ホーソン効果とは

Q: ホーソン効果とは

ホーソン効果とは、自分が注目を浴びているということで起こる心理的な変化です。人は他社から期待されたとき、いつも以上のパフォーマンスを発揮しようとする心理行動です。

更新日：2023.03.07ビジネス豆知識

仕事の効率や従業員のモチベーションを簡単に上げることができたなら、とても素晴らしいことだと思います。ですが、自分の気持ちはコントロールできても、他人の気持ちをコントロールするのは大変です。しかし、ホーソン効果を上手く活用すれば、従業員のモチベーションや仕事の効率を上げることができます。今回はホーソン効果を紹介します。

1 「ホーソン効果」
2 ホーソン効果とピグマリオン効果の違い
3 ホーソン効果とプラセボ効果の違い
4 ホーソン効果を利用して理想の自分に近づく方法
- 4.1 付き合う相手を選ぶこと

「ホーソン効果」

自分が注目を浴びているということで起こる心理的な変化です。ハーバード大学ビジネススクールのエルトン・メイヨ教授がウエスタン・エレクトリック社のホーソン工場にて行われた実験からホーソン効果と呼ばれるようになりました。

照明の明るさが生産性に影響するのかという実験から、人は誰かに注目されていると、相手の期待に応えようとして生産性が向上するということが分かりました。照明の明るさは生産性に影響しなかったようです。また、待遇面を悪くしても生産性に影響はなく、経済的な動機付けだけで動くことが無いことが分かりました。

但し、これはハーバード大学の実験だったから経済的な動機付けが無くても生産性が上がったと考えられます。なぜなら、この実験に参加した人はハーバード大学の実験に選ばれたのだという気持ちが影響しているはずです。ハーバード大学の実験に自分が選ばれた特別感、ハーバード大学に協力しているという動機付けです。

そのため、待遇面が悪くても生産性に影響が無かったと思われます。基本的に経済的な動機付けは従業員のモチベーションをアップさせることができます。実験の結果から待遇面を悪くしてもホーソン効果を利用すれば生産性に変わりがないと受け取るのはどうかと感じます。

人は誰かに認められたいという欲求、承認欲求とも言われますが、それによって行動を起こすということが立証されました。見られていると感じることによって人の気持ちの中に湧いてくる、生産性の低い人間に見られたくない、期待に応えたいという心理的な部分も影響します。

周りの人の期待に応えようとするのは人としてとても自然な反応だとも言えます。人は周囲の期待に応えることで自分が置かれている環境に馴染むことができます。自然と従業員のモチベーションが上がり生産性に好影響が出ます。結果的に生産性が向上し、仕事の効率が上がります。

また、実験ではこれ以外にも分かったことがあります。人は感情の生き物でその人の感情次第で監督者には想像もできない結果をもたらすということです。なぜなら、監督者の態度と従業員の関わり方で生産性に違いが出たからです。関係が上手くいくことで、従業員は期待されていると感じることができ、劇的に生産性や作業効率、作業スピードが向上しました。

ホーソン効果とピグマリオン効果の違い

似たような効果でピグマリオン効果があります。ピグマリオン効果は別名ローゼンタール効果とも言われます。アメリカの心理学者ロバート・ローゼンタールが提唱したからです。ホーソン効果もピグマリオン効果も相手の期待に応えて頑張るというところは同じです。違うのは立場と効果が出る対象です。

また、ピグマリオン効果は先生と生徒やコーチと選手のように上下関係がないと成り立ちません。立場が上の人が下の人に期待して結果を出させる。ホーソン効果との違いは、ホーソン効果が他者から注目を浴びることで自分から結果を出そうとすること。ピグマリオン効果は結果を出すのは自分ではなく相手です。

ホーソン効果とプラセボ効果の違い

プラセボ効果もホーソン効果と似たような効果です。偽薬効果やプラシーボ効果とも言われます。人の思い込みの力を利用した効果であると言えます。例えばですが、信頼している医者の先生にあなたの病気に効く薬ですと言われて処方してもらいます。患者は素晴らしい先生が出してくれた薬だから間違いないと思います。私は医者に治ることを期待されているのだと思います。その思い込みの力で病気を克服してしまうのです。

ですが、医者の処方した薬はただの小麦粉だったということ。患者の思い込みの力が病気を克服し自然治癒させたのです。ホーソン効果との違いは、ホーソン効果が自分で信じ込むことなのに対してプラセボ効果は相手に信じ込まされることです。

ホーソン効果を利用して理想の自分に近づく方法

付き合う相手を選ぶこと

見られていることで効果が発揮されるホーソン効果を上手く利用しましょう。タバコをやめたいならタバコを吸わない人と過ごしましょう。吸わない人からの「タバコは吸わないよね」という無言の視線を利用します。その期待に応えたいというホーソン効果を利用するのです。

また、類は友を呼ぶとも言われるように付き合う相手を選びましょう。愚痴ばかり言っている人と一緒にいるとあなたの人生もそうなってしまいます。人生を諦めて愚痴ばかり言う人が集まってきます。居酒屋で愚痴を言っている人の仲間に入ってはいけません。自分が望む方向に身を置くことが大切です。見られているだけで効果が出るホーソン効果ですから、自分の目標は周りの人に伝えましょう。そうすることで期待されているという気持ちを糧にして頑張るのです。

今回はホーソン効果について紹介しました。人は他者から注目されることによって持っている力を何倍にもできます。見られることで効果が出るホーソン効果を上手く自分の生活に取り入れて活用しましょう。