出世すると無能に?「ピーターの法則」の対策方法
更新日:2023.03.23ビジネス豆知識ローレンス・J・ピーター氏によって提唱された「ピーターの法則」という説があります。こちらは、有能な人間も限界まで出世すると無能になってしまうため、組織は限界に達する前の人物が回しているというものです。無能になるのを防ぐには、どのような対策を採れば良いのでしょうか?こちらでは、ピーターの法則についてお伝えします。
目次
ピーターの法則とは
ピーターの法則とは、アメリカの教育学者ローレンス・J・ピーター氏が、自身の著書の中で提唱した説です。社会学的な見地から組織構造の中での人材について説いています。
ピーターの法則の概要は、以下のとおりです。
◇人間は、自己能力の限界まで出世する
◇無能な人間はそのままのポジションに留まる
◇有能な人間は限界まで出世するが、そのポジションで無能化する
◇組織は、まだ限界に達していない人物が進めることで機能していく
能力を評価されて出世したはずなのに、仕事ができないと見なされてしまう管理職の方も少なくありません。こういった場合、ピーターの法則が関係していると考えられます。
仕事で成果を出すことで、能力を評価されて出世していきますが、どこかの段階で能力には限界がきます。課長として優秀だった方も、部長に出世した時に同じ様に活躍できるかはわかりません。自分の能力を超えた役職につくと、それまでどおりの活躍が難しくなり、「無能な管理職」が生まれてしまうのです。
ピーターの法則では、無能な人材はそのままのポジションに落ち着き、有能な人材も限界まで出世したポジションで無能化してしまうため、組織は限界に達していない人材が動かしていると考えられています。無能化を避けるためにも、昇進のみを優先するのは避けましょう。
ピーターの法則に関連する法則
ピーターの法則に関連する法則に、「ディルバートの法則」と「パーキンソンの法則」があります。「ディルバートの法則」はピーターの法則の変化形で、無能な者は害をなさないよう、意図的に昇進させられるというものです。
公務員や大規模な会社では、無能であるというだけで社員を解雇することはなかなかできません。しかし、そういった人材が現場にいれば、顧客を不愉快にさせたり、製品の品質を低下させたりするおそれがあります。そのため、ポジションは上がるものの最前線ではない仕事に移動させるケースがあるのです。
一方、「パーキンソンの法則」は、政治学者のシリル・ノースコート・パーキンソンが著書「パーキンソンの法則:進歩の追求」の中で提唱しました。
こちらは、「仕事の量は完成のために与えられた時間を満たすまで膨張する」「支出額は収入の額に達するまで膨張する」という2つの法則から成り立つものです。仕事の完成まで時間が残っていれば、それに合わせて仕事が複雑化するため、人員は増え続けます。そのため、業務量に関係なく、人員は増え続けてしまうのです。
組織の運営をうまく活かすためには、ピーターの法則と合わせてディルバートの法則とパーキンソンの法則も知っておくことをおすすめします。
企業としての対策方法
ピーターの法則に陥らないために、企業としてはどの様な対策をすれば良いのでしょうか。解決方法の例をご紹介します。
昇進前に訓練を行う
ひとつは、昇進後の地位にふさわしい能力に達するために訓練を行う方法です。事前訓練の結果、一定水準まで達したメンバーのみを昇進させます。こちらの方法には、昇進前に管理能力が足りていない人物がいれば発見できるというメリットもあります。
昇進させずに昇給させる
また、昇進させずに昇給させるのもおすすめです。現在の職務に専念しているメンバーは、昇進させるよりもそのままのポジションにいた方が活躍できる可能性があります。しかし、ポジションにも給与に変動がないと、メンバーのモチベーションが落ちかねません。昇進しなくても昇給する仕組みをつくれば、無能化を防ぎつつモチベーションを維持できるのです。
昇進後に無能化した場合降格させる
昇進後にメンバーが無能になってしまった場合、一度降格させる方法があります。無能になってしまった位置に居続けると、本人は苦痛を感じ、周囲にも悪影響を及ぼしてしまいます。思い切って一度降格することで、本人や周囲への悪影響を防げるのです。
ハロー効果に気をつける
ハロー効果とは、人の目立つ部分がクローズアップされて誤った判断をされてしまうことです。優れている点があると、別の面も優れていると判断され、能力に合わないポジションに推される場合があります。反対に目立つ短所があると、ほかの面でも低評価になりがちです。
ハロー効果に左右されてしまうと能力に合った人材配置が難しくなります。気づかないうちにハロー効果で判断してしまうケースもあるため、冷静に判断することを心がけましょう。
個人としての対策方法
個人としてピーターの法則に陥るのを防ぐためには、以下の方法がおすすめです。
能力発揮度を優先する
昇進して有能に見られることよりも能力発揮度を優先することで、ピーターの法則を回避できます。ピーター氏は、できる人であっても、あえてできない部分を持ち続けることを推奨しています。これは「創造的無能」と呼ばれるものです。「玉に瑕」の点を持っているほうが、長く能力を発揮しやすいと考えられています。
正しく自己認識をする
昇進や昇格が必ずしも幸せに働くことにつながるとは限りません。時にはキャリアアップすることで今までよりも働きづらくなるケースもあります。自分を客観視して、その昇進や昇格が自分の有能度を上げてくれるか見直してみましょう。ピーターの法則では、限界の少し手前に留まることで長く活躍し続けられるとされています。昇進、昇格してもあまり活躍できないと感じる場合は、現在のポジションに留まってみても良いかもしれません。
管理職に対する誤解を解く
管理職未経験の方は、そのポジションについて誤解しているケースがあります。「社長とはこうあるものだ」「マネージャーならこうするべきだ」といった間違った認識を持っていると、ポジションについた時に活躍は難しくなります。また、必要以上に難しい役職だと考えてしまうと、プレッシャーが大きくなり、本来の能力を発揮できません。管理職についての誤解を取り除くことが、組織での活躍につながります。
創造的無能とは
ピーター氏は、無能レベルに達しないために「創造的無能」を推奨しています。ピーターの法則によると、無能レベルに達しないためには、限界の手前までで昇進をストップするしかありません。しかし、昇進を断るのは現実的には難しくなります。
そこで、ピーター氏は「創造的無能」の実践により、昇進を避けることをすすめているのです。現在の仕事に支障が出ない程度に無能を演じることで、能力以上のポジションにつくことが回避され、長く有益な仕事を成し遂げられます。
無能レベルに達した人間は、ピーター氏の著書によると「終点到達症候群」という病にかかるとされています。こちらは、自分が有益な仕事をできていないと感じることで、最終的に体調を壊してしまうというものです。また、仕事を全うできないことから、奇妙な行動を取り始めるケースもあります。「終点到達症候群」を避けるには、能力が不十分なうちは創造的無能を演じ、次のポジションで活躍できる能力を身につけてから昇進を目指すのが理想です。能力に合わないポジションにつくのを避け、長く活躍できる状態を目指しましょう。
最新記事 by 電話代行サービス株式会社広報部 (全て見る)
- やってはいけない電話のガチャ切り|正しい電話の切り方を解説 - 2024年11月22日
- 電話の取り次ぎが業務効率に与える影響と改善策 - 2024年11月20日
- 【例文付き】信頼度UP!取引先への電話の折り返しマナー - 2024年11月18日