弁護士事務所が指南する「クレーム対応術」

更新日:2023.04.05業界関連情報

謝罪

クレームは、企業にとって頭の痛い問題です。こじれると法的問題に発展し、企業の評判を脅かすこともあります。内容によっては弁護士の出番となるケースもあります。クレームは対処方法を前もって知っておきましょう。今回は、企業が実践すべきクレーム対応術について、弁護士事務所おすすめの方法をご紹介します

企業のクレーム問題

企業に寄せられるクレームは、今や社会問題となっています。サービスに関する指摘・製品に関する不平不満など、毎日何かしらのクレームが届いているという企業もあるでしょう。今までも企業のクレーム問題はあったのですが、なぜ最近になって注目されだしたのでしょうか。

インターネットの普及によるクレームの増加

まず、インターネットが普及したことによって、クレーム数自体が増加したという背景があります。今までは、電話や投書でのクレームが一般的だったため、直接クレームを言いづらいという人は我慢するしかありませんでした。消費者が潜在的なクレームを抱えていても、それを発信する場がなかったのです。
しかし、インターネットの普及によって、企業に直接クレームを伝えるだけでなく、世界中に自分の不平不満を発信できるようになりました。企業がクレームを把握した時には、世間で大きな問題となっていた、というケースもあります。

インターネットが今後も普及し続ける以上、企業はインターネットにおけるクレーム対応も考えていかなければなりません。

企業のSNS運用

近年は、企業もSNSを運用する時代です。公式マークのついたTwitterやFacebook・Instagramなどを運用している企業も少なくありません。
実際には、人間が企業SNSを運用しています。投稿内容によっては、それが直接のクレームとなってしまうことも。特定の人や性別・人種に配慮のない投稿をして、いわゆる「炎上」した企業は数えきれません。
目に留まりやすく、サービスや製品をアピールしやすいSNSだからこそ、運用する企業は細心の注意を払う必要があります。

企業のクレーム対応の重要性

上記の様に、企業に寄せられるクレーム数が増加しているため、従業員はその対応に追われています。企業によってはクレーム対応専門の部署を設けていることも。なぜクレーム対応が重要視されているのでしょうか。

評判を落とさないために

クレーム対応の成否は、企業の評価に直接につながります。間違った対応をすれば、それがインターネットやSNSを通じて一気に拡散されるでしょう。録音技術も発達しているので、電話でのやり取りが証拠として残っていることも少なくありません。この様な背景もあり、クレーム対応の重要性は高まっています。

クレームをサービス改善のきっかけに

「クレーム=悪」と考えてしまいがちですが、クレームは消費者の生の声を聞ける場面でもあります。多くの人は、サービスや製品に不満があっても、企業に何も伝えることなく利用を止めてしまいます。そんな中で、クレームという形で消費者の声を直接聞けるのは、サービス改善にとって貴重な機会なのです。

クレームをサービス改善のきっかけにできるかどうか。企業が今後も成長を続けていけるかどうかの大きなポイントといえるでしょう。

良質なクレームと悪質なクレームの見分け方

クレームの中には、サービスの向上・改善につながる「良質なクレーム」もあれば、いわゆる「悪質クレーム」と呼ばれる、言いがかりに近いものもあります。クレームをサービス改善のきっかけにするためには、両者の見極めがとても重要です。その判断基準は以下の4つです。

□企業側のミスによるクレームか否か
□そのミスによって生じた相手方の損害に、ミスとの因果関係があるか否か
□損害に対する相手方の要求は適正なものか否か
□相手方の要求方法は適正か否か

上記の基準に当てはめ、「これは良質なクレームだ」と判断した場合の対応術をご紹介します。

相手方の話をすべて聞く

クレーム対応全般にいえることですが、まずは相手方の話を最後まで聞きましょう。クレームをつけている最中は相手方も興奮状態にあり、途中で口を挟むとさらに激昂する可能性があります。クレーム対応においてもっとも重要なことは、「問題の把握」です。相手方が何に困っていて、どんな損害が生じているのか。そして、どんな対応をして欲しいのかを理解しなければ、正しいクレーム対応はできません。

適切な謝罪をする。平謝りはNG

クレーム対応で1番してはいけないのが「平謝り」です。何でも謝ってしまうと、サービスが悪かったのか、相手方の勘違いなのかなど、原因の把握ができません。また、相手方に「私が正しかった」と勘違いされかねません。企業側にミスがあった部分は適切に謝罪をし、それ以外の部分はしっかりと説明することが大切です。

適切な解決策を提示する

悪質なクレーマーを除き、ほとんどの相手方が望んでいるのが「問題の解決」です。適切な解決策を提示することで、相手方の企業に対するイメージは180度変わります。そのためにも、上記の様に相手方の話をしっかりと聞くことが大切です。経緯や原因などを整理するために、メモを取りながら話を聞くのもおすすめです。

悪質クレームを受けた時の対応方法

世の中のクレームには、悪質なクレームも少数ですが存在します。その対応方法を考えておかなければ、従業員が疲弊してしまうでしょう。ここでは、悪質クレームを受けた時の対応方法をご紹介します。

ひとりで対応しない

まず、悪質クレームにはひとりで対応してはいけません。悪質クレームには、製品やサービスへの不平不満だけでなく、個人攻撃や誹謗中傷に近いものも含まれることがあります。それをひとりで対応してしまうと、精神的・肉体的に疲弊してしまい、判断ミスにもつながりかねません。悪質クレームには複数人で対応し、冷静に話し合える状況を作りましょう。

録音・メモなど記録を残す

悪質クレーマーとのやり取りは、録音やメモなどで記録に残しておきましょう。悪質クレーマーの暴言や罵詈雑言は、後に弁護士や警察に相談する際の証拠として利用できます。また、電話での受付前に「この会話はサービス向上のために録音させていただきます」とアナウンスを入れるだけでも、相手方への抑止効果があります。

その場で回答しない

悪質クレーマーは、対応の即答を要求することも少なくありません。しかし、悪質クレームに対してひとりの判断で対応を回答するのは、とても危険です。後に企業の責任問題にも発展しかねません。どれだけ強い言葉で迫られたとしても、「会社と協議し、後日回答します」と、毅然とした対応を取りましょう。

企業法務に強い弁護士に相談

悪質クレームに対しては、企業法務に強い弁護士に相談するのも手です。クレーマー対策を専門に扱っている弁護士もいるので、事前に連絡を取っておけば、悪質クレームに対してどう対応すべきかなどの指導も受けられます。

また、従業員では手に負えない場合、実際に弁護士に交渉人として立ち会ってもらうことも可能です。弁護士が交渉の窓口となることで、従業員の精神的な疲弊を減らせます。後に訴訟へ発展した場合でも、情報共有などがスムーズに行えます。

警察に相談する

最終手段として、警察に相談する方法もあります。悪質クレームの内容によっては、法に触れるものもあり、従業員だけでは手に負えない場合もあるでしょう。その場合、警察に相談し、しかるべき措置を取ることで従業員を守ることにもつながります。また、警察が現れることで、相手方が冷静になる可能性もあります。
クレーム対応は、ひとつ誤ると企業としての評判を損なってしまう一方で、正しく対処すれば企業のさらなる成長を見込めます。そのためにも、まずは「良質なクレーム」と「悪質なクレーム」を見極め、それぞれの対処法を事前に企業の中で共有しておく必要があるでしょう。

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