意外と知らない社長の仕事!
更新日:2023.03.01ビジネス豆知識“会社の顔”である社長ですが、具体的に何の仕事をしているかご存じない方もいるのではないでしょうか? 社長の主な仕事は経営管理です。事業を安定的に回すため、さまざまな業務に取り組んでいます。そこで今回は、意外と知られていない社長の仕事についてお話しましょう。今後起業予定のある方、すでに会社勤めしている方はぜひ参考にして下さい。
目次
社長・会長と代表取締役の違いとは?
会社のトップと聞いて、「社長」や「会長」あるいは「代表取締役」をイメージする方も多いのではないでしょうか? どの肩書きが立場的に上なのかは、会社によって異なります。具体的な肩書きの違いを見ていきましょう。
まず、社長と会長は法律で定められた肩書きではありません。会社独自の呼び方であり、社長が立場的に偉いことがあれば、逆もしかりです。通常、「社長=会長」という認識になりますが、会長が立場的に上になることも少なくありません。肩書きによる立場の違いは、一概にいえないのが実情です。ただし、代表取締役は別です。
代表取締役とは、法務省が定めた「会社法」における企業の最高責任者を指すため、「代表取締役>社長=会長」という関係性が成り立ちます。また、「代表取締役社長」や「代表取締役会長」という肩書きの人もいますが、いずれも実質的トップであることに相違ありません。肩書きに「代表取締役」が付くか否かが重要となります。
近年は「CEO(最高経営責任者)」や「会長 兼 社長」という肩書きを目にする機会も増えました。“最高”とうたうからには、CEOが社内におけるトップポジションと思われがちです。しかし実際は、CEOは会社法に定められた肩書きではないため、「CEOよりも上の立場」になることもあります。この様な例もあり、誰が実質的なトップなのかを肩書きで判断するのは困難です。
意外と知られていない「社長の6つの仕事」
今後起業して社長になる方、社長の座に就く方に向けて「社長の仕事内容」をご紹介します。会社規模や成長ステージによって違いがあるため、以下の内容は一般論に留めます。
1.経営計画の策定
経営計画とは、経営理念や中長期的ビジョンをまとめた経営プランのことです。事業計画は、あくまでもひとつの事業に対するアクションプランに留まります。一方の経営計画は、会社を経営するにあたり「将来的に自社があるべき姿」を描いたトータルプランです。具体的なビジョンとともに、それを達成するための戦略や数値目標をまとめます。
経営計画には「長期経営計画」「中期経営計画」「短期経営計画」の3種類があります。もっとも一般的なのは、3年〜5年に設定する中期計画です。実際に会社を興す際は、経営計画・事業計画・行動計画(部門や社員など)の順に策定していきます。
2.事業計画の策定
社長の代表的な仕事として、「事業計画の策定」が挙げられます。事業計画とは、創業者プロフィールや事業概要・創業資金・事業目的・売上げ予測・売上げ計画などを明示した公文書のことです。噛み砕いてご説明すると、「どの様な目的」で会社を興し、「どの様な手段」で利益を上げ、「将来的にどの様な会社にしたいのか」をまとめたプランとなります。
そもそもなぜ、事業計画が必要なのか。最たる理由は、銀行やVC(ベンチャーキャピタル)から融資・出資を受けるためです。会社設立には一定の創業資金が必要であり、社長個人で賄えないケースが大半です。したがって、銀行やVCから融資・出資を受けるのが一般的ですが、その審査に事業計画書の提出が求められます。実際に融資が受けられるか否かは、事業計画の良し悪しにかかっています。正確かつ説得力のある内容でなければ信頼を得られず、融資・出資につながりません。社長個人での策定が難しい場合、経営コンサルタントの力を借りるのも有効です。
3.資金調達
資金調達も社長の代表的な仕事です。主な資金調達手段としては「銀行や信用金庫からの融資」「国や自治体の助成金」「VCからの融資・投資」「クラウドファンディング」の4パターンがあります。もっとも一般的なのは「銀行や信用金庫からの融資」です。先述した通り、実際に融資してもらえるかは、事業計画の良し悪しで決まります。さらに融資申請時には、銀行側の担当者との面談があります。面談で適切な対応ができるか否かも審査に影響するでしょう。近年は創業支援を目的に、さまざまな助成金を国や自治体が用意しています。助成金は融資と違って返済不要であるため、積極的に利用したいところです。また「VCからの融資・投資」や「クラウドファンディング」などの資金調達手段も選択肢に入ります。
4.資金管理
会社の“金庫番”といえば経理ですが、資金管理を経理担当者に任せきるのはリスキーです。経理同様、社長もお金の流れを把握しておく必要があります。なぜなら、社長は自社の経営状況や財務状態をもとに意思決定を行う役目があるためです。また、社長の中にはお金に無頓着な人もいます。資金管理を経理に一任した結果、不手際から資金ショートが発生したり、借金の債務不履行に陥ったりすることも少なくありません。その責任は経理ではなく、管理を任せた社長にあるのです。
5.適切な労働環境の整備
“働き方改革”の推進にともない、適切な労働環境の整備が企業に求められています。その役割を担うのが社長です。労働環境は社員の生産性に影響し、また生産性は事業利益を左右します。事業利益を高めるためにも、労働環境の整備に力を入れなければなりません。具体的な取り組みとしては、フレックスタイム制度や育児休業制度、テレワークの導入、サテライトオフィスの設置など、社員が快適に働ける環境と「仕組み」を検討します。
特に重要性テレワークは重要性が増しています。2020年4月現在、新型コロナウイルスの感染症対策として、政府は企業に対しテレワークを要請しています。これを機にテレワークを導入した企業も多く、今後さらに定着すると予想されます。未曾有の事態に備え、テレワークによる作業環境の構築も視野に入れたいところです。
6.後継者の教育
会社経営における最重要課題は「後継者問題」です。将来的に社長から退く際、誰に事業を継承するのか決めておかねばなりません。そのためにも、自分の後釜となる幹部を育てる必要があります。多くの場合、息子や娘といった子孫や既存社員の中から後継者を選びます。幹部候補となる社員は経営サイドに移るため、会社経営に必要な知識・ノウハウを身につけなければなりません。社長は経営業務にあたりつつ、そのサポートを行います。
後継者育成は2パターンにわかれます。ひとつは、「社内による後継者教育」です。幹部候補をさまざまな部門に配属して現場経験を積ませたり、会社経営に参画させたり、社長自らが指導したりするのが一般的です。ステップアップ方式で幹部候補の経営力を高め、最終的に引き継ぎます。もうひとつは「社外外による後継者教育」です。関係他社で勤務経験を積ませる、社外セミナーに参加させるなどの方法があります。つまりは、社長になるための“武者修行”となります。スムーズに事業継承を行うためにも、後継者教育は早い段階から取り組むべき仕事です。
まとめ
社長の仕事の大半は、裏方業務です。会社と社員を守るため、目に見えないところでさまざまな業務にあたっています。プレイヤーとして現場に入る社長もいますが、経営管理も並行していることを知っておきましょう。
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