ERPとは何?基礎知識やメリット・デメリット
更新日:2022.11.08スタッフブログERPは、企業の基幹システムを連携・統合することで社内データを一元管理するために開発されたシステムです。昨今は、ネット上で多くのサービスが提供されるようになり、様々な形態でERPの使用が可能になりました。ただし、予想外にコストがかかるなどの問題にぶつかる可能性があるため注意が必要です。そこで今回は、ERPの概要を解説するとともに、主な種類やメリット・デメリットなどをご紹介します。
目次
ERPの概要
ERPは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略です。企業の基幹となる業務を統合し、企業にとっての資源(ヒトやモノ)に関するデータを、効率的に一元管理するために誕生しました。
ERPが統合する基幹業務
現在、ERPが統合する企業の基幹業務は、主に会計、人事、生産、物流、販売の5分野です。それぞれの分野のデータを処理する基幹システムは、「会計管理システム」「人事給与管理システム」「生産管理システム」「在庫購買管理システム」「販売管理システム」に分けられます。
これらが独立したままでは、従来の管理方法と変わりません。すべての基幹システムのデータを統合管理するため、新たに開発されたシステムがERPです。ERPの誕生により、基幹システムの間でデータを受け渡す必要はなくなり、作業の効率化が実現しました。
以上の特徴から、ERPは「統合基幹業務システム」、あるいは「業務統合パッケージ」などの名でも呼ばれています。
従来の基幹システムの問題点
従来の基幹システムが抱えていた大きな問題点は、各システムの間でデータを連携させる時の作業効率の悪さです。かつて多くの企業では、様々な業務分野ごとに別々のシステムでデータ管理する方式が一般的でした。通常、同じ社内でも業務分野が違えば情報処理する方法も変える必要があったためです。
ただ管理システムが異なると、最終的に全データを集約する時に改めて入力する手間が発生しました。ひとつデータを各システムに反映する場合も、人手がかかる事態を招きます。さらに人為的なミスも起こりやすかったため、個別の基幹システムによるデータ管理は効率が悪いと問題視されました。
ERPの由来となった手法
ERPの由来は、MRP:資材所要量計画(Materials Requirements Planningの略)と呼ばれる手法です。もともとMRPは、経営学の分野で提唱されました。1960年代には製造業の生産管理を効率化する情報システムとして登場し、さらに1970年代には利用対象を人材管理や資金計画へと広げます。
ERPは、このMRPの考え方を一般企業のデータ管理に適用したシステムです。企業が保有する資金、資材、人材、情報、物流などを経営資源と見なし、様々な資源に関するデータ全般の統合管理による、効率的な運用を目指しています。
MRPから派生した経営管理システムとして知られ、1990年代にコンピュータシステムが高度化するなか普及したといわれています。
ERPの主な種類
ERPの種類は分類基準によって違いがあり、主な分類基準は導入形態・機能性・対応範囲の3つです。
導入形態から見た種類
導入形態を基準として見た場合、ERPの主な種類は「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つです。
オンプレミス型とは、企業でサーバーを用意し、システムをインストールするタイプを指します。自社の業務スタイルに合わせカスタマイズしやすい一方で、システムの構築や保守管理に時間やコストがかかるため、大企業向けといえるでしょう。
一方クラウド型とは、企業がネット上で提供されるサービスにアクセスするタイプです。事前にサーバーを用意する必要はなく、ネット環境が整っていれば手軽に導入できるため、中小企業でも利用しやすいといわれています。
サーバーを自社で保持する必要がないため、オンプレミス型よりクラウド型のほうがコスト削減に効果的です。クラウド型は、データをクラウド上にアップロードする必要があるため、セキュリティ面の不安がデメリットでした。以前に比べるとセキュリティ面の安全性が向上したとの声も聞かれますが、セキュリティ面を重視してベンダーを選ぶことをおすすめします。
機能性から見た種類
機能性の違いを基準に見ると、主な種類は「パッケージ型」と「フルスクラッチ型」の2つです。パッケージ型は、あらかじめ提供元が用意したパッケージを利用します。大きな特徴は、一般企業で必要とされる機能が幅広く標準搭載されているところです。ただし、自社のシステムに適合しているか、事前のチェックは欠かせません。
フルスクラッチ型は、サービスを利用する企業のニーズに合わせ、提供元が全システムをオーダーメイドで構築します。自社の業務スタイルと完全に適合するシステムを実現できますが、どんなシステムが望ましいかを事前に協議することは重要です。
これらの特徴から、フルスクラッチ型は導入までに時間がかかるとの指摘もあり、パッケージ型のほうが比較的導入しやすいといわれています。
対応範囲から見た種類
システムの対応範囲を基準に見た時、主な種類は「統合型」と「コンポーネント型」の2つです。統合型の場合、一通りの業務についてデータ全体を一元管理できます。いずれかの基幹システムに入力したデータは、残りの基幹システムにも即座に反映され、リアルタイムで利用可能になります。
コンポーネント型は、ERPの対応範囲を一部の必要なシステムのみに限定するタイプです。すでに管理体制が整備され不便の感じられない基幹システムは、統合対象から省かれます。統合型は全システムの連携が欠かせず、導入時に要するコストは大きな難点です。コンポーネント型は連携作業の手間を軽減できますが、一部のデータにしか対応していない点に注意する必要があります。
ERPのメリット・デメリット
ERPがもたらす大きなメリットは、ひとつのシステム下で社内データ全体を一元管理できるところです。ただ、導入時や保守管理にかかるコストなどはデメリットに挙げられます。
社内データ全体を一元管理
社内データ全体の一元管理は、システムへの入力作業を効率化できる意味で大きなメリットです。それぞれの基幹システムが独立していると、ひとつのデータを個々のシステムに何度も入力する手間が生じます。基幹システムによっては、同じデータでも入力方式に合わせて表現などを変える必要もあると指摘されています。
ERPにより、各システムを連携することで社内データを一元管理する場合、繰り返しの入力作業や表現を変える手間は発生しません。ひとつのデータは一度だけ入力すれば済むため、作業効率は向上します。また人手による入力回数が減ると人為的なミスは起こりにくくなり、データの正確性も上昇すると期待されています。
総合的な経営判断も容易に
ERPは社内データの全体像を速やかに把握できるシステムであり、総合的な経営判断が容易になる点もメリットのひとつです。
様々な基幹システムがERPにより連携されると、それぞれが分離しているよりも、社内データの全体像を把握するのに手間はかかりません。いち早く全データを一覧できれば、それだけ総合的な経営判断は示しやすくなると考えられます。
迅速かつ適切な経営判断は、生産性の向上や売上増進につながるでしょう。この点まで含めるなら、ERPは単に社内のデータ処理を効率化するだけでなく、会社経営全体にも好影響を及ぼすシステムといえるかもしれません。とはいえ上記の通り、タイプによってはコスト面などに問題を抱えています。どのERPを選ぶか検討する際は、既存システムとの適合性をはじめ、社内のニーズについて十分に理解しておくことをおすすめします。
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