マネジメントサイクルの種類と効果をあげる方法
更新日:2023.06.06ビジネス豆知識マネジメントサイクルは、企業や職場が目標達成のために用いる管理システムのひとつです。この方法は、とくに「業務の効率性」を重視する点に大きな特徴があります。上手に活用すれば、仕事の生産性を向上しながら社内全体や各職場の目標を成し遂げるのに役立つでしょう。そこで今回はマネジメントサイクルの概要を解説し、代表的な種類や効果を高めるポイントなどをご紹介します。
目次
マネジメントサイクルの概要
マネジメントサイクルとは、様々な管理システムのうち業務の効率性を重視した方法です。その歴史は、もともとフランスで提唱された「管理過程論」から始まるといわれています。
マネジメントサイクルの特徴
企業の管理システムに数々の方法があるなか、マネジメントサイクルは効率のよさを追求している点が大きな特徴です。多くの企業は、様々な目標を掲げながら日々の仕事を進めています。どんな目標が設定されるとしても、作業効率があがるほど目標達成できる可能性は広がると考えられます。
そこで、どうすれば職場の作業効率がよくなるかを、重点的に検討する管理システムが「マネジメントサイクル」です。企業は効率性の優れたマネジメントサイクルを考案することで、新規プロジェクトの目標達成、あるいは組織の成長などを目指します。
マネジメントサイクルの理論
マネジメントサイクルの起源とされているのが、かつてフランスの鉱山経営者であったアンリ・ファヨール氏が提唱した「管理過程論」です。同氏の理論では企業経営で欠かせない管理機能が6つに分けられ、経営管理のプロセスが理論化されています。ここで示された6つの管理機能は、技術活動、商業活動、財務活動、保全活動、会計活動、管理活動です。
それぞれの内訳は、以下の通りです。
- 1.技術活動:生産、製造、加工
- 2.商業活動:購買、販売、交換
- 3.財務活動:資本調達と運用
- 4.保全活動:資産と従業員の保護
- 5.会計活動:財務目録、賃貸対照表など
- 6.管理活動:計画、組織化など
とくに6.管理活動は重視され、計画、組織化、指揮・指令、調整、統制の5つが管理原則として提唱されました。これらの5原則は、いまでも企業経営に不可欠な概念として広く知られています。
マネジメントサイクルの種類
現在、ビジネスシーンで多くの企業から注目されるマネジメントサイクルの代表的な種類は次の5つです。
- 1.PDCAサイクル
- 2.PDSサイクル
- 3.OODAループ
- 4.CAPDサイクル
- 5.PDRサイクル
マネジメントサイクルは、それぞれ特徴や実際の使い方に違いが見られます。ここでは、上記5つのマネジメントサイクルの、種類ごとの特徴などを解説します。
1.PDCAサイクル
PDCAサイクルは、Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Action:改善の4つの工程を1サイクルとする管理システムです。
最初に企業が掲げる目標を達成するための計画を立て、実行に移します。実際に行動した後は、どれだけ成果をあげられたかを評価します。評価の結果をふまえ、最初の計画や行動内容を改善するまでが1サイクルです。
改善後は再び計画から改善までの4工程を繰り返し、業務効率の向上を目指します。このシステムは、比較的に短期間で1サイクルを回せるところが特徴的です。うまく機能すると、作業の効率化は速やかに進められると考えられています。ただ最初の計画立案が現実的でないと、その後のサイクルは回りにくくなるため注意が必要です。
2.PDSサイクル
PDSサイクルは、Plan:計画、Do:実行、See:評価・見直しの3工程を1サイクルとする方法です。先のPDCAと少し異なり、「Check」と「Action」の2つが「See」にまとめられています。最初の計画にもとづき実行するところは変わりませんが、実行後の評価と見直しは同時進行となり明確には区分されません。
PDCAサイクルを簡略化したタイプと見てもよく、この方法も短いスパンで1サイクルを回せる特徴があります。そのため、両者とも企業の短期的な事業目標や日々の小さな業務目標を達成するのに適しているといわれています。
3.OODAループ
OODAループは、Observe:観察、Orient:仮説構築、Decide:意思決定、Act:実行の4工程から構成されるシステムです。この方法は、主に第3の工程である「Decide:意思決定」を目指しています。必ずしも業務効率の向上を最重要の課題として考えていないところは、上記の2つのシステムとの大きな違いです。
まず現状把握に努め、観察結果をふまえ何が最適の行動であるか検討します。その仮説をもとに意思決定した後、最終的に実行へと移します。現状把握に時間をかけてから実行するところは、上記2システムと異なる大きな特徴です。とくに意思決定を重視する点から、新規事業を立ち上げた時など経営陣の意思決定が欠かせない場合に適した方法と考えられています。
4.CAPDサイクル
CAPDサイクルは、Check:評価、Action:改善、Plan:計画、Do:実行の順番で1サイクルが進められるシステムです。1サイクルを構成する4工程はPDCAサイクルと共通していますが、各工程の進み方が異なります。まず現状の評価から始まり、改善を済ませてから計画を立てます。目標を達成するため行動を起こすのは、最後の段階です。
このサイクルの場合、OODAループと同様に、最初に現状評価を進められるため改善点は分かりやすくなる傾向があります。その特徴から、単に企業が目標を掲げるだけでは計画を立てにくい場合に適した方法といわれています。
5.PDRサイクル
PDRサイクルを構成する工程は、Preparation:準備、Do:実行、Review:評価の3つです。まず目標にもとづき事前準備を済ませ、実行に移したら最終的に評価します。このシステムも、2番目のPDSサイクルと同じくPDCAサイクルより少ない工程で業務効率の向上を目指せる方法です。
またOODAループやCAPDサイクルと異なり、現状把握に時間を要しません。これらの特徴もあり、PDRサイクルは急なトラブルが発生した時などに迅速対応できるタイプと見られています。
効果を高めるポイント
マネジメントサイクルの効果を高める大切なポイントは、目標の明確化、作業経過の記録、的確な改善の3点です。いずれも適切に実施されると、様々な目標は効率よく成し遂げられると見込まれています。
目標の明確化
企業や職場が掲げる事業目標や日々の業務目標は、できるだけ明確に設定することが大切です。はっきりゴール地点が示されると、仕事全体の方向性は分かりやすくなります。従業員は何を達成すればよいか正しく理解できるため、職場全体が同じゴールを目指しながら個々の業務を進められるようになるでしょう。
作業経過の記録
一通りの業務については、マネジメントサイクルの各工程で作業経過を記録しておくことが重要です。PDCAサイクルの場合、4工程すべてにおいて作業手順や進み具合を細かく記録に残します。数値化しにくい項目も詳しく記録しておくと、後々、どこに問題があるか検討する時に役立ちます。
的確な改善
何かしら問題点が見つかった場合、原因を突き止めたうえで的確な改善策を講じることは大切なポイントです。通常、いずれのマネジメントサイクルも最初は失敗するケースが多く見られます。その際に問題点や原因を詳しく分析し、的確に改善すると次のサイクルから効果が高まりやすくなるでしょう。
これらのポイントを押さえつつ実施すると、効率よく目標を成し遂げるのに効果的です。職場で導入する際は、まず明確な目標設定を心がけ上手に活用することをおすすめします。
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