行政書士のキャリア|試験概要や資格取得後の流れ

更新日:2023.10.23スタッフブログ

行政書士のキャリア|試験概要や資格取得後の流れ

行政書士は、合格率が高くないものの、業務内容の幅広さなどが魅力といわれている士業の一つです。最近は、政治・社会状況の変化から、行政に関わる分野で必要性が高まっているとの声も聞かれます。この機会に行政書士の資格を取得すれば、将来的なキャリア形成に有利になるかもしれません。そこで今回は、行政書士の試験の概要を解説し、資格取得後の流れや試験合格後のキャリアをご紹介します

※関連記事「行政書士が作成・申請代理できる書類の種類を紹介」はこちら

行政書士の試験の概要

行政書士の試験概要

行政書士とは、官公署に提出する申請書や権利義務・事実証明に関わる書類を作成する国家資格者です。通常、この資格を取得して行政書士になるには、国家試験に合格する必要があります。以下では、行政書士試験の概要をご紹介します

行政書士試験のスケジュール

行政書士試験は、総大臣の指定を受けた一般財団法人行政書士試験研究センターが実施している資格試験です。

同センターによれば、2023年度の試験スケジュールは次の通りに示されています。

申込期間 (郵送)2023年7月24日~8月25日
(ネット)同年7月24日~8月22日
試験日 2023年11月12日
合格発表 2024年1月31日

今年度の申込受付は、郵送・ネットとも8月中に終了しました。申込手続きが完了している場合、10月23日に受験票が発送される予定です。また、合格発表日に合格通知書が発送され、合格者には2024年2月16日発送で合格証が届く流れになっています。

試験時間や合格点

2023年度のスケジュールを見ると、行政書士試験の実施時間は午後1時から午後4時までです。試験当日の集合時刻は、午後0時20分に設定されています。早めに実施会場へ到着した場合、午前11時50分から試験室に入室可能です。午後0時30分から受験上の注意事項が説明されるため、それまでに受験番号の座席へ着席する必要があります。

行政書士試験研究センターが示した資料によれば、2022年度の合格基準点は300満点のうち180点以上でした。また試験科目ごとでは、法令等科目が244点のうち122点以上、一般知識等科目が56点のうち24点以上と発表されています。各科目の得点と総合点がいずれも基準点をクリアした場合に、合格が認められています。また、合格者の平均得点は197点でした。

合格率・他の資格との比較

合格者数円グラフ

行政書士試験研究センターの資料によると、2022年度の合格率は全体で12.13%でした。男女別で見た場合、それぞれ13.17%・9.89%になっています。具体的な人数を示すと、受験者47,850人のうち合格者は5,802人でした。2021年度は受験者47,870人のうち5,353人が合格、2020年度は同41,681人のうち4,470人が合格しています。これらのデータから、ここ数年間の合格率は約1割です。

資格関係の情報サイトなどでは、他の資格に比べて行政書士試験の合格率は低いといわれています。ただし、年齢や学歴に関する受験資格はなく、性別を問わず幅広い年齢層が受験しています。受験者層の幅広さをふまえた場合、行政書士試験は、合格率が低いから内容が難しいと考える必要はないでしょう。

参照
一般財団法人行政書士試験研究センター 「令和4年度行政書士試験実施結果の概要」 (参照2023-1-25).
一般財団法人行政書士試験研究センター 「令和2~4年度試験結果分析資料」 (参照2023-1-25).

行政書士に合格した後の流れ

行政書士の合格した後の流れ

行政書士試験の合格者が実際に行政書士として活動するには、日本行政書士会連合会が設ける名簿への登録が必要です。以下では、名簿登録の要件や登録手続きの流れをご紹介します

名簿登録の要件

行政書士として日本行政書士会連合会の名簿に登録する場合、行政書士の資格を有することが前提になります。同資格を有すると認められるケースは、行政書士法で定められています。法律上の規定内容を簡単に示すと、次の通りです。

  • 行政書士試験に合格
  • 弁護士や公認会計士の資格がある
  • 行政事務の経験が一定期間ある

上記項目のいずれかに該当すれば、法的に行政書士の資格があると認定されます。該当項目の詳細は、日本行政書士会連合会のホームページなどで確認できます。ただし、未成年者をはじめ一部のケースでは有資格者と認められないため、法規定を確認しておくことは大切です。

登録手続きの流れ

日本行政書士会連合会の名簿に登録する時は、同会に必要書類を提出し、活動拠点となる地域の行政書士会へ入会します。登録申請に必要な書類は、申請書・履歴書・誓約書・住民票の写し・身分証明書・顔写真です。また、申請者によっては、戸籍抄本や公務員職歴証明書の提出も求められる場合があります。

申請書類は、活動地域の行政書士会に提出するのが通例です。その後、提出書類は精査され、日本行政書士会連合会へ取り次がれる流れになっています。さらに、各地の行政書士会では、入会手続きの申請も可能です。日本行政書士会連合会は、申請者について審査し、問題がなければ行政書士名簿に登録します。登録作業を済ませると申請者への通知書を発行し、登録証と行政書士証票を作成します。

最終的に名簿登録の通知書や登録証が申請者へ交付されると、一通りの登録手続きは完了です。なお、申請書・履歴書・誓約書については、日本行政書士会連合会のホームページで様式や記入見本を確認できます。また、登録・入会時には、別途に登録手数料や入会金が必要になるといわれています。

行政書士合格後のキャリア

行政書士合格後のキャリア

行政書士の業務内容は、行政関係の書類作成から公的手続きに関する相談まで広範囲です。資格試験に合格した後は、さまざまなキャリアを積める可能性があります。以下では、資格が活かせる業界や行政書士になるメリットをご紹介します

行政書士の資格が活かせる業界

行政書士の資格が活かせる業界は、大きく分けて行政方面と一般企業の2つです

行政方面

行政方面の主な就職先としては、行政書士事務所が挙げられます。資格試験に合格した時点で専門業務の経験が少ない場合、行政書士事務所で専門的な業務経験を積んでから独立開業を目指すケースが見られます。独立開業は、多くの有資格者が選択している働き方です。開業前に研修を受ける必要がなく、事務所を開きやすいといわれています。自宅を利用する時は居住部分と業務部分の明確な区別を求められますが、初期費用は抑えられるでしょう。

一般企業

一般企業の場合、行政書士が必要とされる部署は、法務部や総務部です。行政書士はビジネス関係の法律知識も身につけているため、資格を取得していると重宝される傾向があります。また、最近は福祉行政を重視する動きがあり、福祉方面でも必要性が高まると期待されています。

行政書士になるメリット

多彩な書類を扱える

資格試験に合格して行政書士になるメリットは、多彩な書類を扱える点です。国民生活は、さまざまな場面で行政手続きと関わっています。企業設立や飲食店の開業から遺産相続や帰化申請まで、公的機関での書類手続きは避けられません。そのため、行政書士は幅広い方面から書類作成を頼まれる利点があります。

独立開業に掛かる手間が少ない

独立開業にかかる手間の少なさも、行政書士になる場合の大きなメリットです。主な業務は書類作成であり、大規模な事務所を用意する面倒はありません。自宅で開業すれば、家事・育児の合間でも業務を進められるでしょう。さらに、性別を問われない点も、目を向けたいメリットです。昨今は女性がDVの被害を受けるケースが増え、また離婚関係の相談も多くなり、女性の行政書士を求める声は強まったといわれています。

公務員から転職しやすい

資格試験の合格率に大きな男女差は見られないため、性別を気にして受験を控える必要はないでしょう。また、公務員から転職しやすいところも、メリットに挙げられるかもしれません。公務員の場合、行政事務を担当した期間が通算で20年に及べば、法的に行政書士の資格があると認められます

そのため、公務員として働いている場合、試験を受けずに行政書士の資格を取得して独立開業する選択肢もあります。なお、士業事務所で電話対応が間に合っていない場合、着信の取りこぼしを減らすなら、着信時の1次対応を任せられる電話代行はおすすめのサービスです。

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