知っておきたい!ダイバーシティ経営の基礎知識
更新日:2024.01.25ビジネス豆知識顧客ニーズの多様化や経済のグローバル化が進むなか、ビジネスシーンで注目を集めている新戦略がダイバーシティ経営です。とくに国内では少子高齢化による労働力不足も大きな問題となっており、経済産業省が新たな経営戦略を推進しています。この機会に、いま注目の経営スタイルについて理解を深めておいてもよいでしょう。そこで今回は、ダイバーシティ経営の定義や企業で取り入れるメリットなどをご紹介します。
目次
ダイバーシティ経営とは
ダイバーシティ経営は、企業が多種多様な人材を最大限に活用する経営戦略です。顧客ニーズが変化する現在、経済産業省が積極的に推進しています。
言葉の定義
本来、ダイバーシティは英語の「diversity」を指します。基本的な言葉の意味は、「多様性」です。「意見の種類」や、「人種・社会的状況の違い」などの意味のほか、「相違点」や「食い違い」といった意味もあります。
英語本来の多様性のニュアンスをビジネス方面に反映した表現が、「ダイバーシティ経営」です。その意味合い通り、一般的に企業が人材の多様性を活かす経営戦略と定義されています。日本では女性の人材活用が注目されがちですが、言葉の意味をふまえれば、性別だけでなく多様な年齢層や職歴も活かす戦略といえます。
発祥の地はアメリカ
最初にビジネス分野でダイバーシティの概念が取り入れられた発祥の地とされるのはアメリカです。かつてダイバーシティの概念は、アメリカの人種差別に関する問題のなかで使われ始めました。1980年代には、この考え方から人種の違いや文化の違いに価値があるとの意見が登場します。
ビジネス分野に取り入れられた大きな要因は、労働人口の動きです。将来的にアメリカの労働人口は女性、高齢者、移民の比率が増すと予測されました。この予測から今後は多様性を活かす経営スタイルが必要になると認識され、ダイバーシティ経営の考え方が浸透していきます。
国内で推進される背景
いまダイバーシティ経営が経済産業省により国内でも推進されている背景には、とくに顧客ニーズの多様化があります。戦後しばらくは、全国的に多くの物資が不足していた影響もあり、新商品を販売すればヒットする流れが生まれていました。その状況下で、さまざまな企業は新たな商品・サービスの開発に力を注ぎます。
それぞれの家庭に一通りの生活必需品が普及すると、顧客のニーズは多様になりました。以前と異なり新商品を販売しても必ず売れるとは限らず、企業によっては競争力が低迷していきます。近年では、経済分野のグローバル化が著しく進んでいます。そのなかで、経済産業省が企業の競争力低下に危機感を抱きました。打開策として推進している新戦略がダイバーシティ経営です。
企業にもたらすメリット
ダイバーシティ経営が企業にもたらす主なメリットは、優れた人材の確保を見込める点です。多様な価値観が従業員の成長を促し、雇用を創出すれば、地域社会に貢献できるとの意見も聞かれます。以下では、具体的なメリットをご紹介します。
優れた人材の確保
職場でダイバーシティ経営を進めた場合、とくにメリットとして期待されるのは優れた人材の確保です。近年、国内では少子高齢化の流れが止まらず、かつてほど容易な人材確保ができなくなりました。ほとんどの職場は人手不足に悩まされるものの、必要に応じた人員補充ができず苦労しています。
人手不足の悩みを解決に導く戦略が、さまざまな人材を幅広く活用するダイバーシティ経営のスタイルです。この方式なら、性別をはじめ年齢や職歴、国籍、価値観を問わず多様な労働力の確保が実現します。さらに職場では各々の多彩な才能やスキルが発揮されると予想されています。その意味でもメリットは十分にあると考えられています。
従業員の成長を促進
社内における従業員の成長促進も、ダイバーシティ経営がもたらす大きなメリットのひとつです。職場で従業員の成長が促される主な要因としては、多様な価値観の衝突が挙げられます。ダイバーシティ経営により多少であれ意見や考え方の違う人材が採用された場合、価値観の衝突は避けられないでしょう。
価値観の衝突は、それぞれの従業員の意見や考え方を見直す絶好の機会です。これまで当たり前でなかった価値観がよい刺激になれば、仕事に対する考え方や業務の進め方を改善するチャンスになります。結果的に従業員のモチベーションや作業効率が上がり生産性の向上をもたらせば、職場にとってのメリットも大きいといえます。
地域社会にも貢献
職場でダイバーシティ経営を取り入れ雇用を創出すると、地域社会に貢献できる可能性もあります。現在、国内では大都市への人口の一極集中が進み、地域によっては労働力に限らず人口減少が問題視されています。そんな問題の解決にも、多様な人材を活用するダイバーシティ経営のスタイルは有効です。
上記の通り、この方式で活用する人材には女性だけでなく高齢者、外国人労働者や障害者も含まれます。全国各地に眠る幅広い人材に活躍の場を提供すれば、地域の活性化にも貢献できるでしょう。全国各地の職場で多くの雇用が創出され地域が活性化すると、その影響で各地の居住人口が増える可能性もあると考えられます。
国内で知られる成功事例
すでに国内では、ダイバーシティ経営の成功事例が少なからず知られています。代表的な好例は以下の通りです。
女性従業員が商品開発に活躍
女性従業員が活躍する成功例としては、同じ女性をターゲットに商品開発したケースが挙げられます。職場で女性の活用を試みた職場は、アルコール飲料などのメーカーとして広く知られる企業です。ダイバーシティ経営を進めた背景には、ビール市場の縮小があるといわれています。
かつて職場では、主に男性社員が商品開発を担当していました。そんな状況のなか新たな市場の開拓が必要になり、働く女性をターゲットとする商品を開発するため積極的に女性が登用され始めます。この試みは、女性従業員の参加により多角的な視点から企画が提案されるなどの成果に結びつきました。
外国人活用でコミュニケーションを円滑化
職場に外国人を積極採用したケースでは、コミュニケーションの円滑化に成功した事例が知られます。この成果を達成した職場は、腕時計や計算機のジャンルで有名な企業です。実際の取り組みとしては、とりわけ外国人の従業員が働きやすい職場環境づくりに力を入れています。
従業員同士のコミュニケーションの円滑化に効果を発揮したのは、ビジネス日本語検定の受験料を補助する仕組みです。また母国帰国休暇を制度化し、外国人が有給休暇を申請しやすい環境も整えました。さらに外国人労働者の信仰する宗教に合わせ、職場にお祈り部屋も設置しています。
高齢者の採用が適切な役割分担を実現
高齢者を積極採用した職場は、年齢に応じた適切な役割分担の実現に成功しました。幅広い年齢層の活用にダイバーシティ経営を取り入れた会社は、長野で食品類の製造販売を手がけるメーカーです。社内で「60歳入社」や「定年なし」をスローガンに掲げ、高齢者の採用を盛んに進めました。
職場では、若手と高齢者の同時採用により各々の年代の強みが活かされています。若手はフレッシュさや体力で勝負し、高齢者は豊富な知恵や経験値を武器にすることで年齢にふさわしい役割分担を成し遂げました。この役割分担がもたらした大きな成果は、チームとしてのパフォーマンスの向上です。さらに幅広い年齢層が働きやすい職場環境も実現し、平均勤続年数11年も達成しています。
職場の人手不足を解消するため多様な人材を活用したいと考える場合などに、ダイバーシティ経営を検討する価値は十分にあるでしょう。
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