弁護士として活躍するには、試験よりも実務での実力が必要とされます。

また、日本にいる弁護士は3万人弱ですが、アメリカには100万人以上の弁護士がいるといわれています。日本よりも起訴が行われやすいアメリカでは、弁護士の数も非常に多いのです。ただし、アメリカでは日本なら隣接法律職の方が行う業務の多くを弁護士が行っているため、弁護士の数が多いという面もあります。

さらに、アメリカの弁護士は日本の弁護士よりも専門分野に特化しているという特徴もあります。日本の弁護士であれば、得意な分野はあっても、基本的にどの様な依頼にも対応可能です。しかし、アメリカでは専門分野が明確に決まっている弁護士が多く、ほかの分野には詳しくないことも多くなります。日本とアメリカの弁護士業務には異なる点も多いため、アメリカで弁護士を目指す際は注意して下さい。

アメリカで弁護士になるには

アメリカの弁護士資格は州ごとに分かれており、試験の受験資格や合格基準は各州当局によって異なるため、注意が必要です。資格を取得したい州の条件を確認しておきましょう。

ただし、多くの州に共通する基準はあります。アメリカで弁護士を目指す方は、アメリカ法曹協会が認定するロースクールでジュリス・ドクターの学位を取得するのが一般的です。例外として、英米法系の国で同様とされる法学教育を受けた方には、ロースクールの学位を取得しなくても受験資格が認められる場合もあります。また、非英米法系の国で法学教育を受けた場合でも、その後にアメリカのロースクールで一定の単位を取れば受験が可能です。

アメリカは州ごとの弁護士資格であるため、資格を取得した州以外で法律業務を行えません。しかし、他州の資格を持つ弁護士であっても一時的に他州の裁判所での弁論を認められる場合があります。また、一定の資格や経験を持つ弁護士であれば、略式の司法試験のみで自州の法曹資格を得られるケースもあります。

複数の州で弁護士資格を取得して働いている方もいらっしゃいますが、ひとつの州の資格でも、十分に弁護士として活躍可能です。

日本人がアメリカで弁護士になりたい場合

日本人がアメリカで弁護士を目指す場合は、まずロースクールに通って司法試験合格を目指すのが一般的です。

ロースクールには、JDプログラムという3年間のプログラムがあります。JDプログラムでは、1年目には民法や刑法、憲法といった法律の基礎を学び、2、3年目になると専門分野を学びます。

もしも日本で法学部やロースクールを出ていれば、LLMプログラムを受けて、3年かからずに受験資格の取得が可能です。LLMプログラムは2セメスター制のプログラムで、9カ月ほどで卒業できます。授業が選択しやすく、希望通りの内容を学びやすいのが魅力です。ただし、司法試験を受験するためには、一定の要件があるため、基準を満たす様に授業を選択しなければなりません。

受験資格を得たら、どこの州の司法試験を受けるか決めます。受験資格は州ごとに気になるため、希望の州の条件を事前に調べておきましょう。

アメリカ司法試験の問題は、基本的な知識を問われるものが中心です。そのため、問題文をしっかり読んで回答できれば、合格できる可能性が高くなります。しかし、外国人が試験を受ける場合は、問題文を読むのに時間がかかって時間内に回答できないことも多いため、注意が必要です。TOEIC900点ほどの英語力があっても、問題文を読みきれない方は少なくありません。アメリカの司法試験に挑戦する際は、問題文をすばやく読むトレーニングをしておくことをおすすめします。

アメリカのロースクールに入学する前にやっておくこと

アメリカで弁護士資格取得を目指す際は、留学前にロースクールに通った経験がある方や、米国司法試験を受けたことがある方から情報収集しておきましょう。実際にアメリカで弁護士を目指した経験がある方に話を聞くことで、実用的な情報を得られます。

また、Webサイトで調べる場合は、日本語の情報だと現状を反映していない可能性があるため、受験の際は気をつけて下さい。情報はアメリカのWebサイトから直接得る様にしましょう。

ほかには、アメリカの法制度や法律情報を勉強しておくのもおすすめです。外国人がアメリカの法律制度を学ぶのに最適とされている本に、「アメリカ法への招待」があります。こちらは、アメリカ法を全般にわたって、正確に分かりやすく説明している書籍です。アメリカロースクール入学前の推薦図書として定番になっています。可能であれば、英語版(An Introduction to the Legal System of the United States)を読んで学んでみましょう。

ニューヨークで弁護士資格を取得する方法

ニューヨークで弁護士資格を取得する方法をご紹介します。ニューヨークは、弁護士資格取得を目指す方の中でも人気の高い州です。日本人留学生にもニューヨークで弁護士資格を取る方は多くいらっしゃいます。

ニューヨーク州の司法試験の合格点は、400点満点中266点です。試験内容は法律文書起案の試験や、連邦法に関する記述試験、全集共通の選択問題といったものになります。選択問題の割合がもっとも高く、全体の50%を占めます。

また、司法試験に合格しただけでは弁護士の登録要件を満たせないため、注意して下さい。要件を満たすには、ほかの試験に合格したり、社会貢献活動を行ったりする必要があります。

ニューヨークの場合、UBEに合格することや50時間のプロ・ボノ活動(専門知識を活かした社会貢献活動)を行うこと、MPREに合格することといった条件があります。ロースクール在学中に受験することもできるため、ぜひこれらの条件もはやめにクリアしておきましょう。

カリフォルニアで弁護士資格を取得する方法

カリフォルニアもニューヨーク同様、弁護士を目指す方に人気の高い州です。カリフォルニアの弁護士資格の基準はどの様になっているのでしょうか。

カリフォルニア州の場合、合格点は2,000点満点中1,440点になります。試験内容は、カリフォルニア州法に関する記述試験が35%、法律文書起案の試験が15%、全集共通の選択問題が50%です。

カリフォルニア州の司法試験は全米で最難関とされており、合格率は2017年7月の時点で48.9%、2018年2月の時点で27.3%になります。7月の試験はロースクール卒業直後の受験生が多く、2月が7月の試験に落ちた方が受ける場合が多いため、7月のほうが合格率は高いのです。しかし、カリフォルニア州の場合、7月の試験でも合格率は50%を切っています。カリフォルニア州の司法試験を受ける際は、ほかの州以上に対策に力を入れましょう。

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