バイオプラスチックとは?将来性と今後の課題

更新日:2023.07.28スタッフブログ

バイオプラスチックとは?将来性と今後の課題

バイオプラスチックは、従来品に比べて地球環境に対する負荷が小さいと見込まれるプラスチックです。ただし、さまざまな課題があり、現状では期待していたほど普及していないとの声も聞かれます。このプラスチックについて理解を深めれば、どのように活用できるか検討する時に役立つでしょう。そこで今回は、バイオプラスチックの種類や特徴・将来性・今後の課題などをご紹介します

バイオプラスチックの種類や特徴

バイオプラスチックの種類や特徴

バイオプラスチックは、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックに対する総称です。それぞれ、特徴は異なります。以下では、バイオプラスチックに含まれる2種のプラスチックについて特徴や具体例をご紹介します

バイオマスプラスチックの特徴や具体例

バイオマスプラスチックは、再生可能な有機資源を原料とする非生分解性のバイオプラスチックです。バイオマスプラスチックの代表的な原料は、サトウキビやトウモロコシなどの植物です。これらの糖や油脂を発酵するとエタノールなどが採取され、樹脂を製造できます。化学的な手段で樹脂を合成する方法もあります。

以上の製法から生み出されるプラスチックが、バイオポリエチレンやバイオポリプロピレンです。使い勝手やリサイクル時の利便性は従来の化石資源を用いたプラスチックと大差がなく、レジ袋や食品容器をはじめ身近な用途で使われています。また、原料となる植物は、化石資源と異なり1~10年ほどのサイクルで再生産できる特徴も備えています。

生分解性プラスチックの特徴や具体例

生分解性プラスチックは、微生物などの働きで水と二酸化炭素に分解できるバイオプラスチックです。原料は、大きく化石資源と植物資源の2つに分けられます。植物資源が原料の場合、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの特徴を兼ね備えたバイオプラスチックに分類されます。樹脂の製法は、バイオマスプラスチックと同じく発酵法や化学合成法です。

化石資源を用いた例としてはポリブチレンサクシネート、植物資源の使用例にはポリ乳酸やポリヒドロキシアルカン酸があります。日本の場合、約7割の生分解性プラスチックが植物由来といわれています。また、プラスチックの分子構造を断片化する技術や微生物の働きで、水と二酸化炭素への分解が可能になっています。

なお、いずれのバイオプラスチックも多くの原料を国外から調達していますが、一部の樹脂は国内生産が開始されています。

バイオプラスチックの将来性

バイオプラスチックの将来性

バイオプラスチックは、環境問題の解決に役立つものです。具体的には、二酸化炭素の排出量やプラスチックゴミを削減できると期待されています。以下では、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックに見込まれるメリットをご紹介します

バイオマスプラスチックがもたらすメリット

バイオマスプラスチックがもたらす主なメリットは、二酸化炭素の排出量削減や化石資源の使用量抑制です。原料となる植物には、光合成で大気中の二酸化炭素を吸収する性質があります。そのため、バイオマスプラスチックを焼却した時に二酸化炭素が発生しても、トータルの排出量は相殺され二酸化炭素の全体量は増えないといわれています。

また、植物資源は、一定の間隔で再生可能です。植物由来のバイオマスプラスチックを継続的に製造すれば化石資源の使用量は抑えられ、地球資源の枯渇防止にもつながります。バイオマスプラスチックは、主に以上の2点から、環境問題の解決に貢献できると期待されています3

生分解性プラスチックに見込まれるメリット

生分解性プラスチックに見込まれる主なメリットは、プラスチックゴミの削減や廃棄コストの軽減です。このプラスチックは、水と二酸化炭素に変化する性質を備えています。分子構造が断片化されたうえで微生物に分解されるため、プラスチックの姿は失われゴミの量を削減できます。

プラスチックが水と二酸化炭素になる性質は、廃棄処分にかかる手間を省くのにも効果的です。所定の処理を済ませれば自然界に戻っていくため、ゴミとして焼却処分する必要はありません。生分解性プラスチックは、プラスチックの分子を分解できる特徴から地球環境への負荷を軽減できると見られています。

バイオプラスチックが抱える今後の課題

バイオプラスチックが抱える今後の課題

バイオプラスチックが抱える今後の課題は、価格・原料確保や分解速度・分解割合に関わる問題です。これらの問題を改善しなければ、需要の拡大は難しいといわれています。以下では、具体的に何が問題になっているかご紹介します

価格が高め

バイオプラスチックのうちバイオマスプラスチックは、従来品に比べると価格が高めです。現在、バイオマスプラスチックの値段は、以前から使われているプラスチックの1.5 ~5倍といわれています。価格が従来品の数倍であることは、需要の拡大を妨げる大きな原因になっています。バイオマスプラスチックの価格を下げるには、大規模な設備投資による量産化が必要です。

ただし、需要が伸びない状況のなか、メーカーは大規模な設備投資を進められず悩まされているとの声が聞かれます。そのため政府は、メーカーのコスト負担を軽減する方法として、需要の喚起策とともに税制面の優遇策を実施する必要があると指摘されています。

原料確保が困難

バイオマスプラスチックについては、原料確保の難しさも今後の対策が望まれるといわれる課題です。現在、国内外では、将来的に世界規模で食料不足になると懸念されています。また、多くの農地は、化学肥料の影響で土地がやせて食料を栽培できなくなると指摘する声もあります。農地が減るなか食べ物が足りなくなれば、残された土地では食料生産が優先されるでしょう。

その結果、バイオマスプラスチックに使われる植物は生産量が減り、原料確保は難しくなる可能性があると予想されています。バイオマスプラスチックの原料を確保するには、やせた土地や食料問題への対策も必要になると考えられます。

分解速度が遅い

分解速度の遅さは、バイオプラスチックのうち生分解性プラスチックが抱える大きな課題です。生分解性プラスチックは、樹脂によって分解にかかる時間が異なります。水と二酸化炭素に変わるまで長い時間がかかっていると、結果的にプラスチックゴミは増える可能性があります

ただし、必ずしも短時間での分解が望まれているわけではありません。例えば、釣り糸は海洋生物による誤飲を避けるため速やかな分解が求められるのに対し、砂漠の緑化に用いられる保水性フィルムは年単位で分解される必要があるといわれています。以上の意見をふまえた場合、生分解性プラスチックは、用途に応じた樹脂の使い分けが不可欠と理解できます。

分解割合が異なる

生分解性プラスチックは、樹脂の種類による分解割合の違いも、今後の改善が求められている課題です。これまでに開発された生分解性プラスチックは、土や水のなかでの分解割合に差異が見られます。樹脂によっては、「コンポスト」と呼ばれる高温多湿の環境では分解可能ですが、土壌環境や水環境では分解されにくいと確認されています。

また、生分解性プラスチックが水と二酸化炭素へ完全に分解されないケースも、放置できない問題です。プラスチックに分解不可の成分が混ざっていると、そのまま分解されず海洋に流れ出す恐れがあります。自然生態系への影響を考えると、土壌環境や水環境でも完全に分解できるプラスチックの開発が急がれます。

さらに、プラスチックは、使い勝手のよさも重要です。地球環境に配慮していても、普段使いに耐えられないと需要は増えないでしょう。そのため、分解性の向上とともに、従来品と変わらない強度や耐熱性の維持も今後の課題に挙げられています。

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