弁護士法人と弁護士事務所の違いについて
更新日:2022.05.09スタッフブログ弁護士法人と弁護士事務所は共通点も少なくありませんが、いくつか違いもみられます。担当の決め方や待遇の違いについて知っていると、独立開業する時や就職先の選択に役立つかもしれません。そこで今回は、弁護士法人と弁護士事務所のさまざまな違いや、法人に課される各種の条件をご説明します。
弁護士法人と弁護士事務所の特徴を比較!
基本的な違い
弁護士法人と弁護士事務所の基本的な違いは、本拠地となる事務所以外に支店を設置できるかどうかです。
弁護士法人は特に制限がなく、いくつでも支店を出せます。手広く支店事務所をかまえられるので、全国各地での営業展開が可能です。支店を増加すれば依頼件数も伸びる可能性があり、それだけ多くの収益を見込めます。また弁護士法人に就職した場合、複数の支店から勤務先を選べる可能性があります。
それに対し、弁護士事務所の場合、支店営業は不可です。活動拠点はひとつの事務所に限られるため、支店の設置数に応じた業務依頼の向上は望めません。しかし、特定の地域に密着しながら腰をすえて業務を処理したいと考える人には適しています。弁護士法人と違い支店がないので、勤務先がいろいろな場所に変更される心配もありません。
なお、いずれも構成人数に規定はなく、ひとりで弁護士法人を設立するケースだけでなく、数人の弁護士が所属している弁護士事務所もみられます。それぞれの業務範囲も区別されていないので、特に片方しか取り扱えない分野などはありません。
法人に課される各種の条件
弁護士法人は、2002(平成14)年4月に弁護士法が改正され設立可能になりました。法律事務所は個人が運営しますが、こちらは弁護士法人として営業する方式です。そのため、設立時には一般的な企業と同じく定款の作成などが必要であり、公証人による認証を受けて登記するといった手続きがともないます。名称については、必ず「弁護士法人」という文字を使わなければいけません。
これらの手続きが完了して弁護士法人が成立したら、その旨の届け出が不可欠です。成立日から2週間以内に、一通りの必要書類をそろえて提出しなければいけません。提出先は、その法人が所属する弁護士会と日本弁護士連合会です。
社員は、弁護士資格が不可欠です。業務停止などにより資格が失効している期間中などであれば、弁護士法人の社員になれません。弁護士法人の社員になった弁護士は、別の弁護士法人に所属することも禁止されています。どこかの弁護士法人に加入している弁護士は、別の法人の社員を兼任できません。また原則的として、すべての支店には各事務所が所在する地域の弁護士会に入っている社員が常駐する必要があります。
担当の振り方の違い
弁護士法人と弁護士事務所は、業務依頼があった時の引き受け方などにも多少の違いがみられます。
弁護士法人の場合、仕事を引き受ける担当者は個々の弁護士でなく法人全体です。複数の依頼があった時、在籍する弁護士はあらゆる案件に対して連帯責任を負います。案件ごとに別々の弁護士が担当しても、何か問題が発生したら実際には関わっていない弁護士も法人の一員として責任を問われるわけです。弁護士法人が何らかのトラブルに巻き込まれ業務停止になった時は、順調に処理していた案件もすべてストップしてしまいます。
一方、弁護士事務所は所属弁護士がそれぞれ別々の依頼を受けた場合、おのおのの案件について担当者以外の弁護士に責任は及びません。この点は、あくまで組織全体が依頼の受託者となり案件のすべてに対して全社員が責任を持つ弁護士法人との違いです。
弁護士法人には連帯責任という規定があるため、業務を通じて組織が何らかの負債を抱えた時は社員にも返済の義務が生じます。勤務している支店の債務でなくても、法人が完済できなければ全社員が連帯して弁済することが原則です。
待遇面の違い
待遇面では、福利厚生に関して違いがみられます。多くの弁護士事務所では、各種の保険や年金制度を活用していないケースも珍しくないといわれています。
それとは反対に、弁護士法人は健康保険や厚生年金などの社会保険に加入し、退職金制度まで整備されている場合が一般的です。業務中は、どんな事故に見舞われるか分かりません。仕事に追われ、健康を害する恐れもあります。老後への備えとして、きちんとした年金の積み立ても大切です。福利厚生面に限定すれば、社員にとっては弁護士法人のほうが弁護士事務所より安心感があるかもしれません。
給与に関しては、弁護士法人と弁護士事務所ともに、給与額を含めた雇用条件は営業方針などによって大きく変わってきます。どちらのほうが金銭的に恵まれているか、簡単にはいえません。たくさん支店があり多くの依頼が舞い込む弁護士法人でも、弁護士事務所に比べて給料が高いとは限らないのです。
いずれも業務内容自体には明らかな差異を認められませんが、すべてが共通しているわけではありません。事務所の設立方法や就職先に迷っている時は、いろいろな違いを比較検討したうえで判断することをおすすめします。
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