サイクリングで商談成功?スエットワーキング
更新日:2023.03.15ビジネス豆知識日本で接待といえば、料亭での会食やゴルフなどのイメージがあるかもしれません。しかし今、アメリカでは「スエットワーキング(Sweat Working)」と呼ばれる、まったく新しい接待の形がトレンドとなっています。その名のとおりサイクリングやヨガ、スポーツジムなどでクライアントと汗を流しながら、または汗を流した後に一息つきながら接待するというものです。日本でも導入する企業が出てきたといいますが、スエットワーキングを取り入れることでどの様なメリットがあるのでしょうか。アメリカで広がるスエットワーキングについて詳しくご紹介します。
目次
スエットワーキングとは?
スエットワーキングは、日本での一般的な接待とは大きくかけ離れたまったく新しい接待といえるでしょう。まずはスエットワーキングについて詳しくご紹介します。
スエットワーキングとは?
スエットは「汗」、ワーキングは人脈を築くための「ネットワーキング」を略して組み合わせてスエットワーキングと呼びます。スエットワーキングとは、トレーニングやスポーツを通してビジネスのネットワーク作りをしたり、クライアントと商談をしたりすることです。
通常の接待と大きく違う点は、主に出勤前の1~2時間を利用し、トレーニングをしながら、またはトレーニング後に軽くノンアルコールのドリンクを飲みながら話をする点でしょう。長時間拘束されるアルコールを飲みながらの食事接待やゴルフよりも、効率よく有意義な時間を過ごすことができるといいます。
ランチミーティングとの違い
アメリカには昼食をともにしながら接待やミーティングを行う「パワーランチ」や「ワーキングランチ」というものもあります。ランチとミーティングを同時に行うことで、時間が有効活用できる点や、リラックスできる雰囲気の中、話し合いができる点が人気です。
家庭やプライベートの時間を重んじるアメリカならではであるといえますが、限られた時間を有意義に活用できるという点ではスエットワーキングも同じです。スエットワーキングはさらに運動不足の解消にもなるという点が合理的であるとして、健康志向の高いビジネスマンを中心に人気に火が付いたようです。
各業種に広がるスエットワーキング
スエットワーキングをはじめたのは、新しい流行を作り続けている広告業界だといわれています。今では法律や金融関係の企業など、少々堅いイメージのある業界にも広がっているようです。仕事では厳格な態度をついとってしまう人たちでも、スポーツを通せばその必要もなくなるため打ち解けやすいのでしょう。組織での地位の高さが運動能力の高さに比例するとは限りません。スエットワーキングでは、すべての人が平等なのです。
アメリカで広がった背景。
ビジネスと健康への関心の高まりを組み合わせた点が合理的であるとして人気を呼んでいますが、アメリカでスエットワーキングが広がった理由は、ほかにもあります。
セクハラ防止
スエットワーキングが広がった背景には「#MeToo」運動が大きくかかわっています。「#MeToo」は、SNSなどでセクハラ告発の際に使用されるハッシュタグです。性的嫌がらせなどの被害体験を受けた女性たちが声を上げ、被害者の思いを社会に知ってもらうと同時に、これ以上被害者が増えない様にと訴えています。
この運動が広がったことにより、男女がアルコールを飲む席では問題が起きない様に神経を使う傾向になりました。スエットワーキングは基本的に朝の時間を使って行います。飲み物はコーヒーなどのノンアルコールドリンクが主であるため、気を遣わず健全であるとして多くの方に受け入れられたと考えられます。
食事メニュー
アメリカでは日本よりはるかに多様な人種が暮らしています。信仰している宗教で禁じられている食品や飲み物があるほか、個人の考えやアレルギーなどの関係で食事を制限している場合もあります。そのためアメリカで食事接待をする場合は、相手に合わせたレストラン選びや食事のメニューにも配慮が必要なのです。場合によってはクライアントの気分を害してしまうこともあるため、食事に気を遣う必要のないスエットワーキングは非常に気軽で効率的といえます。
スエットワーキングのメリット
ビジネスに大きな効果をもたらすとされるスエットワーキングには、さまざまなメリットがあります。スエットワーキングのメリットをいくつかご紹介します。
短時間で済む
スエットワーキングは、早朝から仕事までの1~2時間を利用して行われるため、終了時間が明確です。時間制限があるため話の核心に迫りやすく、時間をより有意義に使えるといいます。クライアントに気を遣いながら夜遅くまでお酒を飲んだり、休日に早朝からゴルフに出かけたりする必要もないため、効率的という声も聞かれます。また、短時間であるからこそ気軽に誘い合えるという点もメリットといえるでしょう。
ビジネスと健康の両立
欧米では、もともと就業前や就業中に運動をする習慣を持つビジネスパーソンが多くいました。これは、運動によって分泌されたセロトニンが交感神経を優位にし、集中力や想像力、コミュニケーション能力をアップさせてくれるという科学的根拠に基づいた習慣です。健康習慣とビジネスを同時にこなせるスエットワーキングは、すべてのビジネスパーソンにとって有意義な時間となるでしょう。
スポーツをするうえでは立場は平等
スエットワーキングでは、普段言葉を交わすこともない立場の相手と話す機会に恵まれます。スポーツをするうえでは、お互いの立場は平等であるという暗黙の了解があり、人脈が大いに広がるでしょう。ジムや自転車に乗りながらのほうが、会議席よりリラックスして話せるという人もいるかもしれません。
スエットワーキングの活かし方
週に数回、取引先と予定を合わせてスエットワーキングを行い、業績をアップさせたという会社もあるようです。商談はもちろん、財務計画や経営に関する助言をもらうなど、スポーツをきっかけにすることでさまざまな話ができる様になったといいます。
組織での立場や社会的地位の高さは、スエットワーキングを行ううえでは無関係のため、コミュニケーションが取りやすくなるといいます。この効果を利用し、本音で語り合ったり相談に乗ってもらったりして、ビジネスに有意義に活かすことが大切です。
まったく違う職種の人と会話する中で、思いもよらない情報が得られたり、違った視点からアドバイスをもらえたりする可能性もあります。また、時にはビジネス以外の話で盛り上がることもあるでしょう。共通の趣味を持つ人との出会いは貴重ですし、そこからビジネスを超えた付き合いができるかもしれません。
スエットワーキングで築く人脈や得られる情報は、普通に働いているだけではなかなか得られない、貴重なものになると考えられます。ビジネスやプライベートにうまく活かすことができれば、より充実した日々を送ることができるでしょう。
働きながら楽しめたり健康のためになったり、メリットの多い「スエットワーキング」は、これから世界的にブームとなっていくと考えられます。日本ではまだ賛否両論あるようですが、年齢や経歴を問わないさまざまな職種の人たちが集まるイベントは貴重といえます。普段知り合えない様な人と、スポーツを通して会話を楽しむことで思いがけないビジネスチャンスにつながるかもしれません。運動不足やこれまでの接待の形に悩んでいる方は、スエットワーキングを提案してみてはいかがでしょうか。
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