ブルー・レッドだけじゃない。〇〇オーシャン戦略

更新日:2023.02.20ビジネス豆知識

ブルー・レッドオーシャン戦略

ブルーオーシャンとレッドオーシャンは、マーケティング戦略用語として使われる表現です。昨今は、この2つ以外にもさまざまな切り口の市場開拓戦術が登場しています。いまは、多くの職場で既存の発想にとらわれないビジネス戦略が求められる時代になったといえるでしょう。そこで今回は、ブルーオーシャンとレッドオーシャンの本来の意味や特徴を解説するとともに各種の〇〇オーシャンの概要もご紹介します。

ブルーオーシャンとは

ビジネスシーンにおいてブルーオーシャンは、「未開拓で目立った競争のない市場や業界」を意味する言葉です。

もともとの定義

ビジネス用語としてのブルーオーシャンは、もともとビジネス書『ブルー・オーシャン戦略』のなかで登場しました。『ブルー・オーシャン戦略』は、フランスにあるINSEAD(欧州経営大学院)の教授(W・チャン・キムとレネ・モボルニュ)により著されたビジネス書です。

日本語版は、2005年に刊行されました。2人の教授は、著書のなかでブルーオーシャン戦略を「既存市場内から新価値市場を創造すること」との意味合いに定義しています。本来、この定義は競争のない市場や業界の一からの構築を意味していません。実際、著書では「ブルーオーシャンを切り開くには自分が属する業界の一般的な機能を減らすか取り除いたうえで、特定の機能を増やすか新たに加え、これまでにない価値の向上が必要」と主張しています。

ブルーオーシャン戦略の適切な使い方

職場でブルーオーシャン戦略を提案する場合、現行のビジネスで新たな市場を創造する意味合いでの使い方が適切です。ブルーオーシャンは「競争のない市場や業界」を指しますが、これまで関わっていなかった分野への新規参入とは異なります。未知のジャンルへの挑戦であれば、ブルーオーシャン戦略に当てはまりません。

本来の定義によると、すでに関わりのあるビジネス領域でまだ競争相手のいない新しいスタイルをつくればブルーオーシャン戦略、この手法を通じて生み出された市場はブルーオーシャンと呼べるでしょう。とはいえ、いまでは既存市場での新規開拓だけでなく誰も知らない新たな市場に参入することもブルーオーシャン戦略と見なされる場合があります。

レッドオーシャンとは

レッドオーシャンとは、簡単に表現すればブルーオーシャンの対義語です。

ビジネス書『ブルー・オーシャン戦略』での定義

上述のビジネス書『ブルー・オーシャン戦略』では、レッドオーシャンを「競争の激しい既存市場」と定義しています。2005年刊行の日本語版のなかで、レッドオーシャンは「血で血を洗う競争の激しい領域」と表現されました。未開拓の青い海に対し、血みどろの戦いで赤く染まった市場が赤い海にたとえられたと考えられます。

レッドオーシャンのビジネス領域には、すでに多くの競合企業が参入しています。企業間の争いは実際の戦闘なら大量の流血を避けられないほどのレベルと判断され、レッドオーシャンと表現されたのでしょう。実際のビジネス市場を見ると、未開拓の領域と競争の激しい既存市場の2つだけに分けられません。現在は、さまざまな市場がその特徴に応じてホワイトやブラックにたとえられる表現も登場しています。

ブルーオーシャンもレッドオーシャン化する

最初はブルーオーシャンだった市場も、参入企業が増えればレッドオーシャンに変わると指摘されています。新しい市場を開拓した時点では、競合相手が存在するとしても多くはありません。最初のうちは、既存市場に比べると利益を得ることは難しくないと考えられます。

とはいえ新規市場で大きな利益を見込めるとなれば、競合他社の増加は時間の問題でしょう。早ければ、数カ月から数年でレッドオーシャン化するといわれています。特許の取得により他社の参入を遅らせる方法はありますが、その期間には限度があります。それでも競争を勝ち残るには、早めに市場で地位を確立するとともに競争力を高めることが望ましいと考えられます。

それぞれの特徴や課題

ブルーオーシャンは自然のままの海を、レッドオーシャンは全体に赤く染まった海を連想させるビジネス用語です。

ブルーオーシャンの特徴や課題

ブルーオーシャンの特徴とされるイメージは、争いがなく穏やかな雰囲気の海です。まだ人の手が加えられず、本来の青い色を保っています。通常、自然の海を見ると人の目には青く映ります。これまで誰にも手をつけられず未開拓な状態のブルーオーシャンは、過去に人が立ち入らなかった青い海の特徴を備えていると見なされます。

ブルーオーシャン戦略の目的は、他のビジネス戦略と同じく多くの成果を上げることです。競合他社より先に未開拓領域を発見しても、それだけで十分とはいえません。ある程度の時間が経てば、ブルーオーシャンにも徐々に他社が参入してきます。少しでも成果を増やすには、とくに競合相手が見当たらないうちから競争力を高めておく必要があるといわれています。

レッドオーシャンの特徴や課題

レッドオーシャンは、海全体が激しい争いの血で赤く染まったイメージが特徴的です。海は広大であり、多少の血が流されても簡単には赤くなりません。海で争いが起きた場合、最初は青かった海面が全体的に赤く染まるまでにはおびただしい量の血が流されたと考えられます。レッドオーシャンは、そんな赤い海の特徴をもったビジネス領域を指します。

既存市場が赤い海にたとえられる時は、どれほど激しい争いが日常的に展開されているかを物語っているといえるでしょう。激しい争いが生まれる要因としては、既存市場の拡大を見込めない点が挙げられます。レッドオーシャンでは多くの競合企業が限られたシェアを奪い合うことになり、基本的に争いの激化を避けられません。

ホワイトオーシャン、ブラックオーシャン、ピンクオーシャンなどもある

いまは、ブルーオーシャンとレッドオーシャン以外にホワイトオーシャン、ブラックオーシャンやピンクオーシャンが知られています。

ホワイトオーシャンとは

ホワイトオーシャンとは、既存するビジネス領域のうち十分に認知されていない市場です。未開拓の既存市場という意味では、基本的にブルーオーシャンと大きく変わりません。ただブルーオーシャンについては、未開拓であると認識された市場を指すと考える意見があります。この考え方により両者を細かく区別した場合、誰からも未開拓と認識されていない既存市場はブルーオーシャンでなくホワイトオーシャンに分類されています。

ブラックオーシャンとは

ブラックオーシャンとは、まだ誰の手もつけられず競合企業が存在しない市場です。この用語は、深海や暗い海底をイメージした表現といわれています。これまで他企業が目を向けなかったビジネス領域で新しい市場を見つけた場合、ブラックオーシャンと呼ばれます。競合他社の存在しないブラックオーシャンであれば、市場を独占できるかもしれません。他社と争わずに済む市場を見つけ出せれば、多くの利益を得られる可能性があります。

ピンクオーシャンとは

ピンクオーシャンとは、亀山敬司氏により考案されたといわれる表現です。亀山氏はDMMの会長であり、ピンクオーシャンは同氏が参入しているアダルト市場を意味します。ブルーオーシャン戦略は、できるだけ他社との激しい争いを避けながら利益を上げるうえで有効と考えられます。広い意味で未開拓市場への新規参入を指しますが、どんな未開拓市場に参入するか厳密に検討する際にはホワイトオーシャンやブラックオーシャンも適切に使い分けられるとよいでしょう。

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