合同会社設立のメリットとデメリット
更新日:2023.04.17スタッフブログ2006年の会社法改正に伴い新たに設けられた会社の形態が合同会社です。有限会社は新たな設立はできなくなり、現在は株式会社の特例として特例有限会社と呼ばれています。合同会社は新しい会社の形態ですので、まだ聞き慣れないという方が多いと思います。日本では社会的な認知度もまだ低いですが、右肩上がりに増加しています。アップルやグーグル、アマゾン、西友、ユニバーサルミュージックも合同会社に移行しています。皆様も聞いたことがあるでしょう。今回は、合同会社とは何なのか?また、合同会社のメリットとデメリットについて紹介します。
目次
合同会社とは?
会社の出資金を出した人が経営もするのが合同会社です
例えば、株式会社では出資者(株主)がお金を出しますが、経営するのは取締役などの役員です。
合同会社は出資者全員が有限責任社員です
ここでいう社員とは資本の出資者のことです。合同会社は株式会社と同じく「有限責任社員」ですので、出資金以上の債務を負わずに済みます。逆に「無限責任社員」とは、全財産を失ってでも負債を負う必要に迫られる社員のことです。合名会社や合資会社が当てはまります。
- 合資会社、合名会社があるので、合同会社の略は(同)です
- 金融機関などのカタカナ表記は前同が「ド)」後同が「(ド」です
- 英語表記は「LLC」Limited Liability Companyの略です
稀に「GK」ローマ字のGodo kaishaの頭を取って表記することもあります。
合同会社のメリット
設立費用が安い
登録免許税6万円だけで設立ができます。定款の作成は必要ですが、公証役場での認証が必要ないので認証費用も不要です。
また、登記に必要な書類も少ないので早い期間で設立できます。株式会社の場合だと、登録免許税、公証役場での定款認証費用が必ず必要です。設立もそれなりに時間がかかってしまいます。
決算公告がない
決算公告の必要がないため、毎年の官報掲載費が必要ありません。また、役員の任期も無制限ですので重任登記も必要ありません。
株式会社の場合は、毎年の公告義務がありますので官報掲載費用がかかりますし、2年ごとの役員変更登記が必要です。株式会社では役員の任期が切れるごとに費用もかかってきます。合同会社はランニングコストが安く手続きも簡単です。
経営の自由度が高い
出資額の割合によって利益配分や意思決定がされる株式会社とは違い、合同会社は出資金が少なくても、貢献度合いによって利益の配分を自由に決めることができます。株式会社のように株主総会も必要ありませんので、経営上の意思決定も迅速に行えます。
また、合同会社も持分会社ですので、定款を自由に定めることができます。現場で働く従業員の意思を反映しやすく経営に小回りが利きやすくなります。
法人の節税メリットが受けられる
株式会社と同じです。個人事業主よりも経費の範囲が広くなります。社債の発行も可能ですし、有限責任ですので個人事業主と比べて有利です。
1人でも設立可能
合同会社でも代表社員が一人の「一人会社」も設立できます。
株式会社への変更も可能
合同会社として企業したが、経営も上手くいき業績も上がってきた。事業も大きくなってきたので株式会社に変更したいとなれば、多少の費用は掛かってきますが以降することも可能です。
合同会社のデメリット
社員全員の合意が必要
社員が出資者と役員を兼ねているため、意思決定の場で意見が分かれる場合があります。また、出資額に関係なく利益を配分できるので利益配分を巡る対立も起きやすいといえます。出資額の割合で利益配分や意思決定ができる株式会社との大きな違いです。そもそも、合同会社は少人数の社員によって設立や運営がされることを前提に作られています。利益配分や意思決定において対立することのないようにするためには、社員を増やしすぎないようにすることも必要です。
日本では認知度が低い
まだまだ日本では合同会社は知られていません。そのため、人材が集まりにくい可能性もあります。
また、株式会社も1円から設立できるようになった今は、合同会社だからといって信用が極端に落ちるとは考えにくいです。しかし、決算非公開、株主総会がないということから見ても閉鎖的な法人です。合同会社だと取引が制限される可能性もあるかもしれません。
これから先は、合同会社の認知度も上がり、このデメリットは関係なくなる可能性はかなり大きいといえますが、現時点ではデメリットになると思われます。
上場はできないし、資金調達の手段も少ない
株式会社ではありませんので上場はできません。株式を増資して資金調達することもできません。創業して上場するのが目標だ!という方は株式会社で設立する方が良いでしょう。
代表取締役は使えない
合同会社では「代表取締役」は使えませんので「代表社員」です。
合同会社設立にあたって
合同会社は株式会社と比べて設立費用やランニングコストが安く抑えられるメリットがたくさんあります。そのため、個人事業主の法人化、ベンチャー企業の設立に多く利用されています。法人にすることで変わってくることがあるので注意も必要です。法人化すると以下の点が変わってきます。
法人住民税の負担が必要
税金関係が株式会社と同じです。赤字決算であっても法人住民税均等割りの最低7万円は納税が必要になってきます。
経理処理負担が増える
法人は経理処理が非常に煩雑化ですので、経理担当者を雇うか、税理士事務所に委託することが必要です。
社会保険の加入が必要
社会保険の加入が必須ですので、社会保険料の法人負担が発生します。
今回は合同会社について紹介しました。
法人にはしたいけど、株式会社のようにルールに縛られず自由に会社をしてみたいという方、持っている技術やノウハウを少人数で発揮したい方にはうってつけなのが合同会社です。1円から設立できますし、有限責任社員が1人いれば問題ありません。株式会社よりは設立費用も安く、意思決定や利益配分も自由にできます。ただ、合同会社にもメリットがあればデメリットもあります。自分が描く未来にマッチした会社の形態をセレクトして夢を実現してください。
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