社会保険労務士(社労士)とは?試験概要や資格取得後の流れ

更新日:2025.06.12スタッフブログ , 電話代行

社会保険労務士(社労士)とは?試験概要や資格取得後の流れ

社会保険労務士は、労働や社会保険に関する業務を幅広く手がける職種です。社労士の資格を取得した後の主な就職先としては、企業や社労士事務所が挙げられます。社労士事務所では、業務の効率化や専門業務に集中するため電話代行を導入するケースが多く見られます。資格取得後は、業務効率化の一環として電話代行の活用もご検討ください。今回は、社労士の試験概要から資格取得後のキャリアパスについて解説します

社会保険労務士(社労士)|資格の概要

社会保険労務士(社労士)|資格の概要

社会保険労務士(社労士)は、労働関係や社会保険の専門家です。さまざまな業務を通して、労働者及び企業をサポートします。

社労士とは

社労士とは、社会保険労務士法にもとづき認可された社会保険労務士の資格取得者を指します。社労士業務の主な目的は、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」です。

また、社会保険労務士は「常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない」と定められています。社労士は、上記の目的や法規定のもと、労働者の社会保険手続きをはじめ労働関係の業務を幅広く取り扱っています。

厚生労働省 社会保険労務士法 (参照 2025-05)

仕事内容

社労士の主な仕事内容は、大きく分けると次の5つです。

・労働社会保険手続き
・労務管理の相談・指導
・年金関係の相談
・労働関係紛争の解決手続き
・労働関係の補佐

社会保険労務士法によると、労働社会保険の手続きは、申請書・届出書や報告書の作成から各種書類の提出まで多岐にわたります。社労士は、一通りの手続きを労働者や企業に代わり円滑に遂行します。労務管理については、就業規則・賃金規定や雇用契約書の作成・運用をサポートする業務が中心的です。

他には、多様な雇用形態を提案したり、ハラスメント対応で助言したりするケースもあります。また、労働関係の紛争が起きた時は早期解決を促すなど、社労士の業務内容は広範囲に及びます。

厚生労働省 社会保険労務士法(参照 2025-06)
全国社会保険労務士会連合会 社労士とは (参照 2025-06)
全国社会保険労務士会連合会 社労士の仕事 (参照 2025-06)

社会保険労務士(社労士)|試験の概要

社会保険労務士(社労士)|試験の概要

社会保険労務士試験は、全国社会保険労務士会連合会試験センターが実施している資格試験です。

試験日程とスケジュール

厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会試験センターの資料によると、2025年度における社会保険労務士試験の日程は次の通りです。

申込受付期間 2025年4月14日(月)~5月31日(土)
試験日 2025年8月24日(日)
合格発表日 2025年10月1日(水)

出題形式は選択式と択一式の2つであり、試験時間は以下の通りとなっています。
・選択式:10時30分~11時50分(着席時刻:10時)
・択一式:13時20分~16時50分(着席時刻:12時50分)
試験科目は、労働や社会保険に関する8分野です。

1.労働基準法及び労働安全衛生法
2.労働者災害補償保険法
3.雇用保険法
4.労務管理その他の労働に関する一般常識
5.社会保険に関する一般常識
6.健康保険法
7.厚生年金保険法
8.国民年金法

選択式の問題は、2・3の出題範囲に、労働保険の保険料の徴収等に関する法律は含まれません。また、合格基準点は選択式と択一式及び科目ごとに設定され、合格発表日に公表される予定です。なお、合格発表の後、合格者には合格証書が簡易書留で郵送されます。

厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会試験センター 第57回(令和7年度)社会保険労務士試験受験案内 (参照 2025-06)

受験資格

社会保険労務士試験は、所定の条件を満たすことで受験可能です。具体的な受験資格としては、学歴・実務経験・試験合格・過去受験の4つが挙げられます。これら4項目のうち、いずれか1項目で所定の受験資格に該当していれば、試験を受けられます。

学歴は大学・短大や高等専門学校(5年制)を卒業、実務経験は公務員として通算3年以上にわたり行政事務に従事。試験合格は厚生労働大臣が認めた国家試験に合格、過去受験は第54回~第56回の受験票を所持などが、各項目の受験資格となります。なお、受験資格や試験方法の詳細は、全国社会保険労務士会連合会試験センターの公式サイトや問い合わせ窓口でご確認ください。

厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会試験センター 第57回(令和7年度)社会保険労務士試験受験案内(参照 2025-06)

難易度・合格率

社会保険労務士試験の合格率(2020-2024)

社会保険労務士試験の合格率は、ここ数年間の結果を見る限り5~8%前後です。
第52回(2020年度)~第56回(2024年度)の結果については、次の通りに公表されています(受験者数・合格者数・合格率の順)。
・第52回:34,845名・2,237名・6.4%
・第53回:37,306名・2,937名・7.9%
・第54回:40,633名・2,134名・5.3%
・第55回:42,741名・2,720名・6.4%
・第56回:43,174名・2,974名・6.9%

第53回~第55回の受験者数は、それぞれ前回より2,000~3,000名ほど増え、第56回も増加する流れにあります。一方、いずれの年度も合格者数は2,000人台にとどまり、合格率は1割に達していません。過去5年間の試験結果をふまえた場合、合格率は1割未満と低く、試験の難易度は高いと考えられます。

厚生労働省 第52回社会保険労務士試験の合格者発表 (参照2025-06)
厚生労働省 第53回社会保険労務士試験の合格者発表 (参照2025-06)
厚生労働省 第54回社会保険労務士試験の合格者発表 (参照2025-06)
厚生労働省 第55回社会保険労務士試験の合格者発表 (参照2025-06)
厚生労働省 第56回社会保険労務士試験の合格者発表 (参照2025-06)

社会保険労務士(社労士)|合格後のキャリア

社会保険労務士(社労士)|合格後のキャリア

社会保険労務士試験に合格後、ビジネスの場において、社労士の資格を活かせるキャリアは多種多様です。

企業の人事・労務部門でのキャリアアップ

社労士の資格は、企業の人事・労務部門でキャリアアップするのに役立つ可能性があります。通常、企業が社内業務を円滑に進めるうえで、雇用契約書や就業規則の作成は不可欠といえます。

また、従業員と良好な労使関係を築くには、働きやすい職場環境の整備も怠れないでしょう。雇用契約書や就業規則の作成・運用に関するサポートは、社労士が手がける主要な業務分野です。また、社内環境を快適化する際も、従業員のメンタルヘルスケアやハラスメント対策に法的な知識を活用できます。近年、企業で社労士の需要は高まる傾向にあり、人事・労務部門で力を発揮できる可能性は広がっています。

社労士事務所への就職・開業

社労士事務所への就職や開業は、社会保険労務士試験の合格者が選択するキャリアの代表例です。多くの社労士は、同資格を取得した後、社労士事務所を就職先に選ぶケースが多いといわれています。

主な業務は、労働や社会保険の専門家として、人事・労務関係の相談や依頼を受けることです。企業や社労士事務所で業務経験を積み重ねた後は、独立して自分の事務所を開業するケースも見られます。開業時、新規顧客の獲得は欠かせませんが、事業が成功すれば高収入につながります。

いずれにしても、社労士事務所での勤務や独立開業は、社労士の専門性が活かしやすいキャリアといえるでしょう。

コンサルタントとしての活動

コンサルタントとして活動する方法も、社会保険労務士試験に合格後の選択肢の一つです。社労士の業務範囲には、労務管理や年金関係の相談業務が含まれます。企業から、人事制度やハラスメントの問題について相談を受けた時は、コンサルタントの立場でアドバイスできます。

また、社労士の有資格者は、年金関係の悩みについても助言が可能です。労働者が年金制度の複雑な仕組みに頭を悩ませていた場合、専門家の視点から、適切にサポートを行えます。このように、社会保険労務士試験の合格者は、社労士の資格を活かして多彩なキャリアを積み上げられる可能性があります。

社労士試験のよくある質問Q&A

社労士試験のよくある質問Q&A

社会保険労務士試験を受ける時は、勉強方法や将来性について不安を感じるかもしれません。以下では、この資格試験に関する、よくある質問をご紹介します。

Q:社労士試験は独学でも合格できますか?

A:独学で社労士試験に合格することは、不可能ではありません。ただし、予備知識がない場合、相当な努力・自己管理能力や効率的な学習方法が求められるでしょう。

Q:社労士が「やめておけ」といわれる理由は?

A:試験の難易度の高さ・学習範囲の広さに加え、法改正への対応の必要性など資格取得後の仕事内容や労働環境に関するネガティブな意見があるためと考えられます。

Q:AIによって社労士の仕事はなくなる?

A:現時点でAIが得意とする分野は、定型的な業務や情報処理です。複雑な判断・顧客との円滑なコミュニケーションや柔軟なコンサルティングといった業務は、依然として社労士の重要な役割であり続けると考えられます。

社労士は業務が多岐にわたり需要は増えると見込まれますが、試験は難しいため、計画的に勉強することをおすすめします。

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