就活ルールが廃止!学生側のメリットとデメリット

更新日:2023.04.07スタッフブログ

就職活動をする女学生

2018年10月、経団連は2021年採用組の就活から就活ルールを廃止すると正式に発表しました。今後のルール作りに関しては、政府が関与する形で議論されていくといわれていますが、そもそもなぜ今就活ルールが廃止になるのでしょうか。また、就活ルールが廃止となる2021年春以降に入社予定の学生の就活は、どう変わっていくのでしょうか?こちらでは、就活ルール廃止によって生まれるメリット・デメリットをご紹介します

就活ルールとは?

就活ルールとは、経団連が定めた「採用選考に関する方針」のことを指します。これまで、経団連加盟の企業は、採用活動に関してこのルールに従わなくてはいけませんでした。その代表的な内容は、採用スケジュールを全企業で統一することと、インターンシップで得た個人の情報や評価を採用に直結してはならないというものです。

現在経団連が定めている就活スケジュールでは、募集要項の開示や会社説明会などの広報活動は3月から、面接などの選考活動は6月から、内定は10月からと決められています。ルール策定以前は、他社よりも先に優秀な人材を確保しようと企業が競う様に採用をはやめたため、スケジュールを遅らせる目的で1997年に策定されました。

廃止になった理由は?

就活が早期化してしまうと学業に集中できないことや留学生が不利になることなどを受け、これまで何度も就活ルールの変更はありました。しかし、ルールが変更されるたびに企業や学生から不満の声が上がっていました。

就活ルールに罰則などはないため、今ではルールを守っている企業が少ないのが現状です。本来広報活動が許可される3月には、多くの企業が学生にエントリーシートの提出を求め、筆記テストなどの選考活動をはじめます。そのため2019年春入社の学生のうち7割以上が、6月の時点で内定をもらっていたというデータもあります。

さらに、経団連未加盟の中小企業や外資系企業、ベンチャー企業などは、スケジュールに縛られることなく早期に内定を出すなどして優秀な人材を確保しているのが現状です。そんな背景も、就活ルールの形骸化に拍車をかけています。

また、「インターンシップと採用活動の直結を避けるべき」というルールも形骸化をエスカレートさせる一因と考えられます。インターンシップは、企業にしてみれば就職前から自社についてよく知ってもらったり、学生の人となりを知ったりする絶好の機会です。これが選考に直結しない理由はないでしょう。

これら数々の理由から、現状の就活ルールの形骸化に制度がやっと追いついただけとの見方も強まっており、今回の廃止は当然の流れともいえます。

就活ルール廃止のメリット・デメリット

形だけだったとの声も聞かれる就活ルール。その廃止によって今後就活はどう変わっていくのでしょうか。メリット・デメリットの両面がいくつか出てくると考えられます。

【メリット】

内定をもらえるチャンスが増える

採用スケジュールがなくなり企業が通年採用を取り入れれば、時期に縛られない就活が可能となり、内定をもらえるチャンスが増えるかもしれません。通年採用ではないとしても企業ごとに採用活動開始の時期が違うことも十分考えられます。これまでは予定が重なってしまったら選考への参加をあきらめるしかありませんでしたが、これからは参加できる企業も増えるでしょう。

就職留年の解消

就活ルールの廃止にともない、就活が長期化すると予想されています。就活が長期化することで準備期間を長くとることもできるため、準備不足による就職留年の解消につながるでしょう。また、準備期間により多くの企業動向が分かり、ミスマッチ予防や自分にとって最良の企業の見落としなどを防ぐことができるでしょう。

有意義な時間を過ごせる

はやい時期に内定をもらえれば、残りの時間を自由に使えて、長期で海外留学に行ったり必要な資格を取得したり有意義に過ごすことができます。または、海外留学から帰ってきた後でも就活に乗り遅れるということもなく、就活と留学の両立が可能になると考えられます。

【デメリット】

学業と就活の両立が難しい

これまでは就活開始の時期が目安としてあったため、学業専念から就活への切り替えもスムーズで、スケジュールは立てやすかったでしょう。しかし、就活ルールが廃止されれば、スケジュールはすべて自己管理となってしまうため注意が必要です。

就活にばかり専念してしまうと、授業に出られない日が増え、単位の修得が難しくなってしまう可能性もあります。切り替えがうまくできずに両方とも中途半端になってしまわない様に、自己管理を徹底しましょう。

大学生としての時間が減る

就活ルール廃止により就活が早期化してしまうと、はやい時期から自分の将来に決断を迫られたり、就活準備に追われたりすることもあるでしょう。サークル活動やアルバイトなど、大学生ならではの貴重な体験をする機会を失ってしまうかもしれません。はやい段階で希望する企業から内定がもらえれば、残りの時間を自由に過ごすことは可能です。ただし、必ずしも納得のいく結果が出せるとは限らないため注意が必要です。

二極化によるプレッシャー・ストレス

すでに目標としている企業が定まっているなど、就活意識の高い学生にとってルール変更はメリットが大きいでしょう。他方、まだ自分のやりたいことが定まっていない学生や、研究や留学に重きを置いている学生にとっては、それがプレッシャーやストレスに感じてしまうこともあるかもしれません。

これまでもはやくから就活をはじめた学生と留学などで準備が遅くなってしまった学生とでは、内定数の差が歴然でした。就活の早期化によってこれからますます二極化が強まってしまうのではないかと懸念する声もあります。自分に合った就活時期を見定め、焦りすぎないことが大切です。

はやくも変わりつつある就活事情

空前の人手不足で企業は人材確保に前のめり傾向にあり、昨今の就活は「売り手市場」と呼ばれています。大学生の就職内定率も軒並み増加しており、会社を選ばなければほぼ全員が就職できる時代といわれるほどです。

そんな理由からすでに就活は早期化の傾向で、就活ルールが廃止されれば、より優秀な人材の早期確保を目的としたインターンシップを活用する企業が増えることも予想されます。現在は選考直結が禁止されていますが、企業側からは「インターンシップの内容や得た評価を選考活動に使える様にすべきだ」との声も多くあり、インターンの内容や意味合いも変わるかもしれません。

また、就活の時期が遅れてしまいがちな、留学や研究活動に熱心に取り組む学生と接触する機会を増やすために、通年採用を取り入れる企業も増加するのではないかと考えられています。

どんなルールになっても、スケジュール管理は大切

就活ルールが廃止されることによって考えられるメリットやデメリットなどをご紹介しました。就活ルールはすでに部分的に形骸化傾向にあったため、廃止により困ることがないとの声もあります。しかし、就活の早期化や通年採用は、企業にとっても採用コストが増えるなどデメリットもあります。

そのため就活ルールが廃止されても、通年採用ができる企業は限られるのではないかとも指摘されています。就活ルール自体の廃止は今回がはじめてであるため、どの様に変わっていくかはまだ予想の範疇を超えません。一人ひとりが自分に合ったスケジュールを管理し、ベストなタイミングで就活を進めていくことが大切です。

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