ビジネスシーンでよくある「間違い敬語」

更新日:2023.03.31ビジネス豆知識

間違った敬語を話す

ビジネスシーンではさまざまなマナーやルールがありますが、その中でも基本中の基本といえるのが敬語の使い方ではないでしょうか。ビジネスシーンでは目上の方と話す機会も多く、言葉の使い方ひとつで自分への評価が大きく左右される可能性も高くなります。言い換えれば、正しい敬語をスマートに使いこなすことができれば、周りの印象がアップするかもしれません。しかし、敬語は日本語でもっとも難しい表現ともいわれています。ここでは、社会人として覚えておきたい敬語の基本や、つい使ってしまいがちな間違い敬語など、例を交えながらご紹介します

敬語の基本

敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があります。それぞれの特徴や使い方など敬語の基本をご紹介します。

尊敬語

尊敬語は相手を敬う時、敬意を表す時に使う言葉です。相手の動作や状態、物などが尊敬語の対象となります。語頭に「お」「ご」をつけることで尊敬語になるものもあれば、動詞自体を尊敬語に変化させなくてはいけない場合もあります。さらに、「お客様」「皆様」などに使用される敬称や、「~になる」「~される」などの接尾辞も尊敬語の一種です。

謙譲語

謙譲語は、へりくだった表現をして自分の地位を低く見せることで、相対的に相手を立てて敬う時に使用します。謙譲語の対象となるのは、主に自分の動作や状態です。ただし、ビジネスシーンにおいて他社の方から見て自社の者は、自分にとって目上の方であっても謙譲語の対象となります。

丁寧語同様、動詞を特殊に変化させて使用することがあります。また、「私ども」「手前ども」の「ども」などの接尾辞や「お(ご)~する(致す)」などの言い回しも謙譲語に含まれます。

丁寧語

丁寧語は「です」「ます」「~でございます」などを使用する丁寧な言葉です。丁寧語の対象となるのは自分や相手の動作、状態、物など多岐にわたります。たとえば「食べる」の丁寧語は「食べます」になり、「悲しい」は「悲しいです」となります。

より高い敬意を表したい場合は「~でございます」を用いることもあります。丁寧語は主に語尾を変化させて表すという特徴があるため、尊敬語や謙譲語と区別がつきやすいといえるでしょう。

混乱しやすい尊敬語と謙譲語の使い分け

敬語は、相手に気分良く話をしてもらったり聞いてもらったりすることを目的として編み出されたと考えられます。そのため使用方法は非常に複雑で、間違えた使い方をするとかえって相手に対して失礼にあたってしまいます。特に間違えやすいのが、謙譲語を使用するべき場面で尊敬語を使ってしまうことです。

たとえば、社外の方に自社の社員の話をする時は、「○○社長がいらっしゃいます」という言い方はしません。こういった場合、社長や部長などの役職名は敬称であるため、目上の方であっても呼び捨てにするのが正しいのです。同様に「いらっしゃる」は「行く/居る」の尊敬語であるため、自社の社員に対して使うのは間違いだといえます。つまり上記の例文は「○○が参ります(伺います/おります)」というのが正しい言葉遣いになります。

お客様や上司など、相手が主語になる場合は尊敬語を使用し、主語が自分の場合は謙譲語を使用します。尊敬語と謙譲語を見分ける際は、主語が誰であるかという点に注目して考えてみましょう。

ビジネスシーンでよくある間違い敬語の例

ビジネスシーンでよく使われている、間違った敬語をいくつかご紹介します。社会人生活が長くなればなるほど間違った敬語を使っていても、注意してもらえることは少なくなってしまいます。改めてしっかりと学んでおきましょう。

目上の方に使うのは失礼な言葉や表現

日本語としては間違えていませんが、使う相手によっては無礼にあたってしまう言葉です。上司やお客様に対しては使わないように気をつけましょう。

ご苦労様です

「ご苦労様」は目上の方が目下の人に対して使用する言葉です。目上の方に対してねぎらいの言葉をかけたい場合は、「お疲れ様です」を使用しましょう。

了解しました

一見問題なく思えますが、これは同僚などを相手に使用するフランクな表現です。敬意を表したい場合は「承知しました」や「かしこまりました」が適切な表現といえます。

参考になりました

「参考にする」という言葉は、自分の考えを決定する際の判断材料のひとつにするといった意味であるため、目上の方に対して使用するのは失礼にあたります。目上の方に対して使用する際は「勉強になりました」を用いましょう。

すいません

「すいません」という言葉は「すみません」をいいやすくした口語であるため、目上の方に対して用いるには失礼な表現といえます。また、「すみません」は「済まぬ」の丁寧語にあたりますが、軽い表現であるためビジネスシーンに適した言葉とはいえません。謝罪の言葉を述べたい場合は、「申し訳ございません」「大変失礼いたしました」などがふさわしい表現です。

私には役不足です

「役不足」という言葉は、与えられた仕事が自分の実力には取るに足らない、満足できないということを意味します。自分の能力が足りず自信がないという意味で伝えたい場合は、「力不足」「力量不足」を用いるのが正解です。

なるほどですね

一見丁寧語に見えますが、これは「なるほど、そうですね」を省略した言い方です。さらに「なるほど」という言葉自体が、本来は目上の方が目下の方に対して使う言葉です。目上の方に対しては「おっしゃるとおりです」という言い回しが適しています。

敬意の対象を間違えている言葉や表現

ここからは、尊敬語や謙譲語の対象を間違えてしまっている言葉や表現をご紹介します。

おられますか?

「おる」は自分をへりくだっていう時の表現です。相手がいるかいないかを問う時は「いらっしゃいますか?」を使用します。

資料をご持参下さい

「持参」も謙譲語ですから相手に使用するのは失礼にあたります。「資料をお持ちになって下さい」などが正しい表現です。

本日は休みをいただいております

この場合「いただく」は自社に対して敬意を払っている表現になってしまいます。「本日は休みを取っております」など謙譲語を用いた表現にしましょう。

二重敬語

すでに尊敬語に変化させている動詞に、さらに丁寧語をつけたり尊敬語をかぶせたりするのは二重敬語と呼ばれる間違った敬語です。過剰な表現であるため、卑屈な印象を持たれてしまう可能性がありますから注意しましょう。

お召し上がりになられる/どうぞお召し上がり下さい

「食べる」の尊敬語である「召し上がる」に「お~になる」をつけてしまっているため二重敬語表現です。正しくは、「召し上がる/どうぞ召し上がって下さい」という使い方をします。

おっしゃられるとおりです

「言う」の尊敬語は「おっしゃる」ですから、さらに「られる」をつけてしまうと二重敬語になります。「おっしゃるとおりです」が正しい表現です。

間違った敬語を使って周りから注意を受けた場合は、その内容を真摯に受け止めることが大切です。言葉遣いを指摘されるとその場は恥ずかしいかもしれませんが、かたくなに聞き入れない姿勢を貫いていると、注意してくれる上司や先輩に見放されてしまうかもしれません。自分自身のレベルアップのためにも、周りからの注意は素直に受け止めましょう。また、正しい言葉遣いは一朝一夕で身につくものではないため、普段から意識して正しい敬語を使うことが大切です。これを機に、改めて敬語の基本を見直してみてはいかがでしょうか。

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