女性管理職を取り巻くさまざまな問題とは
更新日:2023.03.22ビジネス豆知識2015年8月の国会では、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が成立しました。企業の実態を測るひとつの物差しとして、「女性が活躍できているか」が挙げられるようになったのもこの時期です。しかし、さまざまな職種で女性の活躍が取り上げられているものの、まだ十分とはいえないのが現状です。そこで今回は、女性管理職にスポットを当てて、女性の社会進出を取り巻くさまざまな問題や、今後取り組んでいくべき施策などをご紹介します。
目次
女性管理職の現状
女性管理職の現状について、平成29年度の内閣府男女共同参画局の調査結果が以下の通りです。
【従業員数30人以上の民間企業における管理職等】
□役員・・・16.0%(前年度15.7%)
□部長相当職・・・5.4%(前年度5.4%)
□課長相当職・・・8.6%(前年度7.9%)
これを見ると、女性の管理職が少しずつ増えているとはいえ、圧倒的に男性のほうが多いことが分かります。実際、日本の女性管理職の割合は、国際的に見ても低い数字です。独立行政法人労働政策研究・研修機構が作成した「データブック国際労働比較2018」によると、2016年時点における各国の女性管理職の割合は以下の通りです。
□日本・・・12.9%
□アメリカ・・・43.8%
□イギリス・・・36.0%
□ドイツ・・・29.3%
□スウェーデン・・・39.3%
□フィリピン・・・48.9%
□シンガポール・・・35.2%
□オーストラリア・・・36.6%
欧米諸国だけでなく、アジアの国々と比較しても日本の数値が低いことが分かるでしょう。
女性の管理職割合が高くなるメリット
女性の管理職割合を高くするためには、そのメリットを各企業や団体が理解する必要があります。以下では、女性の管理職割合が高くなると、どんなメリットがもたらされるのかご紹介します。
生産性や競争力の向上
女性が他の男性社員と同様に管理職に就くことで、女性の社会進出や会社内での地位の向上が認められます。その結果、女性社員だけでなく、男性社員も含めた競争力や生産性の向上が見込めるでしょう。
意思決定の多様性
近年は、製品やサービスの利用者のニーズも多様化しており、今まで通りの男性視点ではうまくいかないことも増えています。女性の管理職登用が増え、意思決定に女性の考えが反映されることで、今までにはなかった問題の解決方法や、新たなニーズの獲得などにつながるでしょう。
働き方の変化
後述する通り、長時間労働や転居を伴う異動などは、女性の管理職割合の増加に悪影響を及ぼしています。そのため、女性の管理職を増やすためには、各企業は働き方についてさまざまな施策を打ち出す必要があります。その結果、育休取得の推進や時短勤務など、女性だけでなく男性にとっても働きやすい環境になるでしょう。
女性管理職が増えない理由
女性管理職が増えることのメリットを理解しつつも、その割合がなかなか増えないのも事実です。女性管理職が増えない理由にはどういったものがあるのでしょうか。
女性自身の意識の問題
もっとも大きいのが女性自身の意識の問題です。そもそも、「管理職になりたくない」と考えている女性は、少なくありません。パソナ総合研究所が実施した「管理職への意向」に関する調査では、管理職に「なりたい」と回答したのは50代から60代の31.2%がもっとも高い結果となりました。一方、20代の49.4%は「なりたくない」と回答しており、若い方ほど管理職への意向が弱い実態が明らかになりました。
管理職になりたくない理由については、同調査では「大変そう」「責任が重くなるのが嫌だから」「給与面で魅力がない」などが挙げられています。「女性が管理職になるために必要なこと」についての回答は、「男性社員や上司の理解促進」がもっとも多く、女性管理職の割合を増やすための努力が、会社だけでなく男性社員にも不足していることが分かります。女性自らが管理職になりたいと思える様に、会社や周囲の男性社員・上司も含めて環境整備をしていく必要があるでしょう。
正社員に占める女性の割合が少ない
そもそも、正社員に占める女性の割合が少ない点も、女性管理職が増えない理由のひとつでしょう。HR総研が行った「女性活躍推進」に関する調査では、正社員に占める女性に割合について、「10~30%未満」が47%、「30~50%未満」が22%、「10%未満」が15%となりました。
女性比率が30%未満の企業が62%もあることから分かる通り、そもそも正社員に占める女性の割合が少ないといえます。女性比率が少なければ、男性社員と比べてチャンスを与えられる可能性も低くなり、管理職登用の機会にも恵まれにくいでしょう。女性管理職を増やすには、まず女性の正社員を増やすことから始める必要がありそうです。
男性と同様の働き方ができない女性が多い
働き方が多様化し、女性の社会進出が進むなかで、家事や育児といった今まで女性に任せきりにしていた分野に男性が参加することも「当然のこと」とされる様になってきました。しかし、子どもが急病の際の対応や、単身赴任の可否など、女性が男性と同様の働き方をするのは、まだまだ難しいのが現状です。男性のなかには、「育児休暇すら取りにくい雰囲気がある」という声も聞かれます。
女性の管理職を増やすためには、男性社員も含めた全員の働き方を見直す必要があるのかもしれません。
女性の活躍推進に関する国の取り組み
前述の通り、2015年8月の国会で「女性活躍推進法」が制定され、女性の社会進出について国を挙げて取り組んでいます。そこで以下では、女性の活躍推進に関する国の取り組みを確認しましょう。
2030目標
2030目標とは、2003年に政府が「2020年には指導的地位(管理職等)に占める女性の割合を30%以上にする」と定めたものです。30%という数字の根拠としては、国連ナイロビ将来戦略勧告で提示された30%という数字や、諸外国の女性の割合などを勘案して決定されています。
輝く女性応援会議の設置
平成26年3月28日には、女性が輝く社会の実現に向けて、さまざまな職種や立場の女性、角界の著名人などが参加する会議が行われています。特に、現在は男性中心となっている理工系や農業系の分野でも、女性の社会進出を進めるべく話し合いが進められています。
今後進めていきたい施策
以上を踏まえて、企業が女性管理職を増やすためにはどうすれば良いのでしょうか。以下では、今後進めていきたい施策をご紹介します。
評価システムの見直し
日本の企業の評価システムには、依然として年功序列といった制度も見受けられ、能力に応じた正当な評価を受けられない現状があります。仕事の成果に応じた正当な評価を受けられなければ、仕事に対する意欲を伸ばすことはできず、管理職になりたいという女性も現れないでしょう。まずは、評価システムを能力や実績にもとづくものに変更する必要があります。
男性社員も含めた働き方改革
管理職とは、社長や役員といった会社の上層部に変わって、現場の一般社員を指揮する重要な役割です。そのため、会社に対する尊敬や信頼がなければ、管理職として会社を支えたいとは思えないものです。女性に「この会社のために働きたい」と思ってもらうためには、男性社員も含めた働き方改革が必要でしょう。有給休暇の取得や長時間労働の禁止などは当然として、産休や育児休暇の取得をスムーズに行える仕組み作など、全員で会社を支えていくルールを作ることが大切です。
サポート体制の確立
管理職になったものの、周りが男性ばかりで困った時に相談しづらいケースも少なくありません。女性の管理職を増やすためには、管理職となった後のサポート体制も必要不可欠です。同じ境遇に立つ女性社員や役員が手を差し伸べ、管理職としてその能力を遺憾なく発揮できる様、環境を整えましょう。
少子高齢化や労働力の低下が進むなかで、女性の社会進出、管理職の増加は欠かせません。そのためには、女性からのアクションを待つのではなく、会社自らが環境を整える必要があります。社員の意見を募り、より働きやすい会社にしていきましょう。
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