【文例付き】会社の年賀状じまい|完全ガイド
更新日:2024.11.11ビジネス豆知識年賀状じまいは、翌年以降に年賀状のやり取りを遠慮したい時、その旨を伝える方法の一つです。昨今は公私を問わず、諸事情から年賀状を取り止めるケースは増えたといわれています。ただし、どのように知らせればよいか悩むとの声も少なくありません。一度、マナーや参考例を確認しておけば、ビジネスの場で年賀状じまいする時に役立つでしょう。そこで今回は、年賀状じまいについて解説し、会社が実施するメリットとともに基本的なマナーや文例をご紹介します。
目次
年賀状じまいとは?
年賀状じまいは、これまで年賀状を出していた相手に、「翌年から年賀状による新年の挨拶は控えたい」との旨を伝えることです。
虚礼廃止
近年、ビジネスの場では、年賀状じまいを実施するケースが増えてきました。主な理由は、虚礼廃止の流れが強まったためと見られています。虚礼廃止とは、慣例的な形式にしたがった儀礼・行為を取り止めることです。慣例化した儀礼は本来の目的・意味が見失われやすく、心がこもりにくいため、形式的に続ける必要はないとの考え方から廃止となる場合があります。
近年、多くの企業が取り止めている形式化した儀礼としては、年賀状をはじめ暑中見舞い・残暑見舞いやお中元・お歳暮が挙げられるでしょう。これらは、ビジネスの場で形だけの挨拶になりつつあり、廃止するケースが増えています。なお、虚礼廃止は、主に仕事関係の取引がある企業の間で使われている表現ともいわれています。
注目される背景
年賀状じまいが注目される背景には、SDGsや経費節減に対する意識の高まりがあるとの見方が有力です。昨今は、気候の温暖化や資源の無駄遣いが大きな社会問題となり、さまざまな企業がSDGsの観点から各種の活動に取り組んでいます。その1例に職場のペーパーレス化が挙げられ、年賀状じまいは紙資源の節約につながると見なされています。
また、ここ数年間は原材料の高騰もあり、幅広い業種で物価上昇に伴うコスト負担が重くなってきました。2024年10月1日からは郵便料金値上げも決まり、虚礼廃止と経費削減を兼ねて、年賀状じまいへの注目が集まり始めたといわれています。ほかには、メールやSNSで新年の挨拶を済ませる人々が多くなり、以前に比べて年賀状の需要が低下してきたといった声も聞かれます。
会社が年賀状じまいするメリット
会社が年賀状じまいする主なメリットは、経費削減や環境負荷の軽減につながるところです。
経費削減
企業が年賀状じまいを実施した場合、紙面の購入や書状の作成・印刷にかかる費用を抑えるのに有効です。年賀状じまいにより、翌年から年賀状を送らないと決定すれば、新たに紙面を購入する必要はなくなります。加えて、顧客・取引先向けに書状を作成したり、外部業者に印刷を頼んだりする手間を省くことも可能です。紙面1枚は安価ですが、企業が多くの顧客・取引先に年賀状を送る場合、大きな出費になります。
また、従業員が分担して大量の書状を作成すると人件費は膨らみ、印刷を外部委託した時の代金も安くはないでしょう。これらの出費が、年賀状じまいを通して避けられるようになれば、必要経費は大幅に節約できると考えられます。
環境負荷の軽減
年賀状じまいで職場のペーパーレスを進める方法は、環境負荷を軽減する取り組みとしても効果があります。これまで多くの企業は、各種の社内業務で大量の紙を消費・廃棄する傾向にありました。このような状況は、資源の枯渇につながる可能性があり、近年はビジネスシーン全体で現状の見直し・改善が進められています。企業が、年賀状じまいに伴い紙面の購入を控えると、紙が大量消費される事態を減らすのに役立ちます。
さらに、年賀状の書き損じや印刷ミスにより、無駄に廃棄するトラブルも避けられるでしょう。年賀状に限っても、紙の大量消費や無駄遣いが減少すれば、資源の節約に結びつき環境負荷は軽減すると見込まれます。
デジタル化の促進
デジタル化の促進も、年賀状じまいが企業にもたらすと見られる大きなメリットの一つです。昨今は、労働力不足で従業員1人あたりの業務負担が重くなり、長時間労働が大きな問題になっています。過酷な就労環境は望ましくなく、従業員の負担を減らすため、業務のデジタル化を促す声が増えてきました。
社内で年賀状じまいを実施した場合、従業員は、時間をかけて紙の書状を手書きせずに済みます。その際、メールやSNSを用いて新年の挨拶をデジタル化すれば、作業効率は上がる可能性があります。新年の挨拶をメールやSNSで簡単に行えるようになり、従業員の業務負担が軽減されれば、従業員自身だけでなく企業にとっても大きなメリットといえるでしょう。
年賀状じまいのマナーと文例
年賀状じまいにもマナーがあり、相手から失礼と思われないために、基本的な書き方を守ることが大切です。
基本的なマナー
企業や個人による年賀状じまいは、その旨や理由を明記し、送付する時期に配慮するのが基本マナーです。
必須となる5つの記載項目
年賀状じまいの文面を記す際、明記したい項目としては、次の5つが挙げられます。
・翌年から年賀状を控える旨
・今後の年賀状を取り止める理由
・年賀状の受け取りも遠慮する旨
・これまでへの感謝
・以後に使用する挨拶の方法
年賀状じまいを行う時、相手に心配をかけないため、その旨と理由を明確に知らせることは重要です。同時に、相手からの年賀状も遠慮したいと伝えれば、一方的に年賀状が送られる事態を避けやすくなります。また、これまで年賀状をやり取りしてくれた相手に感謝の意を示すと、良好な関係性を継続したい気持ちも伝わるでしょう。
そのうえで、新たな挨拶の方法や連絡先について記載すれば、これまで通りの交流を続けやすくなります。以上の5項目を本文で記した後、「今後もよろしくお願いします」といった言葉を添えれば、印象はよくなると考えられます。
年賀状じまいを送付する時期
年賀状じまいを送付するのに適した時期は、基本的に11月~12月初旬の間です。近年、年賀状の準備は、12月に入ると開始されるケースが多く見られます。そのような状況をふまえ、年賀状じまいは、早ければ11月中・遅くとも12月初旬に送付するのがマナーと認識されています。この期間に書状を送付しておけば、相手は余計な年賀状を購入・作成する手間が省けるでしょう。
また、お互いに年末は仕事や年越しの準備で忙しくなる可能性もあるため、余裕をもって連絡しておくと安心です。ほかには、暑中見舞いや寒中見舞いで伝える方法もあります。この場合、季節の挨拶と一緒なら唐突な印象は和らげられるといわれています。いずれにしても、年賀状じまいは、相手の事情に配慮しながらタイミングよく知らせることが重要です。
メールで送る場合の文例
年賀状じまいをメールで送る場合、丁寧な表現を心がける意識は大事です。
(例文)
件名:今後の年賀状廃止に関するご連絡
株式会社〇〇様
新春の候 貴社におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り 心より御礼申し上げます
さて 弊社では 大変に恐縮ではありますが 環境保護や経費節減を鑑みて 翌年より年賀状でのご挨拶を控えさせていただくこととなりました
誠に勝手ながら 今後は弊社への年賀状によるお心遣いはご無用にてお願い申し上げたく存じます
長年のご厚誼に衷心から感謝申し上げるとともに 何卒ご理解を賜りますようお願いいたします
今後は メールとSNSにて新年のご挨拶をさせていただきます
連絡先:・・・・・・
末筆ながら 皆様のご健勝とご多幸を深くお祈り申し上げるとともに 引き続き変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます
以上のように、実際の文面では、いきなり本題に入らず最初に挨拶の言葉を添えると丁寧な印象になります。
ハガキで送る場合の文例
ハガキで年賀状じまいを送る時も、失礼のない文面を作成する姿勢は不可欠です。
(例文)
謹んで新春のお慶びを申し上げます
旧年中は格別のお引き立てを賜り 誠にありがとうございました
この度 弊社では自然資源の保護やデジタル化の推進に鑑み 大変に恐縮ながら 年賀状でのご挨拶は本年をもちまして見合わせさせていただくこととなりました
誠に勝手ではございますが 今後は弊社への年賀状のお心遣いはご無用にてお願いいたしたく存じ上げます
これまでのご厚誼に深く感謝いたしますとともに 何卒ご理解を賜りたくお願い申し上げます
今後は メールとSNSにて年始のご挨拶をさせていただきます
連絡先:・・・・・・
貴社のさらなるご繁栄と皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げるとともに 今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう謹んでお願い申し上げます
上記のように、ハガキの場合も、基本的な書き方はメールの文面と同じです。また、最初の挨拶は、送る季節に合わせて変更可能です。年賀状なら「あけましておめでとうございます」、暑中見舞いや寒中見舞いであれば「暑中お見舞い申し上げます」「寒中お見舞い申し上げます」も使えます。メールとハガキのいずれも、年賀状じまいの書式に厳密な決まりはありませんが、どのように書くか迷った時などは以上の文面を参考例としてご活用ください。
年賀状じまいの後年賀状を受け取ったら・・・
年賀状じまいの後で年賀状を受け取った場合、改めて年賀状が廃止となった旨を伝える必要があります。
基本的なマナー
年賀状を受け取ってから年賀状廃止の旨を伝える時は、できるだけ速やかに返答するのがマナーです。通常、すでに年賀状が手元に届いている場合、メールやSNSより書面(ハガキ)のほうが丁寧に感じられるといわれています。とはいえ、素早く対応することも重要であり、時間的に余裕がなければメールで返信しても差し支えありません。
その際、必須とされる記載項目は、新年の挨拶・年賀状の御礼・年賀状廃止の旨と理由・今後は年賀状が不要である旨・締めの言葉の5つです。ここでも最後は、今後のお付き合いをお願いする文章で締めくくります。なお、タイミングを逃すと失礼に思われる可能性は高まるため、慣例として1月7日までにメール返信するのが望ましいといわれています。
メールで送る場合の文例
改めて年賀状じまいをメールで送る場合も、丁寧な表現で伝える意識は大切です。
(例文)
あけましておめでとうございます
旧年中は格別のお引き立てにあずかり 深く感謝申し上げます
貴社におかれましては 健やかな新春を迎えられたこととお慶び申し上げます
この度は ご丁寧な新年のご挨拶を頂戴し ありがとうございました
ご挨拶が遅くなり、誠に申し訳ありません
さて 弊社では虚礼廃止の方針や自然環境への配慮により 今後はメールにて新年のご挨拶をさせていただくこととなりました
連絡先:・・・・・・
来年より 弊社への年賀状のお心遣いはご無用にてお願い申し上げたく存じます
大変に勝手ながら 何卒ご容赦いただきたく重ねてお願い申し上げます
本年が貴社の皆様にとって幸多き年になりますよう祈念いたしますとともに さらなるお引き立てのほど心よりお願い申し上げます
以上のように、年賀状の返礼として早めにメールを送る場合は、新年の挨拶で返すのがマナーです。挨拶の言葉は「あけましておめでとうございます」や「謹賀新年」「謹んで新年のご挨拶を申し上げます」が適しているでしょう。なお、上記は返信文の1例に過ぎないため、実際にメールを送る時の参考材料として活用されることをおすすめします。
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