個人事業主の価格交渉で注意すべきこととは
更新日:2023.06.06スタッフブログフリーランスをはじめ、個人事業主の多くは、仕事のなかで取引相手と価格交渉する必要が生じます。採算性などを考えて自分の希望通りに価格設定したいと思うと、交渉が苦手でも避けては通れないでしょう。そこで今回は、個人事業主にとっての価格交渉の必要性をふまえつつ、交渉時の注意点、交渉に適したタイミング、覚えておきたい大切なコツなどをご紹介します。
目次
価格交渉の必要性
フリーランスなど個人事業主として働いている場合、自分の商品やサービスの値段に事業主本人の希望を反映させるなら、価格交渉が不可欠です。上手に交渉を進めると、収益の確保・増大につながります。
個人事業主の幅広い業務
個人事業主の業務内容は、商品・サービスの提供にとどまらず、ビジネス全体のマネジメントまで幅広い範囲に及びます。近年は、昔に比べると働き方の選択肢が多様になり、個人で事業を始めるケースも増えました。米国では労働者の3人に1人がフリーランスであり、ここ数年で比率が13%ほど上昇しています。
フリーランスは、専門分野に特化しているところが特徴的です。ただし、どんなに優れたスキルを有していても、仕事場で商品を製造しているだけでは収入を得られません。顧客を確保するには、マーケティング調査や営業活動も展開する必要があります。
予算などの都合から1人で事業を進める場合、会社運営に関わる一通りの業務を担当することになります。
価格交渉は不可欠
個人事業主が、自分の提供する商品やサービスを希望通りの値段で販売する場合、取引相手との価格交渉も必須の業務です。会社が収益を上げるうえで、商品やサービスの値段設定は重要であるように、個人事業主も例外ではありません。とくに多くの手間をかけながらクオリティの高い品物を製造している場合は、値段設定を誤ると採算が取れなくなるでしょう。
しかし、取引相手も予算には限りがあるため、出費を抑えたいと考えているはずです。利益最優先で無暗に値段を高く設定してしまうと、今度は買い手がつかないなどの問題に見舞われるでしょう。
価格交渉を怠るとどうなる?
個人事業主が業務の忙しさや苦手意識から価格交渉を怠ると、ビジネスチャンスを逃す原因になってしまいます。価格交渉は、潜在的な取引相手とつながる好機といわれています。取引相手と交渉した時に信頼を得られれば、その縁から新たな顧客を紹介してもらえるケースも少なくないためです。
一方、交渉を怠った場合、取引相手を介して新たな人脈と接する機会は期待できません。価格交渉を避ければ収益の損失を招きますが、さらに潜在的な顧客と出会うチャンスも得られないのです。このようなメリットも考えられるため、価格交渉は個人事業主にとって重要な意味があるといえるでしょう。
価格交渉の注意点
個人事業主が価格交渉で気をつけたい注意点は、取引相手と十分に信頼関係を構築できているかどうかです。また、相場に見合わない価格設定やニーズの不一致も、交渉の失敗につながります。
信頼関係の構築
個人事業主が価格交渉を進める際、あらかじめ取引相手と信頼関係を築いておくことは非常に重要です。まだ取引相手から信頼を得られていない場合、いきなり価格交渉に入ると失礼になる可能性があります。無理に話を進めても、売上についてばかり考えていると思われたら印象が悪くなる可能性もあります。
仕事で信頼を獲得するには、まずスケジュールを守ることが大切です。同時に、取引相手とは日頃からコミュニケーションを深める姿勢が望まれます。トラブルは避けられないとしても、同じミスの繰り返しは禁物です。これらの点に注意しながら良好な関係性を築ければ、価格交渉もスムーズに進められるでしょう。
相場に見合う価格設定
価格交渉において、相場に見合わない価格設定は問題です。提示価格が過度に高くても安くても、交渉は成立しにくくなると考えられます。商品やサービスの値段を提案する際、採算性は無視できません。ただ取引相手も、予算には限りがあります。採算を優先するあまり相場より高い価格を提示すると、交渉相手は受け入れてくれる可能性も低くなってしまうでしょう。
一方、提示価格が不必要に安いと、商品やサービスの品質を疑われる原因になると考えられます。相場に比べて安過ぎれば、それだけ提供品のクオリティも低いと見なされ交渉は難航するかもしれません。以上のケースを考慮した場合、スムーズに価格交渉を進めるうえで市場相場のチェックは怠れないといえます。
ニーズの不一致
さまざまな取引相手と価格交渉する時は、ニーズの不一致にも注意が必要です。それぞれのニーズに応えられないと、交渉成立に結びつかない事態が生じます。商品やサービスに対するニーズは取引相手によって異なり、必ずしも一律ではありません。価格設定よりクオリティを重んじる場合もあれば、多少の品質低下は気にせずスピードを優先するケースも見られます。
取引相手がクオリティ重視であれば、事業主は品質にこだわる必要があります。それに対しスピード優先なら、多少は仕事のレベルを犠牲にしても生産性の向上を求められるでしょう。価格交渉では常に相場通りの値段が歓迎されるとは限らず、市場調査とともに取引相手ごとのニーズの把握も不可欠です。
価格交渉の進め方
価格交渉には、基本的な進め方があります。一通りの流れ、タイミングやコツを理解しておくと、交渉を成功へ導くのに役立ちます。
価格交渉の流れ
価格交渉から仕事に取りかかるまでの全体的な流れは、大きく分けると以下に示す5段階です。
- 見積価格・仕事内容・取引条件の提示
- 契約書を作成
- 契約内容の確認
- 契約書にサイン・捺印
- 仕事に着手
第1段階となる見積価格や取引条件の提示は、事業主または取引相手のどちらかが担当します。契約書の作成は、一般的に取引相手の役割です。契約内容の詳細は、双方で一緒に確認します。お互いが契約内容について合意できると契約書にサイン・捺印し、交渉成立です。最終的に契約を交わしたら、契約書に沿って実際に仕事を開始します。途中で価格交渉が滞った時は、必要に応じて契約内容を見直すとよいでしょう。
交渉に適したタイミング
取引相手との商談で価格交渉を始めるのに適したタイミングは、新規案件か継続案件かによって、違いが見られます。新規案件の場合は、契約内容の確認時が価格交渉に入りやすい好機といえるでしょう。通常、契約内容には報酬金額についても記載されます。仕事の中身や取引条件を話し合っていくと、取引価格に関する交渉も自然に始められます。
継続案件は、とくに依頼内容が変わった時が無理なく価格交渉に入れるタイミングです。取引条件の変更を求められた場合、「価格設定が〇〇なら、その条件に応えられます」と話せば違和感は生じません。他には、新たなスキルの習得により商品・サービスの品質を向上できる時も価格交渉を進める好機といわれています。
交渉成立のコツ
価格交渉で話をまとめるのに役立つコツは、自分が希望する最低単価を事前に決めておくことです。新規案件か継続案件かを問わず価格交渉する時、事業主は価格アップを求めます。取引相手は予算の都合から一般的に高い価格設定を望まないため、交渉相手に一任するのは避けましょう。
交渉を始める前に最低単価が定まっていれば、はっきり自分の意思を提案しやすくなります。その際、仕事内容や取引条件ごとに複数の選択肢を用意しておくと、交渉を成立させるのに効果的です。また、最初に少し高めの価格を提案してから徐々にハードルを下げていく方法も、自分の希望が通りやすくなる大切なコツです。いろいろなコツを上手に活用しながら、交渉成立に役立ててみてください。
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