ビジネスマナーの歴史

更新日:2022.05.06スタッフブログ

名刺交換を求めるビジネスマン

仕事をするうえで覚えておきたいビジネスマナー。お辞儀や名刺交換といった習慣は一体いつからはじまったのでしょうか?今回は、興味深いビジネスマナーの起源と歴史に迫ってみます。この記事を読んで、社会や組織、人との関わり方を今一度見直してみて下さい。

時代によって変化してきたビジネスマナーをご紹介

名刺交換の歴史は中国がはじまり?

名刺が最初に生まれたのは、唐の時代、中国だと考えられています。248年に没したとされる武将・朱然の墓から、名刺が発見されたからです。唐の時代にはまだ紙がなかったため、竹や木に名前を書いて名刺を作っていました。使われ方は現在とは違っていて、誰かの家を訪れた際、訪問したことを伝えるために名刺を置いていくというのが一般的でした。名刺が「紙」なく、「刺」という漢字を使いますが、これは唐の時代に名前を戸口に「刺」して使っていたことが由来です。

15世紀になると、ヨーロッパにも名刺文化が広まりはじめます。最初に広まったのは、ドイツ。中国同様、留守中の家に訪問したことを伝えるために使われていました。17~18世紀になると、ドイツ以外のヨーロッパの国々でも名刺が使用される様になります。この時代の名刺は、現在のものと違い、凝った図柄のものがよく使われていたとのことです。また、トランプの裏に名前を書いて交換する習慣もあったそうです。19世紀半ばになると、写真入りの名刺も登場。写真を入れることを考慮して57mm×82mmに作られていましたが、これが現在の名刺サイズのはしりといわれています。名刺の文化は、こうして世界中に広まっていきました。

日本の最初の名刺交換は江戸時代?

日本で名刺が使われる様になったのは、他国よりも遅い19世紀頃です。江戸時代の日本では、和紙に墨で名前を書いた簡単な名刺が使用されていました。この頃はまだビジネスで名刺を交換することはなく、中国やドイツ同様、訪問先が留守だった時の報告として使っていました。

名刺の使われ方が現在に近づくのは、江戸末期の開国を迎えてからです。鎖国が終わり、外国人がたくさん入ってくる様になったため、役人は名刺を作って彼らと交換する必要性に迫られました。明治に入り、鹿鳴館時代には社交の道具として、多くの方が名刺を利用する様になります。名刺の登場は遅かった日本ですが、幕末から明治初期にかけて印刷技術が発達したこともあり、名刺文化は一気に普及しました。

日本の接客マナーの歴史

接客にも、名刺交換ほどではありませんが、長い歴史がります。日本に接客マナーが生まれたのは、江戸時代です。江戸時代には各地に都市がつくられ、それに伴ってさまざまな商業施設が生まれていました。小料理屋や芝居小屋といった施設がたくさんできたため、競争が激化。他のお店に負けないことを目標に、それぞれのお店でお客を満足させるスキルや、気持ちのよい接し方を磨く様になります。この時代のお客を集めるための努力が、現在の日本におけるサービス業の基本になったのではないかと考えられています。

また、日本の接客マナーの特徴として「おもてなし」の考え方があります。世界中で高く評価されているこのおもてなし精神ですが、根底には千利休が広めた茶道があると考えられています。茶道には「相手の気持ちになって考える」「あらゆる準備を怠らない」「周囲に対する気遣いを忘れない」といった方針があります。この様な考え方が元になり、現在のおもてなしを重視した接客マナーが生まれました。

上座と下座の由来

ビジネスの場面では、席次が重んじられています。上司や取引先の方と同席する場合は、上座に座ってもらうのがマナーです。基本的に、出入り口から遠い場所が上座、近い場所が下座になります。どうして出入り口から遠い場所が上座となったのか。はじまりは敵方武士の襲撃も多かった武家社会です。もっとも襲われる危険が少ない場所が、奥の位置だったことが由来。また、室町時代の書院造の家では、部屋の奥には掛け軸や生け花が掛けられ、落ち着いた空間に作られていたことも関係しています。

現在は状況が変わったため、部屋の奥の方が快適とは限らなくなりました。しかし、断りなく訪問客を下座に案内すると不快に思われることがあります。下座の方が窓からの眺めがよい場合もあり、また、上座は日差しが強く過ごしにくいことも。その時は部屋の状況を丁寧に説明してから席に通す気遣いが望まれます。

握手をするビジネスマン

お辞儀や握手の由来

お辞儀の歴史は古く、飛鳥時代から奈良時代に中国の礼の仕方を取り入れたのがはじまりだと考えられています。3世紀に書かれた『魏志倭人伝』には、すでにお辞儀についての記述があります。お辞儀の由来は、急所である後頭部を相手の方に差し出すことで、自分が相手に対して無抵抗であることを示す習慣が定着したことによるもの。感謝の気持ちとはかけ離れたお辞儀の由来に、興味深いものを感じさせます。

日本では長い間、仕事での挨拶としてはお辞儀が一般的でしたが、欧米の文化が流れ込んだことにより、握手をする機会も増えてきています。握手をするのは、手に武器を持っていないことを証明するために手を差し出したことが由来です。お辞儀も握手も、どちらも相手に警戒心を起こさせないためにできた習慣といえます。

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