人事評価で不服申し立てされたらどうすべき?
更新日:2023.03.15電話代行会社で人事評価を行った際、従業員から不服申し立てを受ける場合があります。何も対処せずに放置してしまうと裁判に発展するケースもあるため注意が必要です。訴訟手続きはコスト負担が重くなります。裁判で争うよりも早めに和解したほうが、会社と従業員にとって利益は大きいでしょう。そこで今回は、人事評価で不服申し立てが起きるケースや、不服申し立てへの対処法、ならびに予防策をご紹介します。
目次
不服申し立てが起きるケース
会社の人事評価で従業員から不服申し立てが起きる主なケースは、評価内容が法令に違反している時です。また、従業員の業績が反映されていない場合も、不服申し立てにつながることがあります。以下では、不服申し立てが起きる代表的な事例をご紹介します。
評価内容が法令に違反
人事評価の内容が法令に違反しているケースは、従業員から不服申し立てが起きる代表的な事例です。会社が不服申し立てを受ける人事評価は、多くの場合に評価制度そのものが法律に抵触しています。評価制度の法律違反で目立つ問題は、従業員の性別・国籍を理由に評価内容を差別するパターンです。
同時に、業務以外の活動が評価基準になっているケースも目につきます。会社によっては、飲み会や社員旅行への参加率を評価基準に設定しています。いずれも業務には含まれないため、人事評価に反映することは法律違反です。人事評価の仕組みが法律に抵触している場合、評価制度や評価基準を早急に見直す必要があります。
業績が反映されていない
人事評価に従業員の業績が反映されていない状況も、会社で不服申し立てが起こりやすいケースの代表例です。近年、多くの会社では、従来の年功序列制度に代わり成果主義を導入しています。年功序列制度は従業員の年齢や勤続年数を重視し、成果主義は業績に応じて従業員の処遇を決定します。
成果主義を導入している会社では、社内の業績をふまえた公正かつ客観的な人事評価が不可欠です。ただし、実際は個々の業績が適切に人事評価へ反映されず、不服申し立てにつながるケースが多く見られます。会社が従業員の業績を適切に評価できていない場合、評価方法の問題点の把握および改善が急がれます。
業務目標が適切でない
会社で設定する業務目標が適切でないケースも、社内から不服申し立てが起きる大きな要因です。最近の会社では、人事評価の公平性を保つため業務目標を設定し、目標の達成状況に応じて従業員を評価する場合があります。従業員の能力に合わせて業務目標を設定すれば、人事評価で公平性を保ちやすくなると考えられます。
それに対し、従業員のレベルに関係なく厳しい目標を設定すると、多くの従業員は目標を達成できなくなることがあります。業務目標が厳しすぎることが理由で目標達成が難しくなる場合、公平性を欠いていると見なされ不服申し立てを招きます。「明らかに達成困難な業務目標」を設定するケースは、目標管理制度の不適切運用と判断される可能性もあり注意が必要です。
不服申し立てへの対処法
会社の人事評価が不服申し立てを受けた場合、会社側に落ち度があるか確認するなどの対処が求められます。以下では、不服申し立てが起きた時の対処法を、主なケースごとにご紹介します。
会社側に落ち度がある場合
人事評価の不服申し立てが起きた際、会社側に落ち度がある場合は問題点の見直しが不可欠です。社内で人事評価に不服が申し立てられた時は、最初に会社側の落ち度があるか確認する必要があります。その際、公平性を保つには、不服を申し立てた従業員と人事評価の担当者から事情を聞くことが重要です。
当事者の話を聞いた後、人事評価の方法や判断に誤りがあると判明した場合、会社側に落ち度があると認識されます。その時は、会社側の問題を認めたうえで改善に取り組むことが大切になります。会社側の落ち度を認めないと、問題の改善は進みません。そのまま放置すると新たな不服申し立てを招くため、会社に都合が悪くても適切な対処が望まれます。
従業員が納得しない場合
会社に落ち度がなくても従業員が納得しない場合、「総合労働相談センター」を活用する方法があります。人事評価は、担当者の判断に誤りがないと考えられる時も、従業員に納得してもらえるとは限りません。その場合、総合労働相談センターの活用は問題を解決するのに有効な選択肢です。
総合労働相談センターは、労働基準監督署に設置された機関です。会社で労働問題が起きた場合、「個別労働紛争解決のあっせん」を受けられます。人事評価をめぐるトラブルも、第三者機関の公平な立場から解決案を提示してもらえます。相談料は発生せず、裁判に比べると手続きは簡単です。さらに解決案は民法上の和解契約の効力を有するため、2次的なトラブルを防ぎやすくなります。
裁判に発展した場合
総合労働相談センターを活用しても問題が解決しないと、民事訴訟に発展する可能性があります。人事評価の不服申し立てが裁判に発展した場合、訴訟手続きに伴うコスト負担は小さくありません。金銭にとどまらず時間や人手もかかるため、会社側だけでなく従業員にとっても大きな痛手になると懸念されます。
双方の利益を考えるなら、コスト負担の大きい裁判は避けるのが得策です。民事訴訟に発展する可能性が出てきた時は、お互いに譲歩できないか改めて従業員と話し合うことが大切と考えられます。会社側に落ち度がなくても、一方的に正当性を主張すると問題の解決は難しくなるでしょう。そのため、従業員と話し合う時は円満解決を目指す姿勢が望まれます。
不服申し立ての発生を防ぐには
人事評価で不服申し立ての発生を防ぐには、評価基準を明確に設定することが必須です。また、法令違反や判断の誤りがないかのチェックも欠かせません。以下では、従業員の不服申し立てを回避するための予防策をご紹介します。
2評価基準は明確に設定
人事評価の明確な基準設定は、評価内容に対する不服申し立てを防ぐうえで必須の要素です。会社が人事評価の基準を明確に設定すると、従業員は何が評価対象になるか簡単に理解できます。さらに、評価基準が適切であれば従業員は受け入れやすくなるため、不服申し立ての発生を防ぐのに効果的です。
適切な評価基準としては、能力・業績・勤務態度が挙げられます。能力は、通常業務を遂行するうえで必要なスキルを指します。業績は、業務目標の達成状況や会社への貢献度です。勤務態度には、出勤状況をはじめ仕事に対する姿勢が該当します。数字で示せる業績だけでなく数値化が難しい勤務態度も評価すれば、従業員から不服は発生しにくくなると期待できます。
法令違反などの有無をチェック
人事評価の担当者は、主観にもとづく誤った判断をしないことが重要です。とはいえ、公平かつ客観的な評価は簡単でないといわれています。判断の誤りを防ぐには、人事評価エラーが起きやすいと認識する意識も大切です。人事評価に主観的な判断がないかチェックする仕組みを設ければ、不服申し立てが起きるリスクは減ると見込めます。
また、従業員に人事評価の結果を伝える時は、その結果が出された経緯も説明すると納得してもらいやすくなります。何を努力すると評価が上がるか示せば、従業員のモチベーションアップにもつながるでしょう。これから人事評価の仕組みを作成する予定なら、以上の予防策を心がけるのがよいと考えられます。
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