行政書士との兼業も多数!海事代理士の仕事内容

2020.03.02ビジネス豆知識
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弁護士や行政書士など、“法律のスペシャル”と呼ばれる職業はいくつもあります。その中でも、海上の安全を法律面から守る職業があることをご存じでしょうか。今回は、“海の法律家”と呼ばれる「海事代理士」の特徴や業務内容、求人事情についてご紹介します。

船舶

 

海事代理士とは?

海事代理士とは、船舶登録や登記などを行う“海の法律家”です。海事代理士法に基づき、海運業者や造船分野における法人企業の手続き・作業を代行します。具体的な業務内容は、以下の通りです。

□船舶の登録・登記
□船舶の検査
□船舶免許の取得・更新
□関連書類の作成
□開示許認可の手続き

行政書士および司法書士に近い職業であるため、“海の行政書士”“海の司法書士”と呼ばれることも少なくありません。一般的な行政書士と違うのは、海上の法律的知識が求められることです。海上には陸上と異なる危険が蔓延しています。国際的な条約をはじめとした知識を学び、船上で働く方々の安全を守ったり、アドバイスを行ったりすることも、海事代理士の仕事です。

また海事代理士において、独立開業している方はごくわずかです。多くが法律事務所に所属し、行政書士や司法書士とのダブルライセンスで活躍しています。海事専門の法律事務所もありますが、各業界との太いパイプがなければ、安定的な仕事量を確保できないといわれています。

よって、海事代理士は、行政書士などの「副業」という認識の方が多いようです。キャリアアップの目的で、海事代理士の資格を取得する方も少なくありません。

海事代理士になるメリットは?

海事代理士になるメリットは何なのでしょうか。一つひとつ見ていきましょう。

仕事の幅が広がる

海事代理士の資格を取得すれば、行政書士や司法書士における仕事の幅が広がります。海事関係の仕事はそう多くありませんが、ゼロではありません。突発的にその様な依頼が飛び込んできても、資格さえ取得していれば受託できます。機会損失を防ぐ上でも有効な資格です。

資格自体は誰でも取得できる

海事代理士試験には、年齢や学歴などの受験制限がありません。試験内容について詳しくは後述しますが、海事の専門知識や六法などを抑える必要があります。法学部出身でなくても受験できるのは、ひとつのメリットといえるでしょう。

海や船舶好きにとって魅力的な職業

海事代理士には、全国各地の港を転々としたり、大型船舶に乗り込んだりする機会があります。入出港や造船時の検査・手続き、登記申請が目的ですが、海や船舶が好きな方にはうってつけの仕事といえるでしょう。また日本近海の安全を、法律面から守るのが海事代理士の仕事です。それが海事代理士にとってのやりがいにつながります。

海事代理士になるデメリットは?

大きなデメリットはありませんが、仕事量に関しては少々気になる方もいるかもしれません。平均年収も併せてご紹介します。

海事代理士の仕事だけでは“食えない”?

海事代理士は、行政書士や会社員と兼業する方が大半です。その理由はただひとつ、海事代理士の仕事だけで生計を立てるのが困難だからです。仕事自体が多くないため、海事代理士の仕事は副業と割り切る方も少なくありません。

また、独立開業するのが難しい職種でもあります。海事代理士の仕事だけで食べていくためには、海運・造船分野における法人企業とのパイプが必要です。仮に独立できても、開業当初の平均年収は500万円程度といわれます。一方で開業から10年以上経ったベテランや、当該地域において市場を独占できれば、年収1,000万円超えも夢ではありません。

海事代理士は責任重大

海運企業をクライアントにする海事代理士は、船舶の入出港までに検査・登録・手続きを済ませなければなりません。もし仕事が遅れると、船舶の入出港時間に影響を及ぼす可能性があります。関係各所に迷惑がかかるうえ、損害賠償請求に発展するケースもあるようです。常にマルチタスクかつ時間に追われる仕事であるため、人によってはデメリットに感じられるかもしれません。

海事代理士の試験内容と合格率

海事代理士は国家資格です。海事代理士試験を合格し、地方運輸局に登録した方だけが海事代理士として活躍できます。試験は筆記(一次試験)と面接(二次試験)に分かれ、筆記試験合格者のみ面接に進むことができます。

筆記試験は、憲法・民法・商法などの知識に加え、海事関係法令など計18種類の法律に関する問題が出されます。すでに行政書士や司法書士として活躍している方なら、その知識が役立つでしょう。

筆記試験は穴埋め形式および選択式となっており、例年過去問から問題が出される傾向にあります。過去問をしっかりと学習しておきましょう。面接試験においては、船舶法や船舶安全法、船員法などが中心です。これを突破した後、ようやく海事代理士になることができます。

また、海事代理士試験の最終合格率は、30%~50%です。国家資格にしては高めの合格率ですが、法律事務所などに従事している方が受験するため、それが合格率の底上げにつながっていると予測されます。一見簡単そうに思えますが、試験自体は非常に難易度が高く、合格は容易ではありません。

海事代理士になれない方もいる?

試験自体に年齢や学歴の制限はありませんが、「海事代理士法第3条に規定する欠格事由に該当する者」は登録できません。以下をご覧下さい。

【海事代理士法第3条に規定する欠格事由に該当する者】

□未成年者
□成年被後見人又は被保佐人
□禁錮以上の刑に処せられた者
□執行が終わってから2年を経過しない者
□国家公務員などにより懲戒免職の処分を受けた者(当該処分から2年を経過しない者)
□海事代理士の登録抹消処分を受けた者(当該処分から5年を経過しない者)

上記に該当する方は、海事代理士の登録が認められていません。受験前に確認しておきましょう。

海事代理士の求人事情

海事代理士の求人は、大手事務所で人員が欠陥した際に出されることがあります。逆に個人事務所などが求人を出すケースは希で、求人サイトを見ても中々ヒットしません。そもそも日本国内において、海事代理士は人数が少なく、需要も決して多くありません。

というのも海事代理士の主な業務は船舶登記ですが、これは行政書士でも行えます。そのためクライアントも、一般的な法律事務所に依頼するケースが多く見られます。専任の海事代理士でなければ受託できない仕事は、決して多くありません。これが海事代理士を「副業」として考える理由であり、生計を立てるのが困難な原因です。

また海事代理士の求人において、中途採用は殆どありません。仮に求人があっても、有資格者に限定されるケースが大半です。併せて実務経験も求められるため、未経験者が採用されることは少ないでしょう。よって法律事務所に登録し、案件が発生次第受託するのが、一般的な流れとなります。フリーランスの動き方に限りなく近いでしょう。

海事代理士の資格でキャリアアップにつなげよう

現在、法律事務所などで働く方がキャリアアップを目的に、海事代理士の資格を取得するのは有効です。一方で、専任の海事代理士を目指すのは、やや難しいかもしれません。近年は不況の影響もあり、日本船籍の船舶は減少傾向にあります。それにともない、海事代理士の仕事も減っているのが実情です。海事代理士の資格は、仕事の幅を広げる手段として取得するのがおすすめです。

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