電子署名とは?ペーパーレス化を安全に進めよう!
更新日:2023.03.29ビジネス豆知識電子署名は、電子文書に改ざんなどの不正がないことを証明するものです。電子証明書およびタイムスタンプと組み合わせれば、電子署名法により定められた法的効力を発揮できます。ただし現在は、電子契約が法的に認められていないケースもあり、電子署名を導入する時は注意が必要です。そこで今回は、電子署名の概要・仕組みやメリット・デメリットについてご紹介します。
目次
電子署名の概要
電子署名とはどのような役割を持つものなのでしょうか。以下では、電子署名の基本的な知識や制定された背景、電子印鑑・電子サインとの違いなどをご紹介します。
電子署名の基本的な役割
電子署名の基本的な役割は、電子文書が署名者本人より作成されており、不正な改ざんがないと証明することです。契約書など行政・ビジネス関係の重要書類は、書類作成者の署名により、署名者自身の手で作成されたと証明されます。電子文書の場合、電子署名が本人証明の役割を果たします。
また、電子文書が他者の手で改ざんされていないことの証明も、電子署名が担う基本的な役割です。電子文書に電子署名があれば、書類作成に署名者以外の手が加わっていないと証明されます。電子署名が本人証明と非改ざん証明の役割を果たすことで、電子文書は正式な書類であると認められます。
電子署名法の目的・法律制定の背景
電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)は、電子署名の法的効力について規定した法律です。同法は、電子署名が紙の文書への押印やサインと同様に機能するような環境を整える目的で制定されました。施行は2001年4月1日からです。一定の要件を満たす電子署名がある電子文書は、正式に作成されたと見なされます。
電子署名法が制定された背景には、ビジネス書類の電子データ化に対するニーズの増大があります。電子文書による契約や取引が可能になれば業務の効率化につながるとの期待が高まり、この流れに合わせ法的整備も進みました。現在、電子署名法により電子署名は法的効力が認められ、電子文書が作成された時の本人証明と非改ざん証明が可能になっています。
電子印鑑・電子サインとの違い
電子署名と電子印鑑・電子サインとの違いは、本人証明と非改ざん証明の役割を果たせるかどうかの差です。電子印鑑は、印面を電子化した印鑑です。認印レベルから実印に相当するタイプまであり、本人証明などは難しくなります。電子サインは電子契約での意思表示や記名のプロセスを指し、第三者機関を通さないため確実には本人証明できません。
電子印鑑と電子サインともに本人証明と非改ざん証明は困難です。この点が、法的根拠のある電子署名との大きな違いになっています。
電子署名の仕組み
電子署名は、電子証明書とタイムスタンプの併用により法的効力が発揮される仕組みです。さらに、データを送受信する時は情報保護のためセキュリティシステムが使われます。以下では、電子署名の信頼性が確保される仕組みをご紹介します。
電子証明書の機能・取得方法
電子証明書は、電子署名が正式なものであり、偽装されていないと証明するための書類です。現在の電子署名は、紙面への押印や直筆でのサインに比べると偽装しやすいといわれています。そのため、不正に手が加えられていないと証明するためには、電子証明書が必要です。
電子証明書は、法務省が提供する「申請用総合ソフト」などを利用した場合、オンライン申請で取得できます。また、電子文書の受信者は、電子署名と電子証明書を照合することで偽装されていないか確認可能です。その際、電子署名と電子証明書のデータが一致していれば、偽装でなく正式な署名であると証明されます。
タイムスタンプの役割
タイムスタンプも、電子証明書と同じく電子署名の信頼性を確保するためのシステムです。同システムには、基本的に「存在証明」と「非改ざん証明」の役割があります。存在証明とは、タイムスタンプが押された時に電子文書が存在したことの証明です。非改ざん証明は、スタンプが押された後に電子文書が改ざんされていないことの証明です。
電子文書が何時から存在したか、また何時以降に手が加えられていないか証明するには、タイムスタンプの押印が不可欠です。電子文書を作成した時に付与すると、存在証明と非改ざん証明の役割が果たされます。電子証明書を発行するとともにタイムスタンプを電子文書に付与すると、電子署名の法的効力は有効になります。
セキュリティシステムの仕組み
電子文書のセキュリティシステムは、当事者間で送受信するデータを暗号方式で保護する仕組みです。暗号には「公開鍵」と「秘密鍵」がペアで使われ、「公開鍵暗号方式」と呼ばれています。公開鍵はネットワーク上で一般公開されますが、秘密鍵は鍵の作成者しか保有できません。
公開鍵暗号方式で施錠された電子文書は、2つの鍵をペアで保有しないと開錠できない仕組みになっています。電子文書を送受信する時は、当事者間でペアの鍵を共有すると双方でデータの中身を確認できます。通常、当事者でなければ秘密鍵は入手不可です。そのため、公開鍵暗号方式で保護された電子文書は情報漏洩するリスクが低いといわれています。
電子署名のメリット・デメリット
電子署名の主なメリットは、契約・取引業務を効率化できるところです。ただし、すべての書類に使用できないなどのデメリットもあります。以下では、電子署名に伴う代表的なメリット・デメリットをご紹介します。
主なメリット
ビジネスの場で契約・取引業務を効率化できる点は、電子署名の活用がもたらす大きなメリットです。これまで商品・サービスを契約・取引する時は、当事者間で紙の書類をやり取りする必要がありました。紙の書面を用いると、一方が他方のもとを訪れたり、相互に書類を郵送・返送したりする手間がかかります。
それに対し、電子署名を導入した場合、電子文書をネット上で送受信すれば手続きを完了できます。契約相手や取引先を訪問する必要はなく、お互いに紙の書面を送付する面倒も発生しません。紙の書類が不要になると、業務のペーパーレス化につながります。紙の使用量が減るとともに収入印紙代がカットされた場合、経費節約にも効果的です。社内で紙の書類を保管せずに済めば、業務スペースが広がるメリットもあります。
そのため、電子署名の活用は、業務の効率化やペーパーレス化の促進をはじめ多くのメリットをもたらすと見込まれています。
注意したいデメリット
電子署名の代表的なデメリットは、すべての書類での使用を法律上で認められていない点です。現在、紙の書類を使用することが法的に義務づけられている契約書としては、次の例が挙げられます。
- 事業用定期借地契約
- 企業担保権の設定・変更を目的とする契約
- 任意後見契約書
- 特定商取引(訪問販売等)の契約等書面
以上の書類については、いまのところ電子文書や電子署名を用いた電子契約が法的に認められていません。また、投資信託契約の約款・定期建物賃貸借契約の際の説明書面・旅行契約の説明書面などは、電子契約する場合に契約相手の同意が不可欠です。
任意で電子契約できないケースを理解していないと、契約時にトラブルを招くかもしれません。そのため、これから契約・取引関係の業務を電子化する予定であれば、電子署名のメリットだけでなくデメリットも把握しておくことをおすすめします。
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