自然言語処理でコールセンター業務効率は上がる?

更新日:2023.10.23電話代行

自然言語処理でコールセンター業務効率は上がる?

自然言語とは、人間がコミュニケーションを取る時に用いる言語表現です。自然言語処理は、コンピュータによる自然言語の解析技術を意味します。最近は、AI技術の進歩もあり、コールセンターや電話代行で自然言語処理のシステムを活用するケースが登場しています。ただし、AIによる電話対応はメリットばかりでなくデメリットも伴うため、注意が必要です。そこで今回は、自然言語処理の基本的な仕組みや活用時のメリット・デメリットをご紹介します

自然言語処理の仕組み・注目される理由

自然言語処理の仕組み・注目される理由

自然言語処理は、コンピュータが自然言語で表現されたデータの意味を解析する技術です。ビジネスの場では、機械翻訳や音声対応で用いるケースが知られています。以下では、自然言語処理の仕組みやビジネスシーンで注目される理由をご紹介します

自然言語処理の仕組み

自然言語処理は、テキストデータに含まれる自然言語の解析作業をコンピュータの人工知能(AI)が進める仕組みです。コンピュータが自然言語の意味を解析する仕組みは、大きく次の4つに分類されます。

  • 形態素解析
  • 構文解析
  • 意味解析
  • 文脈解析

形態素解析は、テキストデータを単語レベルで理解する作業です。形態素は自然言語処理の分野において個々の単語を意味し、データ処理ではAIがテキストを単語に分けて各々の意味を解析します。

構文解析は、各単語の構文上の関係を理解する段階です。多くの言語表現は構文的に複数の解釈が可能であり、AIは構文解析の段階で文法的に問題ない全パターンの選択肢を導き出します。

意味解析は、AIがテキストの意味に無理がないか分析する処理です。言語表現は、文法的に問題がなくても常識的に意味が通じるとは限りません。この段階では、意味に無理のある構文構造をAIがチェックします。

文脈解析は、複数の文で構成される表現を文脈の流れから分析する作業です。言語表現では、簡潔に表すため言葉を省略、あるいは代名詞を使う場合があります。ここでは、AIが省略表現の意味や代名詞の内容を文脈に沿って解析が可能です。

以上は自然言語処理の4つの基本技術といわれていますが、文脈解析は難易度が高いため現在も実用化が難しいと考えられています。

ビジネスシーンで注目される理由

近年、自然言語処理がビジネスシーンで注目される理由は、主にテキストデータの量が増大したためです。最近はSNSをはじめ、コミュニケーションツールが著しく発達し、ビジネスの場では顧客情報をテキストデータの形式で収集する機会が増えました。

ただし、膨大なデータを人手で処理すると、多くの時間がかかります。作業時間の節約に有効な手段が、コンピュータによる自然言語処理の活用です。自然言語の意味を解析できるAIの場合、大量のテキストデータの解析を人手より短時間で進められます。また、この技術を用いるとAIによる自然言語での文書作成や音声対応も可能になるため、多くの企業から注目され始めています

自然言語処理のメリット・デメリット

自然言語処理のメリット・デメリット

コンピュータによる自然言語処理は、メリットとデメリットがあるシステムです。以下では、ビジネスなどで期待される利点や実際にシステムを用いる時の難しさをご紹介します

ビジネスなどで期待される利点

コンピュータの自然言語処理がビジネスなどで期待される利点は、人手をかけず多くの顧客とコミュニケーションを取れるところです。数年来、コンピュータのAI技術は目覚ましい進歩を遂げ、自然言語で顧客対応できるシステムが次々に登場しています。最近は、飲食店でロボットが従業員として注文を受ける事例も見られます。コンピュータは膨大なデータを比較的に短時間で処理できるため、顧客対応の効率化が可能です。

AIが接客対応をスムーズに進めてくれれば、人手が少なくても顧客とコミュニケーションを取りやすくなると期待できます。現在は国内の労働力不足が深刻であり、コンピュータが人手の代わりを勤められると企業にとっては大きなメリットになるでしょう。また、医療関係も、コンピュータによる自然言語処理が役立つと見込まれている分野の代表例です。現在のAI技術は、医療現場で問診をサポートできるレベルに達しているといわれています。今後、国内の高齢化が進めば医療の必要性は高まると予想されるため、医療方面でもAIの活用を期待する声は増えています。

実際に用いる時の難しさ

実際にコンピュータの自動言語処理を用いる場合、言葉の解釈について標準的な基準を設定しにくいところが大きな難しさです。そもそも多くの自然言語は、複数の意味を有しています。文章や会話では、同じ言葉が異なる意味で使われることも少なくありません。言葉の意味は、前後関係から判断されるケースが多く見られます。また、言葉によっては言語体系も違います。日本語と英語を比べた場合、文法規則や文章の構成方法は共通していません。

さらに、何を常識的と感じるかどうかも、人によって差異があります。自然言語の意味や使い方はバリエーションが豊かであり、標準的な解釈方法を設定することは困難です。AIは、いまのところ人間の脳に比べると言葉の微妙なニュアンスを適切に理解できない場面が目立ちます。そのため、コンピュータを機械翻訳や接客対応に用いた場合、AIが複雑な文章や注文の解析処理に手間取る可能性もあると指摘されています

電話対応の業務効率は上がるか?

電話対応の業務効率は上がるか?

コンピュータの自然言語処理を電話対応に用いた際、業務効率が上がるかどうかは意見の分かれる問題です。以下では、AIが電話対応する場合のメリットやデメリットをご紹介します

AIが電話対応するメリット

コールセンターなどでAIを電話対応に用いる主なメリットは、人手不足を解消できることです。昨今、多くのコールセンターは、ストレスが大きいなどの理由から従業員が定着せず悩まされています。同時に、国内は少子化傾向が止まらず、新しい人員も簡単には補充できなくなっています。人材確保が難しい状況のなか、AIに電話対応してもらう方法は、人手不足の解消に有効な選択肢です。

シンプルな用件であれば、時間をかけず的確に処理できると期待できます。また、AIの導入は、人件費の節約にも効果的です。コールセンターで人手の代わりにAIを用いた場合、給与を支払う必要はなくなります。さらに、人材募集した時の面接や採用者の指導に伴うコストも発生しません。単純にパターン化された電話対応はAIにとっても難しくなく、着信が殺到しても速やかに処理されれば業務の効率化につながります

AIの電話対応に伴うデメリット

AIの電話対応に伴う大きなデメリットは、複雑な用件をスムーズに処理しにくいところです。最近のAIは、かつてより大幅に進歩したものの、言葉の微妙なニュアンスを読み取ることが得意になったとはいえません。お客様から質問や相談を受けた時、言葉の表面的な意味は理解できても、本音を探るのは難しいと考えられます。コールセンターなどの電話対応では、お客様の言葉の奥に隠された心情を理解することが大切です。AIは人手で応じるより心情理解を誤るリスクが高く、対応業務に差し支える可能性があると懸念されています。

また簡単な用件でも、対応方法をパターン化すると、温かみが損なわれるデメリットもあります。お客様がオペレーターとの会話に人間的な温かさを求めている場合、AIによる事務的な応答は不快に思われるかもしれません。現時点でAIは言葉の奥の心情理解が得意とはいえず、コールセンターなどの電話対応に用いた時、業務効率が上がる保証はないと考えられます。会社で電話代行を活用する場合も、お客様の心情理解を重視するなら、AIより人手で対応するサービスを選ぶほうが得策と考えられます

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