「業務委託・裁量労働制」働き方や契約形態の違い
更新日:2023.03.31ビジネス豆知識個人の働き方の多様化にともない、“正社員一強”の時代は終わりました。自分に合った働き方ができる今だからこそ、さまざまな雇用制度や契約形態について理解を深めましょう。ここでは、昨今話題となっている「業務委託」や「裁量労働制」などの働き方について解説します。
目次
業務委託とは?メリットとデメリットを確認
働き方改革の推進にともない、正社員として就職するのではなく、自営型のテレワークやフリーランスで働く方が増えています。そこで重要となるのが、業務委託という契約形態です。以下で詳しくご紹介します。
業務委託契約とは?
日本の法律において、業務委託契約という契約形態は存在しません。こちらは、実務上使用される総称にあたります。一般に知られる業務委託契約とは、企業から業務を委託され、報酬を得る契約を指します。民法上、この業務委託は「請負契約」と「委任契約」の2種類に分けられます。
請負契約は、特定の業務に対する成果物を納品することで報酬を得ます。例えば、WEBサイトの制作依頼、WEB記事の制作依頼などがこれにあたります。対する委任契約は、依頼された業務を遂行・納品して報酬を得るものの、成果物を完成させる責任を負わないのが特徴です。
また委任契約も「委任」と「準委任」の2種類に分けられます。これらには、依頼された業務内容が法律行為にあたるか否かの違いがあります。例えば、司法書士などの士業が携わる業務は「委任」です。経営コンサルタントやソフトウェア開発は「準委任」となります。業務委託契約は、業務の遂行責任の有無により、2パターンに分かれるのです。
業務委託のメリットは?
近年増えている業務委託という契約形態には、雇い手・働き手の双方にメリットがあります。雇い手側のメリットとして挙げられるのが、ノンコア業務を委託することで、人的リソースに余裕が生まれる点です。ビジネスがある程度の規模になると、コア業務以外にもさまざまな仕事が発生します。それを外部に委託することで、コア業務に集中しやすくなります。
また、時期によって業務量が変わる場合もあるでしょう。繁忙期に合わせてたくさんの社員を雇用すると、仕事が少ない時期には人が余りやすくなります。そこで業務委託を利用すれば、人的リソースを変動化でき、無駄な人件費もカットできます。
雇用される側にも多くのメリットがあります。まず、特定の業務のみに特化して、依頼を受けられることです。一般企業に社員として雇用されると、得意な業務以外に割り当てられるケースがあります。組織の都合上仕方ありませんが、自分の能力を十分に活かせない可能性があるでしょう。自分が好きなこと、得意なことだけに集中して取り組めます。
仕事を自由に選べるのもメリットです。自分の実力に合わせて仕事を選んだり、難しい仕事に取り組んでやりがいを得たりできます。併せて業務の進め方や仕事場所、作業時間なども自分でコントロールできます。業務委託契約なら、自分の生活スタイルに合った働き方ができます。フリーランスとしてフルに働くこともできるほか、副業という形で働くことも可能です。
業務委託のデメリットは?
業務委託には多くのメリットがありますが、デメリットも少なくありません。雇い手側のデメリットとしては、業務が発生するたびに委託先を探す必要がある点が挙げられます。時期によっては、なかなか委託先を見つけることができないケースもあり、業務が滞る可能性もあるでしょう。
また委託業務によっては、社内の機密情報を外部に共有することがあります。セキュリティリスクの懸念から、「委託したくてもできない」というケースがあるかもしれません。このようなデメリットを解消するべく、常時複数の委託先を確保すると良いでしょう。定期的に連絡を取り合ったり、万が一のリスクに備えて契約内容を検討したりと、さまざまな追加業務が必要となります。
働き手側のデメリットとしては、すべてが自己責任となることが挙げられます。クライアントとの契約はもちろん、報酬交渉も自分で行うためです。また、仕事を得るための営業も自分で行う必要があります。確定申告も必要なほか、一部の場合を除いて労働法も適用されません。働き方や健康管理についてもすべて自己責任です。自由に働ける分だけ、多くの責任を自分で負わなければなりません。
裁量労働制とは?メリットとデメリットを確認
業務委託契約とともに、現代のビジネスシーンで注目を集めているのが「裁量労働制」です。
ここでは、裁量労働制の基礎知識や仕組みに加え、メリットとデメリットについても解説します。
裁量労働制とは?
裁量労働制とは、労働時間が労働者の裁量に任されている制度のことです。いわば“みなし労働制度”であり、業務における労働者の自由度が高まります。結果、本人のパフォーマンスの向上や生産性向上が期待できるとされています。
これまでの労働時間は、“実労働時間”を指していました。一方の裁量労働制は、実労働時間にかかわらず、一定の時間働いたとみなします。出退勤時間に制限がなく、たとえ5時間働いても、8時間働いたと「みなす」のです。ただし、裁量労働制は、すべての業種で適用されるわけではありまません。裁量労働制の適用範囲に定められているのは、「高度に専門的な業務を行う専門業務型」と「企画を行う企画業務型技術者」のみとなります。
裁量労働制のメリット
裁量労働制のメリットは、みなし労働時間の概念を用いることで、人件費の予測が容易になる点です。原則、「時間外労務による残業代が発生しない」という前提で、みなし時間を設定します。よって人件費を固定しやくなり、人件費管理にかかる負担も小さくなります。
労働者にもいくつかのメリットがあります。例えば、拘束時間を短縮できる可能性があることです。業務を効率的に処理すれば、その分だけ拘束時間が短くなるでしょう。実際の労働時間は短くても、給与はみなし時間で計算されるため、収入が減ることもありません。
また、自分のペースで仕事を進められます。就業時間も自分で設定できるため、通勤ラッシュの時間を避けて出社するといった選択肢も増えます。労働者の仕事における、ストレス軽減効果があると期待できるでしょう。
裁量労働制のデメリットは?
裁量労働制は、正社員でありながらフリーランスのように働ける制度です。一方で、多くの問題を抱えています。そのひとつが“みなし時間”です。裁量労働制では、あらかじめ「月に○時間働いたとしておく」といったみなし時間が設定されます。
日本でも実際に、“みなし時間”と実労働時間があまりにかけ離れていることで問題が起こりました。労働時間の概念が薄いことで、長時間労働が蔓延する可能性は否定できません。元より裁量労働制が適用できる業種は、残業時間が長い傾向にあります。それが長時間労働に拍車をかけてしまうのです。裁量労働制のデメリット・問題を解消するためには、みなし時間の的確な設定が必要です。
その働き方、本当に自分に合っていますか?
時代とともに働き方や雇用形態は変化しています。今回ご紹介した業務委託および裁量労働制といった制度は、仕組みを正しく理解した上で、適切に導入しなければなりません。いずれの制度もうまく活用できれば、雇い手・働き手の両方に多くのメリットがあります。今の働き方が自分に合っているのか、もう一度考えてみてはいかがでしょうか。
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