リスキリングとは?基礎知識と導入のメリット
更新日:2023.01.25ビジネス豆知識リスキリングは、仕事関係の新しい知識・スキルを身につける学習活動です。本来的には失業者の再教育や従業員によるスキルの再習得を意味しますが、近年はIT関連の知識・スキルの習得を意味するケースが増えました。この学習活動を企業が実施すれば、多くのメリットを得られるでしょう。そこで今回は、リスキリングの定義やビジネスの場で注目される理由をふまえ、企業で実施した時のメリットや基本的な手順をご紹介します。
目次
「リスキリング」とは
ビジネスシーンにおける「リスキリング」は、仕事で必要な新しい知識やスキルを従業員が学び直すことです。以下では、言葉の定義や多くの企業から注目される理由をご紹介します。
言葉の定義
「リスキリング」は英語の「Re-skilling」に由来し、「技能(スキル)の再習得」を意味する言葉です。経済産業省は、リスキリングを「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義しています。
もともと海外では、失業者に向けた再教育の意味で使われていました。それに対し近年はIT技術の進歩が著しく、労働者は次々に生まれる新技術を正しく理解する必要に迫られています。そのため、リスキリングは新しい知識・スキルの習得を意味することが多くなっています。
リスキリングが注目される理由
ここ数年、ビジネスの場でリスキリングが注目されている理由は、急速な技術革新により仕事の進め方が大幅に変化したためです。かつて多くの企業では、長年にわたり培った仕事のスキルを上司が部下へ引き継げば業務全体をスムーズに進められました。基本的に従業員は、先輩から教わった仕事のノウハウをほとんど変えずに済んでいたといいます。
一方、現在はIT技術の進歩が著しく、業務現場では作業のデジタル化が盛んになっています。従来の業務スタイルは次々に変わり、従業員が現場作業を滞りなく進めるには新しい知識・スキルの習得が欠かせなくなりました。そのため現在は幅広い職種で従業員を再教育する必要が生じ、リスキリングに注目が集まっています。
リカレント教育との違い
リスキリングと類似したスキルの学習方法に、リカレント教育があります。これらの違いは、仕事と学習活動を並行するか職場を離れて再教育を受けるかの差です。
リスキリングは、仕事と知識・スキルの習得が並行する学習スタイルを指します。従業員はこれまで通りに職場で働きながら、仕事で新たに必要となったノウハウを学び直します。
一方、リカレント教育は新しい知識・スキルを身につけるため職場を一度離れるスタイルです。従業員はスキルの習得が必要になった時に仕事を離れ、大学などの教育機関で学び直してから職場に復帰します。またリスキリングは従業員が身につけたスキルを業務に活かす目的があり、実践面を重視する点も学習活動そのものを高く評価するリカレント教育と異なります。
リスキリングのメリット
リスキリングが企業にもたらす主なメリットは、従業員のスキル向上を期待できるところです。従業員のレベルアップは、人材不足の解消にもつながると見込まれています。以下では、リスキリングで得られるメリットをご紹介します。
従業員のスキル向上を期待できる
従業員のスキル向上は、企業がリスキリングを実施した時に期待される代表的なメリットです。リスキリングは、仕事に関わる知識・スキルの再学習による従業員の能力開発やスキル向上を目指しています。従業員が新たに習得したスキルを仕事に活かせば、業務レベルは上がると期待できます。
さまざまな業種で作業のデジタル化が進むなかでは、IT分野のリスキリングを実施すると従業員のスキル向上に効果的です。従業員がIT関係の新しい知識・スキルを身につければ、業務のクオリティは高まると考えられます。すべての従業員がデジタル化した作業をスムーズに処理できれば、仕事全体も効率的に進められるでしょう。
人材不足の解消につながる
企業によるリスキリングの実施は、従業員のレベルアップで人材不足を解消できるメリットもあります。現在、国内は少子化の流れが止まらず、人材不足は多くの企業を悩ませる問題になりました。とくにIT関係の業務は専門的な知識やスキルが不可欠であり、人材の確保が難しいといわれています。
社内でIT分野に詳しい人材が足りない場合、リスキリングは従業員の指導・育成に効果的です。仕事で必要なスキルの再学習により従業員の技術力が向上した場合、新たな人材を補充する必要性は減少します。IT部門の人材不足が解消すれば関連業務の社外に委託する手間も省かれ、コスト節減にもつながります。
新しいアイデアも生まれやすい
新しいアイデアの生まれやすさも、企業のリスキリングに期待できるメリットの一つです。企業がリスキリングを実施した際、従業員は仕事に関わる最先端の知識・スキルについて学べます。これまでとは異なる仕事の考え方やノウハウを知れば、スキル向上だけでなく新しいアイデアを発想する時にも役立ちます。
従来型の業務方法に問題がある場合、新しいアイデアは仕事の進め方を改善するのに有効です。他に類例が見られない革新的な事業を考案すれば、新たな流行を生み出せる可能性もあります。新たな流行の創出により売上が伸びることは、企業や従業員にとって大きなメリットといえます。
リスキリングの手順
リスキリングの手順は、大きく分けると「学習するスキルの設定」「教育プログラムの作成」「リスキリングの実施」「現場の業務で活用」の4段階です。以下では、それぞれの段階の作業内容などを具体的にご紹介します。
「学習するスキルの設定」
「学習するスキルの設定」は、企業でリスキリングを実施する時に欠かせない最初の手順です。この段階では、どの業務分野について従業員に新しい知識・スキルを学んでもらうか検討します。実際に学習する知識・スキルの中身も明確に設定すると、リスキリングの効果は上がると考えられます。さらに、目標とする人物像を決めることも重要です。社内で不足している人材の育成を目指せば、現場の労働力の強化につながります。
「学習プログラムの用意」
リスキリングで2番目に進める作業は、「学習プログラムの用意」です。企業は、ここで従業員が実践する学習方法を用意します。現在、リスキリングの種類には、社内研修・オンライン講座・社会人大学・eラーニングなどがあります。すべてのプログラムを自社で提供する必要はなく、社外の教育機関も利用可能です。企業が多くの選択肢を用意しておくと、従業員は自分に合った学習プログラムを選択できます。
「リスキリングの実施」
企業が学習するスキルの設定と学習プログラムの用意を終えた後は、従業員がリスキリングを実施する段階です。従業員は、あらかじめ自分で選択した学習プログラムに取り組みます。その際、何の知識・スキルを習得する必要があるか意識すると、企業に求められた人物像を目指しやすくなります。また、学習活動は日々の職場勤務と同時進行になるため、従業員の心身の負担を軽くする工夫も大切です。
「現場の業務で活用」
企業がリスキリングを実施した後、従業員は新たに習得した知識・スキルを現場の業務に活かすことが求められます。リスキリングの目的は、従業員の能力開発やスキル向上にとどまりません。新しい知識・スキルを学んだ従業員は、学習の成果を現場業務に反映する必要もあると考えられています。
そのためリスキリングは学習活動で終わりではなく、現場で活用することが最終段階に設定されています。また企業が以上の手順を進めるうえで、学習活動の強制は好ましくありません。リスキリングに対する従業員の理解・協力を得るには、本人の自主性を尊重する姿勢も大切になります。
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