東京オリンピック・パラリンピック。混雑対策
更新日:2023.03.22ビジネス豆知識2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、開催に伴うインフラ整備や観光客増加による経済の活性化が期待されています。一方で、大会期間中の混雑に伴う企業活動の停滞にも注意しなければなりません。今回は、東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたって、行政が行っている混雑に対する取り組みや、今からでも企業が行える対策などをご紹介します。
目次
大会期間中の混雑予想
東京オリンピック・パラリンピックについては、さまざまな意見があります。経済の活性化を期待しオリンピックを切望する声もありました。しかし、一方で「コンパクトでお金をかけない」というテーマを掲げながら、実際の予算が7000億円から3兆円を上回る金額となっていることに不満を募らせる声も少なくありません。企業経営者のなかには、大会開期間中の企業活動の停滞を懸念し、前もって対策を打たなければならないと考えている方も多いのではないでしょうか。
また、ビジネスパーソンのなかには「オリンピック期間中は都内に出勤できるのか?」と不安に感じている方も多いはずです。以下では、現在発表されている大会期間中の混雑予想について簡単にご紹介します。
開催期間について
まずは、東京オリンピック・パラリンピックの開催期間と祝日について確認します。
□オリンピック開催期間・・・2020年7月24日(金)~8月9日(日)
□パラリンピック開催期間・・・2020年8月25日(火)~9月6日(日)
開催期間中の祝日は以下の通りです。
□2020年7月23日(木)・・・海の日
□2020年7月24日(金)・・・スポーツの日
□2020年8月10日(月)・・・山の日
2020年から「体育の日」が「スポーツの日」へと名称変更され、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い2020年限定で本来の10月から7月へと移動します。
オリンピック開催中の平日をいかに乗り切るかがポイントとなりそうです。
観客数予想
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の発表によると、観客数はオリンピックが780万人、パラリンピックで230万人が予想されています。国内だけでなく、海外からも数多くの観光客が訪れるため、オリンピック開催期間中の都内では混乱を避けられません。ビジネスパーソンだけでなく、夏休み中の学生さんも対策を考えておく必要があるでしょう。
利用客が増える可能性の高い駅や路線
まずは、主な競技開催エリアを簡単に確認します。
□有明・臨海エリア・・・テニスや体操など
□辰巳・木場エリア・・・水泳やカヌーなど
□総武線沿線・・・開閉会式やサッカーなど
□皇居近郊・・・ウエイトリフティングや柔道など
□東京西部エリア・・・自転車競技やラグビーなど
□埼玉県・・・バスケットボールやサッカーなど
□神奈川県・・・野球やソフトボールなど
□千葉県・・・レスリングやフェンシングなど
混雑は、特に上記の競技開催エリア付近で起こるでしょう。また、そのエリアへ向かうターミナル駅でも混雑が予想されます。有明・臨海エリアなら「豊洲駅」や「新橋駅」など。埼玉エリアで競技が行われるときは「池袋駅」、東京西部エリアでの競技が多い日程では「新宿駅」など、直接競技とは関係のない地域の駅を利用している方も、事前に対策を考えておく必要があるでしょう。
混雑に対する行政の取り組み
混雑予想が数多く寄せられるなかで、行政も手をこまねいているわけではありません。以下では、東京オリンピック・パラリンピックの混雑に対する行政の取り組みをご紹介します。
スムーズビズ
東京都が取り組んでいる、東京オリンピック・パラリンピック大会開催期間中の混雑緩和対策である「スムーズビズ」をご存知でしょうか。具体的には、以下の3つの取り組みを総称してスムーズビズと呼びます。
□2020TDM推進プロジェクト
□テレワーク
□時差Biz
「2020TDM推進プロジェクト」とは、東京オリンピック・パラリンピック開催期間中の交通混雑緩和に向けた交通需要マネジメントを指し、自動車や公共交通機関の交通需要を調整する取り組みのことです。
実際、2019年7月には高速道路と一般道で輸送テストが行われており、都心部への流入交通量を減少させるべく日々研究が行われています。東京都オリンピック・パラリンピック準備局では、「2020TDM推進プロジェクト」への登録を各企業におすすめしています。
プロジェクトに参加すると、企業説明会や大会時の混雑予測情報の提供を受けられます。東京都近郊で、東京オリンピック・パラリンピック大会時の交通状況に関心のある企業は登録してみても良いかもしれません。
テレワークとは、時間や場所にとらわれない働き方を指します。大会期間中は自宅やサテライトオフィスなどで業務にあたることを認めている企業もあります。都心部へ出勤しなければ、混雑に巻き込まれる可能性も減るため、テレワークの導入は有効な手段のひとつでしょう。
時差Bizとは、通勤ラッシュを回避するために通勤時間を変更する働き方のことです。満員電車を避けられるだけでもストレスを軽減できる社会人は多いため、ポジティブに受け取られる傾向にあります。
首都高の値上げ
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中は、首都高の料金値上げも検討されています。一律に値上げするのではなく、利用者の多い6~22時を1000円値上げし、利用者の少ない0~4時は全車半額とする案も検討中です。
大会期間中は、大会関係者の車両や観光客の車両など交通量の増加が見込まれるため、値上げによって首都高経由の都内への流入を抑えようとする施策です。主な対象は自家用乗用車のため、物流が滞ることはありません。大会期間中に自動車での移動を検討している方は、値上げの動向について注意しておくのがおすすめです。
ロンドンオリンピックの取り組み
ここで、2012年に行われたロンドンオリンピック・パラリンピック大会時のロンドン市の取り組みついてご紹介します。ロンドン市では、大会開催前から市民に対して徹底的な啓もう活動を行いました。その結果、多くの市民が混雑会費のために家を出る時間を変更する、テレワークやフレックスタイムを活用するなどの対策をとり、大会期間中に大きな混乱は見られませんでした。自治体が主導して対策を行うことも大切ですが、企業やひとり一人の市民が混雑緩和について考えておく必要があるという模範的な例といえます。
企業側が考えておくべき混雑対策
混雑が予想されていても、ビジネスパーソンが個人で判断して動くのは簡単ではありません。企業話で対策を行うべきといえるでしょう。以下では、企業側が考えておくべき混雑対策をご紹介します。
テレワーク
東京都の取り組みにも含まれていたテレワーク。会社以外の自由な場所で働けるため、普段よりリラックスして業務にあたれる可能性もあります。出社せずに仕事をするため、すべての業種で導入できるわけではありませんが、一度試してみるのも良いかもしれません。
時差出勤
出勤時間を柔軟に変更するフレックスタイムが、時差出勤の代表例です。出勤や退勤の時間を少しずらすだけでも、満員電車や道路の混雑に巻きまれる可能性を減らせます。フレックスタイム制を希望する社員がいるのか、一度アンケートをとってみてはいかがでしょうか。
休暇取得
オリンピック・パラリンピック期間中に休暇取得を促進するのもひとつの方法です。オリンピック開催国の国民として、生で競技を楽しみたいと思っている方は多いはずです。一定の休暇取得を認めれば、従業員の会社に対する評価も変わるでしょう。
企業活動の停滞を招かないためには、はやめの対応が大切
オリンピック・パラリンピックによる混雑は、企業活動の停滞を招く可能性があります。それを防ぐには、はやめの対応が必要不可欠です。大会直前にあわてないよう、事前に準備しておきましょう。
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