いまさら聞けないビジネス用語!シナジーとは?
更新日:2023.02.16ビジネス豆知識シナジーは、最近のビジネスシーンでよく用いられる言葉です。「どんな意味か知らないけれど、いまさら周りに聞けない……」という方も多いかもしれません。そこで今回は、シナジーの基本的な意味合いやビジネスでの使い方、またシナジー効果がもたらすメリットなどをご紹介します。
目次
シナジーとは
ビジネスシーンにおけるシナジーとは、簡単に表現すると相乗効果を意味する言葉です。
基本的な言葉の意味合い
シナジーの基本的な意味合いは、複数の人や事物が作用するなかでひとつの機能や効果を高めることです。本来、英語のシナジー(synergy)は、「共同作用、相乗効果、共働き」などを意味しています。個人や組織が共同することで、それぞれの力を単純に足した時より大きな効果が得られるケースを指します。
もともとシナジーは、薬学や生理学の分野でよく使われる専門的な用語でした。とくに医療関係では、個々の筋肉や薬品の共同作用によりそれぞれの力の和を上回る効能などが生じる現象を意味します。力の相乗効果は医療関係に限られた話でなく、後には他の分野でもシナジーと表現され始めました。
厳密な意味でのシナジー効果
シナジー効果と表現した場合、通常はお互いにメリットのある相乗作用を意味します。基本的にシナジーの意味は、相乗効果です。ただ複数の人や事物が協力した際、必ず個別で動くより良好な結果を出せるとは限りません。この場合、協力作業はマイナスに作用したといえます。
それに対しシナジー効果は、あくまで協力作業が双方にとってプラスになる状態です。厳密には、個々の力を足しただけの場合より大きな成果が得られることを意味します。ビジネスシーンであれば、別々の部署が協力した時に、いずれも普段より多くの成果が生まれたなら、シナジー効果があったと表現するのは妥当といえるでしょう。
シナジーのマイナス面
シナジー効果のマイナス面を意味する言葉は、アナジー効果です。この言葉は、シナジー効果と相反する表現に位置づけられています。アナジー効果の基本的な意味は、シナジー効果と真逆です。とはいえ、いずれの言葉が使われる時もスタートラインは共通しているといわれています。
普段はそれぞれ10の業績を出している2つの部署が協力し、20を上回る成果が上がればシナジー効果があったと見なされます。一方、協力した結果が20に届かない場合はアナジー効果です。シナジーが意味する状況のうちでもアナジー効果はマイナス的な側面を指し、よくマイナス(あるいは負)のシナジー効果と表現されます。
シナジー効果がもたらすメリット
ビジネスシーンでプラスのシナジー効果がもたらす主なメリットは、以下に挙げる3つです。
メリット1:コスト軽減
コスト軽減は、シナジー効果により職場にもたらされる可能性の高いメリットです。商品の流通経路や販売場所は、いくつかの会社で共通している場合があります。同業他社が類似する商品を販売している場合、配送ルートと配送先の店舗ともに同じになるケースは珍しくないでしょう。
これまでは各会社が別々に配送作業を進め、コストも個々に発生するパターンが普通でした。そこで複数会社が協力すれば、配送回数の減少につながると考えられます。商品の配送回数が減った場合、それだけでも人件費を含めたコストは軽減できると見込めます。
メリット2:新規顧客の拡大
複数の部署あるいは会社間で協力した時、コスト軽減とともに見込めるメリットが新規顧客の拡大です。最近は人々の価値観が多様化した影響もあり、多くの会社にとって新規顧客の獲得は容易ではありません。それぞれの職場では、さまざまなニーズに応えるため各種の工夫が欠かせなくなっています。
とはいえ、たいていの職場は得意先といえる既存の顧客を多少なりとも確保しているでしょう。別々に顧客を保有していた部署や会社が協力すると顧客情報を共有できるため、新規顧客の拡大に効果的です。さらに営業拠点の異なる会社同士であれば、新たな地域で事業展開しやすくなるとも期待されています。
メリット3:作業の効率化
新システムの導入時や新規の事業を立ち上げる場合、シナジー効果がもたらす大きなメリットは作業の効率化です。新システムや新規事業を開始する時、関連情報の収集から専門知識や業務経験のある人材の確保まで多くの作業を要します。
会社にとって負担は軽くなく、実現できずに終わるケースも少なからず見られました。複数の部署間や会社間で協力するなら、すべての作業を単独で進める必要はありません。各々の部署や会社が得意とする分野を担当すれば、情報収集や人材の確保を効率的に進められるでしょう。
シナジー効果により一通りの作業が効率化された場合には、以前ほどコストをかけず新規システムや新規事業を始められると期待できます。また、お互いに蓄積してきたノウハウを共有すると、職場によっては業務の進め方を見直せるかもしれません。そのためシナジー効果は、ノウハウの幅を広げる意味でも効果があるといわれています。
シナジー効果を生み出すには
ビジネスの現場でシナジー効果を生み出す方法としては、業務提携、多角化戦略やM&Aが挙げられます。
業務提携
業務提携は、一般的に異なる技術や商品を有する会社同士が事業提携するパターンです。会社間で協力関係が成立すると、技術開発や商品の販売先について情報やノウハウを共有できます。それぞれ、情報量やノウハウの幅を拡大することで各社が抱える課題の解決に役立てるといわれています。会社に人材紹介のノウハウがない場合、人材派遣会社との提携はシナジー効果を見込める一例です。
一方は多くのコストをかけずに人材派遣が可能となり、他方は新たな人材の情報を得られると考えられます。他のケースも含めた多くの事例から、業務提携は会社の競争力や企業価値を高めるうえでシナジー効果を生み出せるといわれています。
多角化戦略
多角化戦略は、会社が現在の主力部門とは別の分野に新しく進出するケースです。大きく分けると、水平型・垂直型・集中型・集成型の4種類があります。水平型は、会社にあるノウハウを活かすパターンです。
新たに進出する分野には主力部門と近い市場を選び、これまで社内で蓄積してきたノウハウが通用する範囲をできるだけ広く確保します。垂直型も、主力部門と類似する分野に新規展開する戦略です。ただ水平型と異なり、新たな進出先には会社にあるノウハウと、できるだけ関係しない市場を選びます。
集中型の戦略は、会社の主力部門に近いかどうか関係なく、社内で蓄積したノウハウを活かせる市場へ進出する方法です。集成型では新しい商品を開発し、新規市場で事業展開します。それぞれ戦略パターンは違うものの、主力部門と他分野との協力などによりシナジー効果を目指すケースは多く知られています。
M&A
M&Aは、会社の買収・合併により新規事業のコスト軽減や売上アップを目指す方法です。新規事業を始める場合、買収・合併する側は新たな人材や取引先を獲得できればコスト面の負担を減らせます。買収・合併された側は、会社経営や社内で進行中の事業を引き継げると大きなメリットです。
いずれも財政面で売上が以前より大幅に伸びれば、シナジー効果は生まれたと見なされます。相乗効果により、経営リスクを分散させる可能性もあると考えられています。シナジー効果はビジネスの現場で多くのメリットをもたらすと考えられるため、この機会に覚えておく価値は十分にあるといえるでしょう。
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