ベンチャーキャピタルとは?意味やメリットを解説
更新日:2024.11.21ビジネス豆知識ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業などの新興企業に出資するタイプの投資会社です。さまざまなメリットを期待できることもあり、新興企業が資金調達に利用するケースは増えたといわれています。これから新しく事業を起こすなら、このタイプの投資会社の仕組みやメリットを理解しておくと役立つでしょう。そこで今回は、ベンチャーキャピタルの意味・仕組み・種類や、利用時のメリットなどをご紹介します。
目次
ベンチャーキャピタルの意味や仕組み
「ベンチャーキャピタル」は、新興企業に出資する投資会社や投資ファンドを指した言葉です。以下では、この言葉の意味や同タイプの会社が用いる投資方法の仕組みをご紹介します。
言葉の意味
「ベンチャーキャピタル」は、英語の「venture(ベンチャー)」と「capital(キャピタル)」に由来する表現です。もともと「venture」には、「冒険・危険・投機」などの意味があります。ビジネスの場では「冒険的事業」を指す場合にも使われ、最近は未開拓の分野に挑戦する新興企業をベンチャー企業やベンチャービジネスと表現しています。
一方、「capital」は、「資本・首都・大文字」などを意味する単語です。経済・金融の分野では、「資本」や「投資の資金・元手」を指す時に使われるケースが多く見られます。
以上の2つが組み合わさった「ベンチャーキャピタル」は、「ベンチャー企業などに資本を投じる投資会社」の意味で使われています。
ベンチャーキャピタルの仕組み
ベンチャーキャピタルが用いる投資方法は、新興企業に出資することで利益を求める仕組みです。同タイプの投資では、まだ株式上場していない新規のベンチャー企業やベンチャービジネスが出資対象に選ばれます。ベンチャーキャピタルは上場前の株式を入手し、株式が上場を果たすと売却して値上がり益を獲得します。
ただし、未上場の新興企業は、将来的に株式上場できるとは限りません。株式上場できなかった場合、値上がり益の獲得や出資金の回収は難しくなります。出資金を回収できなければ、投資会社にとっては大きな損失です。ベンチャーキャピタルは、出資に伴う損失を出さないため新興企業を経営面でサポートするケースが多く見られます。
銀行融資との違い
ベンチャーキャピタルと銀行融資との大きな違いは、出資先や融資先に返済義務があるかどうかの差です。銀行から融資を受けた場合、融資金は個人や企業が借りた負債と見なされ、融資先には返済義務が生じます。融資先になった個人・企業は、返済期限までに利息を含めた負債を銀行に返す必要があります。
ベンチャーキャピタルによる資金提供は、新興企業に対する出資です。投資金は個人や企業が借り入れたわけでなく、負債に該当しないため出資先に返済の義務は発生しません。また、銀行は個人・企業の信頼性や担保にもとづき融資するか審査しますが、ベンチャーキャピタルは審査基準として計画性や将来性を重視する違いもあります。
ベンチャーキャピタルの種類
現在、ベンチャーキャピタルには多くの種類があります。それぞれ特徴は異なり、投資の勢いも一律ではありません。以下では、代表的な種類や各種類の特徴、最近の投資動向などをご紹介します。
代表的な種類
近年のベンチャーキャピタルを代表する種類は、次の6系統です。
- 金融・銀行系
- 独立系
- 事業会社系
- 大学系
- 政府系
- 地域系
これらの系統は、それぞれの事業母体・出資目的・運営スタイル・強みなどに違いが見られます。
それぞれの種類の特徴
ベンチャーキャピタルの代表的な6系統は、事業母体や出資目的の違いに大きな特徴があります。
金融・銀行系は、銀行や証券会社を含めた金融機関を母体とするタイプです。大手の銀行や会社を母体に全国展開しているケースが多く、国内各地で利用しやすいといわれています。
独立系は、母体となる親会社がなく独立資本で運営しているケースです。親会社を意識せず個性豊かに事業展開し、出資先の株式上場による値上がり益の獲得を目指す傾向が見られます。
事業会社系は、事業会社全般を母体とする系統です。母体となる事業会社に金融機関は含まれず、金融・銀行系と区別されています。投資目的で出資するだけでなく、先駆的なビジネスを支援して自社の業務改善に役立てる場合もあります。
大学系は、大学が新興企業に出資する投資スタイルです。国内では、2014年に官民イノベーションプログラムの一環として多額の出資金が用意されました。また、2022年4月以降は、特定の国立大学による直接投資が認められています。
政府系は、出資金の元手に公的資金が使われます。主な出資目的は、中小企業の育成や産業の活性化です。公的資金を投じるため、値上がり益の獲得を重視していないところに特徴があります。
地域系は、地元の新興企業に対して出資する投資のパターンです。それぞれの地域の特色を活かした新規ビジネスが出資対象に選ばれ、地域特化型のベンチャーキャピタルとも呼ばれています。近年、国内のベンチャーキャピタルには、大手銀行をはじめ多くの金融機関や事業会社が関わっています。
最近の投資動向
ベンチャーキャピタルによる最近の投資動向を見ると、金融・銀行系や独立系・事業会社系に勢いがある状況です。財務省が発表した資料によると、ベンチャーキャピタルの投資内訳で金融・銀行系は33%を占めています。続いて独立系は27%、事業会社系は13%です。残りは、海外の系統12%、政府系6%、その他10%と報告されています。
財務省 スタートアップエコシステムの現状および. DBJ特定投資業務の貢献について (参照 2024-11)
以上の数値をふまえた場合、投資の勢いが強い系統は金融・銀行系です。また、国内では独立系と事業会社系が勢いを増していると見られています。今後、ベンチャーキャピタルからの資金調達を検討する時は、投資動向を把握しておくと参考になるでしょう。
ベンチャーキャピタルから資金調達するメリット
ベンチャーキャピタルから資金調達するメリットは、出資先に返済義務が生じないことなどです。以下では、この方法で資金調達する時に期待できる主なメリットをご紹介します。
返済義務が発生しない
資金調達した時に返済義務が発生しない点は、ビジネスが成功する保証のない新興企業にとって大きなメリットです。新興企業は、未開拓の事業分野に挑戦するケースが多く見られます。新規のビジネスは過去の成功事例が少なく、既存の事業に比べると成果を上げることが簡単ではありません。事業に失敗するリスクが小さくない新興企業から見ると、ベンチャーキャピタルの出資に返済義務が発生しない仕組みは大きな魅力があります。
将来性が重視される
企業の将来性が重視されるところも、ベンチャーキャピタルから資金調達する場合の主要なメリットです。新興企業は、ビジネスを開始したばかりであり業務実績は多くありません。銀行融資は過去の業績をもとに融資の可否を判断する傾向があり、業績が少ないと融資を受けるのは難しくなります。それに対してベンチャーキャピタルは将来性を重視するため、今後の成長が見込める事業計画を示せば出資を受けられる可能性は高まります。
サポートを受けられる
ベンチャーキャピタルから資金調達した場合、出資元となる銀行や企業のサポートを受けられることも見逃せないメリットです。多くの新興企業は、ビジネスを成功に導くノウハウを蓄積していません。新興企業のノウハウ不足についてはベンチャーキャピタルも承知しているため、経営面の支援には積極的です。
出資元のベンチャーキャピタルからは経営ノウハウを学べる可能性も高く、創業したばかりの企業も事業運営を進めやすくなると考えられます。ベンチャーキャピタルによる出資は上記のようなメリットを見込めます。新興企業が資金調達する際の選択肢のひとつとして検討してみましょう。
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