スーツスタイルでのスニーカー通勤はあり?
更新日:2023.04.07ビジネス豆知識クールビズやオフィスカジュアルなど、ビジネスシーンにおける適切な服装は、時代とともに変化しています。「スーツ+革靴」が鉄則だった従来に対し、礼服のカジュアル化が進んでいるのです。とりわけ近年は、スニーカー通勤をする方も増えましたが、その理由は一体なのでしょうか。今回は、スニーカー通勤の基礎知識やメリット・デメリットに加え、通勤用スニーカーの選び方をご紹介します。
目次
スニーカー通勤が広まった背景
2017年7月、スポーツ庁は「FUN+WALK PROJECT」という官民連携プロジェクトを発表しました。スポーツを通じて国民の健康増進を図るのが目的ですが、取り組みのひとつに、スニーカーやカジュアルな服装での通勤を推奨する内容があります。
発表当時、インターネット上ではさまざまな意見が飛び交いました。「個性のアピールにつながる」といった声があれば、「ビジネスマナーに反する」という声も少なくありません。これまで革靴で出社していたビジネスマンにとって、スニーカー通勤に抵抗があるのは必然でしょう。
一方で、大手製薬会社や飲料メーカーは、次々にスニーカー通勤を解禁します。社員の健康増進が会社の利益につながると考えたためです。メディアも大きく報じた結果、首都圏を中心にスニーカーを履いたビジネスマンの姿を見かける機会が増えました。
スニーカー通勤はマナー的に大丈夫?
スニーカー通勤において気になるのが、ビジネスマナーの問題です。国が主導する取り組みとはいえ、商談の場にスニーカーで現れる営業マンがいたら驚くでしょう。ビジネスマナー関連の専門家によると、スニーカー通勤自体に問題はないとのことです。むしろ問題視しているのは、企業よりも従業員側に多いといいます。
一方、午前中から取引先を訪問したり、冠婚葬祭に足を運んだりする場合は、革靴を別途用意するのが望ましいです。2018年3月に実施された取り組みですので、スニーカーで来所することに戸惑う方も少なくありません。もしスニーカーで通勤するならば、会社に革靴を備えておくと安心です。
スニーカー通勤のメリットとデメリット
スニーカー通勤のメリットは、大きく分けて3つあります。
◇通勤中に運動ができる
◇スニーカーは革靴よりも安価
◇雨天時の通勤が楽になる
最大のメリットは、通勤時間を利用してウォーキングの習慣を身につけられることです。普段から仕事が忙しく、運動不足に悩まされる方にとっては魅力的でしょう。ウォーキングは運動不足解消につながるほか、ストレス軽減や記憶力向上、思考力活性化などの効果もあるとされます。心身のパフォーマンス向上にともない、仕事における生産性も高まるはずです。
またスニーカーは、革靴に比べて安価です。予算1万円もあれば履き心地が良く、デザイン性に優れたスニーカーが手に入ります。金銭的なコストパフォーマンスにおいて、スニーカーに軍配があがるのは間違いありません。
雨による湿気は革靴の天敵であり、型崩れや反り返りの原因となります。その点スニーカーなら、多少濡れたり汚れたりしても、自宅で洗えます。履き心地が変わるほど傷むケースはほとんどなく、雨天時でも気軽に履けるのが魅力です。
デメリットについても触れておきましょう。さまざまなメリットのあるスニーカー通勤ですが、人によっては「ビジネスシーンに不適切」と感じるかもしれません。スニーカーで出社する前に、自社がスニーカー通勤を認めているか確認するのがおすすめです。
ビジネスシーンに適したスニーカーの選び方
スニーカーと一口にいっても、色やデザインは千差万別です。ビジネスシーンに適したスニーカーは、色・形状・素材の3点から選びます。できるだけ革靴に近い一足を探してみましょう。
色:ブラック系
形状:ローカットタイプ
素材:レザー系
色は革靴同様、ブラックが理想です。明るい色や柄物は、スーツとマッチしないため避けて下さい。多色使いも好ましくなく、最大でも2色に抑えましょう。例えば、本体はブラックでアウトソールのみホワイトといったスニーカーなら問題ありません。
ただし、ホワイトが入ったスニーカーは上級者向けであり、着用するスーツを選びます。ビジネスカジュアルならともかく、ベーシックなスーツスタイルに取り入れるのは難しいです。着こなしに自信がない方は、オールブラックのスニーカーを選ぶと良いでしょう。
スニーカーの形状は、ローカットタイプが望ましいです。くるぶしまで包まれるハイカットタイプでは、スーツ特有の上品さが失われます。同様にハイテク系スニーカーも避けるのが無難です。通勤用スニーカーに、見た目のインパクトは必要ありません。デザイン性の高いスニーカーであればあるほど、足元が浮く要因にもなります。
素材は光沢感のあるレザー系がおすすめです。キャンバス地やメッシュ素材では、カジュアルすぎる印象を与えます。スムースレザーを筆頭に、スエードやヌバックなどの革素材でも問題ないでしょう。
女性向け通勤スニーカーの選び方は?
レディース向けのスニーカーは多いため、男性に比べてスニーカー選びの幅が広がります。以下のポイントを意識しながら選んでみましょう。
色:モノトーン系
形状:細身かつ甲の低い靴
素材:自由
色はブラック・ホワイト・グレーといったモノトーンカラーが定番です。スニーカーはパンプスよりも色面積が大きいため、モノトーンカラー以外だと足元が浮きやすくなります。着こなしに慣れないうちは、上記3色を選ぶのが無難です。
なお、ネイビーやカーキのスニーカーも人気ですが、カジュアル要素が強すぎるかもしれません。学生の様な印象も与えかねないため、通勤スニーカーには不向きな色といえるでしょう。
普段からパンプスで通勤している方は、ローカットタイプかつ細身のスニーカーを選ぶのがおすすめです。スニーカーはパンプスなどに比べ、足元のボリュームが出やすく、服装によっては違和感を覚えるでしょう。よって細身かつ足の甲が低い一足を選ぶと、コーディネートに取り入れやすくなります。また、ヒールがないと歩きくいなら、かかとの高いインソール(中敷き)を入れるのも手です。
素材は基本的に自由です。ただし、ラインやロゴが目立たないシンプルな一足を選んで下さい。もしそうったデザインが好みなら、スニーカー本体と同系色のライン・ロゴであれば問題ありません。
靴下選びも忘れずに
スニーカー通勤において、意外と見落とされるのが靴下選びです。靴下は、ロングソックスかくるぶし丈のスニーカー用ソックスを選びましょう。丈の短いカバーソックスでは、パンツとスニーカーの間から肌が露出するため、素足で履いている様な印象を与えます。また靴下の色は、単色がベストです。スニーカーかパンプス、どちらかの色に合わせましょう。
スニーカーで快適に通勤しよう
未だ賛否を呼ぶスニーカー通勤ですが、本来の目的は通勤時間を活用した健康増進です。健康状態が改善されると、仕事における生産性は向上します。さらに革靴よりも歩きやすく、コストパフォーマンスも優れます。「ビジネスシーンにスニーカーは合わない」という先入観を除けば、極めて合理的な取り組みといえるでしょう。
現状、スニーカー通勤が浸透しているのは、一部の大企業のみです。とはいえ、この通勤スタイルのメリットが周知されれば、スニーカーで出社するビジネスマンは着実に増えていくでしょう。
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