法学検定とは|資格取得のメリットと試験概要

更新日:2024.10.10スタッフブログ

法学検定とは|資格取得のメリットと試験概要

法学検定試験は、法学の基礎をはじめ多種多様な専門知識を学べる民間資格です。この資格を取得すれば、いろいろなメリットが得られると期待できます。ただし、どのような利点があるか詳しく知らないとの声は、少なくないかもしれません。この資格について理解を深めておけば、法律関係の仕事を目指す時などに役立つでしょう。そこで今回は、法学検定試験の概要を解説し、試験の難易度・合格率や必要な勉強時間をご紹介します

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法学検定試験の概要

法学検定試験の概要

法学検定試験は、法学検定試験委員会が全国規模で実施している法学関係の検定試験です。

法学検定とは

法学検定では法的な知識が問われます。検定を受けると、法学に関する学力を客観的に評価できることが大きな特徴です。同検定を実施する法学検定試験委員会は、公益財団法人日弁連法務研究財団と公益社団法人商事法務研究会により組織されています。

また、2000年から法学検定4級・3級試験が、翌年から2級試験が開始されました。現在は、ベーシック・スタンダード・アドバンストの3コースに分かれています。ベーシックは基礎的な内容、スタンダードは中級段階、アドバンストは高度な上級レベルのコースです。受験するコースは選択制であり、各受験者の知識・能力レベルや希望する進路に合わせて試験を受けられます。

公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験とは (参照 2024-09)

2024年の試験日程

商事法務研究会の資料によると、2024年の試験日程は次の通りです。

申込受付期間(個人申込) 試験日 合格発表
願書郵送:2024年9月10日(火)~10月10日(木)
ウェブ出願:2024年9月10日(火)~10月15日(火)
2024年11月24日(日) 2025年1月6日(月)頃

個人申込の場合、出願方法は、大きく分けて書類郵送とウェブ申込の2つです。他に、コンビニ店頭の機械を利用する方法もあります。出願方法により締切期日が異なるため、注意が必要です。試験科目は、受験するコースによって以下のように変わります。

コース 選択科目 試験時間
ベーシック 法学入門・憲法・民法・刑法(全60問)
10時~12時(120分)
スタンダード 法学一般・憲法・民法・刑法・選択科目(全75問)
14時~16時30分(150分)
アドバンスト 法学基礎論・憲法・民法・刑法・選択2科目(全55問)
10時~12時30分(150分)

スタンダードの選択科目には、民事訴訟法・刑事訴訟法・商法・行政法・基本法総合があります。そのうち、基本法総合の出題範囲は憲法・民法・刑法であり、難易度は高めです。また、アドバンストの選択科目は、選択Aと選択Bに分けられています。選択Aは民事訴訟法・刑事訴訟法・商法・行政法、選択Bは労働法・破産法・経済法・知的財産法です。受験者は、これらから2科目を選択します。

個人受験の時は一般会場で試験を受けることになります。それぞれの試験時間は、ベーシック:10時~12時(120分)・スタンダード:14時~16時30分(150分)・アドバンスト:10時~12時30分(150分)です。試験結果は2025年1月上旬に発表される予定であり、受験者には成績通知書、合格者には合格証書が送付されます。なお、検定試験の詳細や団体・グループの申込方法は、法学検定試験の公式サイトや所定の受付窓口でご確認ください。

公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験|受験案内 (参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 個人申込みのご案内 (参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 成績について (参照 2024-09)

受験資格など

法学検定試験に特定の受験資格はなく、誰でも出願できます。個人で申し込む場合、とくに出願条件は設けられていません。一方、団体申込みは、大学や企業をはじめ法学検定試験委員会に認定された組織が対象となります。

また、10名以上で出願する時は、グループ受験も可能です。受験料(税込み)は、ベーシック:4,400円・スタンダード:6,600円・アドバンスト:9,900円です。さらに、セット受験の場合、ベーシック・スタンダードセットは8,800円、スタンダード・アドバンストセットは13,200円の費用がかかります。団体受験は、受験料の割引・詳細な団体成績の通知・成績上位団体の表彰といった特典の適用対象です。

また、障がい者に向けては、身障者等受験特別措置が用意されています。法学検定試験に受験資格はありませんが、団体受験は所定の条件を満たす必要があるため、あらかじめ条件内容を確認しておくとよいでしょう。

公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験とは(参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験|受験案内(参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 団体・グループ申込み(責任者向け)(参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 成績について(参照 2024-09)

法学検定|難易度と合格率

法学検定|難易度と合格率

法学検定試験は、受験するコースによって、試験の難易度に基礎・中級・上級の違いが見られます。

ベーシック

ベーシックは基礎的なコースであり、試験内容は法学部1~2年次のレベルです。商事法務研究会の説明によると、実際の試験では、憲法・民法・刑法を含めた基本法の基礎的知識や能力が問われます。初学者向けの問題設定であり、日々の学習内容をまとめれば活用できると見られています。ここ3年間の合格率は、2021年:64.4%・2022年:62.9%・2023年:64.7%です。それぞれ合格者数(受験者数)の内訳は、1,956人(3,035人)・1,841人(2,927人)・2,044人(3,160人)となっています。2021年以降の合格率は毎年6割を超え、約3,000人前後が受験するなか2,000人前後が合格しており、難易度は低めと考えられます。

コース名 試験レベル 合格率 難易度
ベーシック 基礎:法学部1~2年次レベル 60%超 低め

公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験Q&A (参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験|受験案内 (参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験|過去の試験結果 (参照 2024-09)

スタンダード

スタンダードは中級レベルであり、試験内容は法学部2~3年次相当です。受験者は、同コースの試験によって、基本的な条文の解釈力や重要な判例の理解力を測定されます。法律学における必須事項の習得度が分かり、資格試験や採用試験に挑戦する際の腕試しに使えるといわれています。2021年以降の合格率は、2021年:56.1%・2022年:56.7%・2023年:56.2%となりました。また、合格者数(受験者数)は、599人(1,067人)・757人(1,336人)・816人(1,453人)と推移しています。実際の試験内容や近年の合格率をふまえた場合、スタンダードの難易度は、ベーシックより少し高めと考えられます。

コース名 試験レベル 合格率 難易度
スタンダード 中級:法学部2~3年次レベル 約56% やや高め

公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験Q&A (参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験|受験案内 (参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験|過去の試験結果(参照 2024-09)

アドバンスト

アドバンストは上級コースとなり、試験内容は法学部3年次~修了者レベルです。同コースの場合、試験を通して、法律と専門的に関わる人が身につけたい項目を聞いてきます。問題は高度であり、法学の体系的な学力が一定以上あるかチェックできる内容になっています。試験結果を見ると、過去3年間の合格率は、2021年:27%・2022年:25.8%・2023年:27.5%でした。各年、合格者数(受験者数)は、62人(230人)・64人(248人)・71人(258人)と報告されています。いずれの年も合格率が3割に届かない状況から、アドバンストの難易度は、他の2コースより高めと考えられます。

コース名 試験レベル 合格率 難易度
アドバンスト 上級:法学部3年次~修了者レベル 27%前後 高め

なお、合格者のなかで格別に成績が優れていた場合、合否判定委員会の基準にもとづき「excellent(エクセレント)合格」の評価を得られます。

公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験Q&A (参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験|受験案内 (参照 2024-09)
公益社団法人商事法務研究会 法学検定試験|過去の試験結果(参照 2024-09)

法学検定|必要な勉強時間

法学検定|必要な勉強時間

法学検定試験に合格する場合、少なくとも数十時間以上の勉強は必要になるとの見方が一般的です。

ベーシック

ベーシックの合格に必要とされる勉強時間は、標準50時間くらいです。試験問題は基礎的な内容であり、これまで法律と縁がなかった初学者も、数日間にわたり集中して勉強すれば間に合うといわれています。具体的には、問題集や過去問を解き、解説を読みながら復習を繰り返せば試験に受かる可能性があります。また、法学部に在籍する1・2年生なら、2~3日あれば試験対策できるでしょう。

スタンダード

スタンダードの場合、合格するのに必要な勉強時間の目安は80時間ほどです。試験は法律学の必須事項について解釈力や理解力を問う傾向にあり、ある程度の準備は欠かせないと見られています。初学者は、いきなり解説を読んでも十分に理解できない可能性が高いため、しっかり問題集に取り組む必要があるでしょう。一方、法学部の3年生は、1週間くらいあれば準備できるといわれています。

アドバンスト

アドバンストに合格するとなると、標準的な勉強時間は800時間前後です。このコースは問題の難易度が上がる分だけ、時間をかけて準備する必要があると指摘されています。ただし、公式には3年間の過去問題集しかなく、徹底的に勉強するには問題数が足りないとの声も少なくありません。人によっては、専用のテキストがない状況をふまえ、法律関係の学習を幅広く進めながらアドバンストにも備えるケースが見られます。

以上のように、アドバンストは準備しにくい部分があるものの、いずれのコースも過去問や法学のテキスト類を勉強すれば試験に受かる可能性はあると考えられます。

法学検定|資格取得のメリット

法学検定|資格取得のメリット

法学検定の資格を取得する主なメリットは、合格した旨を履歴書に記載できるため就職で有利になると期待される点です。

履歴書にかける?

法学検定試験に合格した旨は、履歴書に記入することが可能です。ベーシック・スタンダード・アドバンストのいずれかで試験に受かった時は、合格したコースを所定欄に書けます。かつての制度で合格していた場合、「4級(現ベーシック〈基礎〉コース相当)」といった具合に記せばよいでしょう。また、excellent合格であれば合格証に明記されるため、履歴書に書けば成績上位者であった旨も示せます。

就職に有利?

法学検定の資格を取得している場合、就職で有利になると考えられます。この資格は、就職活動において、法学の基礎知識や能力が身についていることを証明できるものです。就活生は、大学在籍中に何を学んできたか、採用面接でアピールできます。また、ビジネスの場では法学検定の成績を参考にするケースがあるといわれ、就活時だけでなく入社後の人事評価でも着目されると見込まれます。

他の法律系資格の基本をマスターするのに役立つ

法学検定の勉強は、他の法律系資格の基本をマスターするのにも有効です。この検定試験は、各自の学習レベルに合わせて、法学の基礎・必須事項から体系的な実力まで習得できます。試験勉強を進めていけば、法律関係の専門的な知識を幅広く学べるでしょう。さまざまな法律知識を勉強した場合、法学検定に限らず、法律系資格の試験に役立つと期待できます。

法学検定は民間資格のため法律系の国家資格より有益性は低いともいわれますが、法律に関する知識を深めて基礎をマスターしたい時など、資格の取得はおすすめと考えられます

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