新しい回線規格”5G”は何が違う?

更新日:2023.03.24スタッフブログ

5G回線

近年、さまざまなメディアが「5G」というフレーズを使う様になりました。5Gとは、超高速・超低遅延・多接続が特徴の新しい通信規格です。私達の生活が一変する画期的な技術ですが、具体的に何ができるのか、どういった特徴があるのかは、あまり知られていません。本記事では、5Gに関する基礎知識に加え、携帯キャリア各社が3G回線サービスの終了に踏み切った理由を解説します

携帯キャリア各社が3G回線サービス終了へ

5Gの登場にともない、「NTT Docomo」「au」「SoftBank」の3社は3G回線サービスの終了を表明しました。“通信規格の世代交代”といったところですが、実は過去に実施されていた措置に過ぎません。2G登場時には1G、3G登場時には2Gによる通信サービスが終了し、旧世代に使用した周波数帯域は、新たな通信規格に転用されました。

そもそもなぜ、“通信規格の世代交代”が行われるのでしょうか。理由はただひとつ、携帯キャリアが使用する周波数帯域に限りがあることです。例えば3Gは、ガラケー(携帯電話)最盛期に用いられた通信規格であり、スマートフォンが普及した今日においては利用頻度が低下しました。同時にユーザーも減り、この先も提供を続けるとコストに見合ったリターンが得られません。携帯キャリアからすると「もったいない」というのが本音でしょう。
今回においても、携帯キャリア各社が3G回線サービスを終了したのは、必要な措置であったためです。今後は超高速・超低遅延モバイルネットワークの5Gが台頭する時代となり、私達がかつて描いた未来を実現するでしょう。

新たな通信規格・5Gとは?

5Gは「5th Generation」を略した用語で、正式には「第5世代通信移動システム」といいます。日本では2020年春にサービス開始が予定されていますが、米国や韓国ではすでに商用利用が進むほど普及しています。

5Gを知るためにも、4Gとの違いを比較してみましょう。「通信速度」「ネットワーク遅延」「接続数」といった3つの項目から見ていきます。

【4Gのスペック】

□通信速度:100Mbps~最大1Gbps
□ネットワーク遅延:10ms
□デバイス接続数:10万デバイス/平方キロメートル

【5Gのスペック】

□通信速度:最大20Gbps
□ネットワーク遅延:1ms
□デバイス接続数:100万デバイス/平方キロメートル

この様に、5Gは4Gに比べて通信速度が最大20倍、遅延が10分の1、接続数が10倍となります。完全上位互換の通信規格であり、そのスペックからモバイルネットワーク環境が劇的に変化すると予想できます。
具体的な「変化」について、もう少し掘り下げます。まず通信速度ですが、4Gが最大1Gbpsなのに対し、5Gは最大100Gbpsです。例えば、4Gでダウンロードに5秒かかるデータがあるとします。これが5Gなら、0.25秒でダウンロードが完了する計算です。

また、4Gの遅延は10ms、5Gは1msです。従来よりもネットワーク遅延が大きく改善され、Web経由による“遅れ”を感じさせない高速データ通信が可能となります。例えば、オンラインゲームにおける遅延がほぼなくなるため、リアルタイム性の高いタイトルほど5Gの恩恵を受けるでしょう。
接続数の増加においては、IoT(Internet of Things)の分野に影響を与えます。従来に比べて多くのセンサーを設置できるため、多機能なIoTデバイス(スマート家電など)の登場や、主に製造業で用いられる遠隔監視システムの高性能・高精度化が予想されます。近年注目されるIoT環境の普及においても、5Gが一役買うのではないでしょうか。

5Gは何ができる?私達にもたらす未来とは

ここでは、5Gを活用して「何ができるのか」を解説します。さまざまな分野・領域への利活用が検討されている最新テクノロジーは、私達にどういった未来をもたらすのでしょうか?

自動車の遠隔運転

「日産自動車」を筆頭に、大手自動車メーカー各社は“自動運転車”の実用化に取り組んでいます。その一方で、5Gを活用した“遠隔運転”なる最新テクノロジーが「東京モーターショー2019」でお披露目されました。“通信×運転”の最新事例として、「NTT Docomo」が出展しています。

デモンストレーションでは、会場に設置されたコックピット(運転席)と遠隔地の自動車を5G経由で接続し、数十キロ離れた場所からの遠隔運転が行われました。5Gの超低遅延通信からタイムラグは感じさせず、あたかも車内にいるかの様な運転性を実現しています。“自動運転車”の実用化が進む中、未来のクルマづくりを後押しするテクノロジーとなりそうです。

遠隔手術

5Gによる遠隔操作は、さまざまな分野での利活用が検討されています。例えば、医療分野です。“テレイグジスタンス”と呼ばれる遠隔操作技術を活用することで、人とロボットがリアルタイムで連動し、遠隔地での手術を可能とします。「どの場所にいても手術が受けられる」という理由から、医療格差が縮まる技術として注目されています。フルハイビジョンよりも美しい4K映像ですが、膨大なデータ量からリアルタイムの伝送は不可能でした。しかし5Gの登場により、その技術的なハードルを突破できる様になります。身近な例でいうと、4K映像のライブ配信がリアルタイムで視聴できます。スポーツ観戦やVR/ARなど、さまざまな領域での利活用が期待されるでしょう。

自由視点映像の登場

従来の定点型ではなく、自由視点での映像コンテンツが登場します。すでに検証実験が行われたのは、野球観戦です。スタジアム内に十数台のカメラを設置し、すべての映像を合成します。その合成映像はタブレット端末を使い、360度自由な角度から視聴可能です。さらにフリック操作で角度を変えたり、映像を拡大したりすることもできます。従来に比べて自由な映像表現が可能となり、芸術・アートの領域においても注目されています。

次世代の エリア監視

5Gが新たな社会基盤の構築に役立つかもしれません。一例として挙げられるのが「エリア監視」です。街中に高精細カメラを設置し、基地局と5Gでつなぎます。すると基地局側は、4Kライブ映像をリアルタイムで監視できます。これまで見落としていた不審者・不審物を検知できるようになり、地域の防犯レベルが飛躍的に上がるかもしれません。

スマート農業

5Gの登場によって、日本の産業構造が変化するかもしれません。複数の先端テクノロジーを活かした“スマート農業”もそのひとつです。“スマート農業”とは、AIやIoTを活用した未来型の農業を指します。センサー管理のビニールハウスを設置することで、室内温度の調整や肥料散布・水やりなどのプロセスを自動化できます。このIoT環境を構築する上で、5Gの超高速・超低遅延通信技術が活かせます。作物の生育状況がリアルタイムで監視可能なほか、農業設備の遠隔操作、ドローンを用いた鳥獣対策など、さまざまな活用法が検討されます。

遠隔地での音楽セッション

ネットワークを利用した音楽(楽器)セッションサービスは、これまでも存在していました。一方、ネットワーク遅延による“音ズレ”の課題を抱え、決して実用的ではありませんでした。5Gのサービスが開始されることで、リアルタイムに近い音楽セッションが可能です。また遠隔地の友人とカラオケを楽しむなど、映像や音の同期ができる様になります。

まとめ

私達が5Gの恩恵を実感するのは、2020年春になる見込みです。さまざまな領域への利活用が検討される通信規格であり、そのポテンシャルは測り知れません。今後、世界中の企業が5Gの特性を活かした製品・サービスを生み出すことでしょう。日常生活にどういった変化をもたらすのか、期待に胸を膨らませて導入を待ちたいところです。

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