正社員とパート・アルバイトの違いは?
更新日:2023.03.31スタッフブログ働き方が多様化するなかで、正社員だけでなく、派遣社員や契約社員・パート・アルバイトなど、さまざまな形で働く方が増えています。しかし、それぞれの違いについてあまり理解しておらず、なんとなく選択している方も多いのではないでしょうか。今回は、正社員とパート・アルバイトの違いをご紹介します。ご自身の働き方を選択する際、ぜひご参考ください。
目次
正社員とはどんな働き方を指すのか
「働くなら絶対正社員」「正社員なら安定」といった考えを持っている方も多いですが、正社員とはどんな働き方なのか知っている方は少ないかもしれません。正社員とは具体的にどんな方を指すのでしょうか。
まず、法律上明確に「正社員とは●●な社員を指す」とは定義されていません。正社員を想定して「通常の労働者」(パートタイム労働法)という言葉が使われることはありますが、正社員の定義は法律ではなく、慣習や労働条件の違いから判断されます。
もっとも大きな労働条件の違いは、「雇用期限の有無」です。正社員は、雇用期限の決められていない雇用形態であり、パートやアルバイトなどは雇用期限が決められているケースがほとんどです。
給与の違いついて
正社員のほうが、パートやアルバイトと比べて受け取れる給与が多いと考えている方もいるでしょう。拘束時間や業務に対する責任などから、一般的には正社員のほうが基本給は高く設定されています。ただ、特別なスキルを持った契約社員の様に、一定の場合には正社員より給与が高くなるケースもあるため、一概にはいえません。
出世の可能性が高い?
昇進や昇給など、いわゆる出世の可能性は、正社員のほうが高いといえます。正社員は長期で働くことを前提としているため、重要な仕事を任され、その結果役職がつくことも珍しくありません。パートやアルバイトなどの場合は、責任ある仕事を任されることは少なく、出世の可能性は低いでしょう。
長期的な雇用につながりやすい
雇用における「安定」は、多くの方が重視する点です。先ほど説明した通り、正社員は契約期間を定めることなく働けるため、長期的な雇用につながりやすいといえます。長く働くことができるため、ライフプランを立てやすいでしょう。
一方で、世界的な自動車メーカーであるトヨタの豊田章男社長が「終身雇用を守っていくのは難しい」と発言しました。正社員のメリットのひとつであった「長期雇用」が難しくなっているのでは、という意見もあります。企業が労働者を徹底的に保護する、「日本的雇用」の今後がどうなるのか、世界中から注目が集まっています。
パートとアルバイトの違い
厚生労働省が平成28年に実施した「就業形態別労働者の割合」に関する調査では、アルバイトやパートの割合が28.4%となっており、平成23年の27.0%と比べて上昇傾向にあります。ただ、両者の違いについてあまり意識したことのない方も多いでしょう。以下では、パートとアルバイトの違いをさまざまな観点で確認します。
両者に法律上の違いはない
結論から申し上げると、パートとアルバイトには法律上の違いはなく、ともに「短時間労働者(パートタイム労働者)」と表記されます。パートタイム労働者は、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」(パートタイム労働法)と定義されており、この条件に当てはまる場合は、パート・アルバイト・契約社員・嘱託などの名称に関係なく、法律上は同等の扱いを受けます。
有給休暇や社会保険の点についても違いはない
有給休暇や社会保険についても、パートやアルバイトで違いはありません。どちらも「労働者」という点で共通しており、有給休暇の取得や社会保険の加入も可能です。
有給休暇は、入社から6か月間継続で勤務し、その期間の8割以上出勤していれば発生します。また、労総時間や労働日数が正社員の4分の3以上となれば、パートやアルバイトであっても社会保険の加入対象となります。
労働基準法なども同様に適用される
労働基準法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などを始めとした労働関係の法律の大部分も、パートやアルバイトに関係なく適用されます。万が一、パートやアルバイトであることを理由に不平等な待遇を受けた場合は、これらの法律に則って対応する必要があります。
パートタイム労働法とは何か
パートやアルバイトといった働き方は、少子高齢化が進むとともに増え続け、パートタイム労働者の数は平成30年には約1,817万人となりました。国の経済活動にとっても欠かせない存在といえます。そこで国は、パートタイム労働者に対する不合理な差別をなくすべく、平成5年6月にパートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)を施行しました。以下では、パートタイム労働法について詳しくご紹介します。
パートタイム労働法の目的
少子高齢化や働き方の多様化によって、企業や時間に縛られない働き方が増えています。それにもかかわらず、正社員と比べて不当に低い賃金や待遇で雇われているパートタイム労働者がいるという実態を踏まえて、適切な労働条件のもと、その能力を十分に発揮できる環境を整えるために制定された法律です。
パートタイム労働法のポイント
パートタイム労働法は、今までに何度か改正され、現在のパートタイム労働者に適した法律へと変化しています。以下では、パートタイム労働法によって定められた重要なポイントをご紹介します。
■労働条件に関する文書交付等・・・使用者は、パートタイム労働法を雇い入れる際、昇給の有無や賞与の有無などを明示する必要がある。
■正社員への転換の推進・・・使用者は、パートタイム労働者が正社員へと転換することを推進するための措置を講じなければならない。
■短時間雇用管理者の選任・・・常時10人以上のパートタイム労働者を雇用する場合、使用者は短時間雇用管理者を選任するよう努めなければならない。
他の法令で定められている点
パートタイム労働者を雇い入れる場合、使用者はパートタイム労働法以外の法律も遵守しなければなりません。その他の法令で定められている事項には、以下のようなものがあります。
- ■有期労働契約の更新・雇い止めの制限・・・労働基準法
- ■労働保険や社会保険の適用・・・雇用保険法や健康保険法、介護保険法など
- ■年次有給休暇の取得・・・労働基準法施行規則
- ■健康診断の受診・・・労働安全衛生法
福利厚生に違いはあるのか
あえて正社員として働かない選択も増えていますが、パートやアルバイトでは福利厚生の点で不利になるのでは、と考えている方もいるでしょう。福利厚生には法定福利と法定外福利があり、一定の条件を満たした場合、法定福利はパートタイム労働者であっても利用できるのが一般的です。
一方、住宅手当や食事補助など、会社が独自に設けている法定外福利については、会社次第で対応が変化します。内容によってはパートタイム労働者が利用できないものもあるようです。ただし、パートタイム労働法を始めとした法律では、正社員と非正規社員の合理的な理由のない差別を禁止しているため、「派遣社員にはエレベーターを一切使わせない」「アルバイトは休憩室に入れない」などの措置は法律違反になる可能性もあります。
少子高齢化や長時間労働・サービス残業など、日本の社会問題を背景として、あえて正社員ではなく他の働き方を選択するケースも増えています。ただ、待遇面や世間からの印象など、溝が埋められていない部分も少なくありません。雇用形態を選択する際は、しっかりと比較検討したうえで、自分の将来設計と照らし合わせる必要があるでしょう。
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