個人事業から法人化へ移行。注意したいこと
更新日:2023.04.19スタッフブログ個人事業から法人へ移行する際、提出書類にとどまらず必要な手続きはたくさんあります。あらかじめ一通りの予備知識を持っていると、段取りはよくなるでしょう。そこで今回は法人化にともなう各種の手続きについて、「法人設立のための手続き」「資産移行」「設立後に必要な手続き」「個人事業廃業届」の順番でご説明します。
法人化への手続きをご紹介
法人設立のための手続き
個人事業を法人化する場合、一般的に以下の手続きが不可欠です。
1.発起人の決定
法人を設立する時は、一連の作業をはじめる前にまず発起人を決めておく必要があります。発起人は会社の発足後に役員の職務を担うだけでなく、設立が完了するまでの期間も一通りの手続きについて責任を負わなければいけません。
2.実印の作成
法人は個人事業と異なり定款の作成・認証や登記手続きを求められますが、その際には実印が必要です。通常、「代表社印(会社実印)」に加えて「銀行印」「社印(角印)」「ゴム印(横書き)」も用意します。
3.定款の作成・認証
また法人は、会社の基本ルールを定めた定款も欠かせません。あらかじめ、社名や運営方針といった基本事項について発起人全員が話し合ったうえで定款を作成し、公証役場で認証をうけます。
4.資本金の支払い
定款の認証が完了したら、資本金の払い込みです。登記申請が済むまでは会社の銀行口座を用意できないので、この時点では発起人の個人口座を使います。
5.登記書類の作成および申請
最後は、登記書類を作成して法務局に申請します。申請が受理されれば、会社は法人として認められ手続き完了です。
資産移行が可能
個人事業から法人に切り替えたら、事業内容と合わせて資産も会社で引き継げます。移行する資産もしくは負債に関しては、事業主や会社が任意に選べます。移行方法は、「売買契約」「現物出資」「賃貸借契約」の3種類です。
売買契約では、これまでの個人事業主から新たに設立された会社へ資産が売却されます。契約書が取り交わされた後に金銭を受け渡すので、あらかじめ資金を用意しておかなければいけません。それに対し、現物出資は金銭をともなわない資産の出資です。また賃貸借契約を結ぶと、個人事業主から会社へ資産が貸し出されます。
どの方法で移行するか決めるポイントは、資産の種類と価格です。いずれも納税金額や手間が異なるので、事前に試算しておいたほうが無難でしょう。また事業譲渡誓約書や財産目録も用意しておくと、何を移行したか分かりやすくなり混乱防止に役立ちます。
なお資産以外にも、銀行口座や車両(車両保険を含む)、光熱費やネット回線、また事務所や店舗関連の諸契約は個人から会社への名義変更が必要です。
設立後に必要な手続き
会社を設立した後も、さまざまな手続きが待っています。提出先は、「税務署」「都道県・市町村」「年金事務所」「労働基準監督署」ならびに「ハローワーク」の5カ所です。
まず税務署と都道府県・市町村では、税金関連の手続きを済ませます。税務署に提出する書類はたくさんありますが、そのうち「法人設立届出書」は都道府県・市町村にも持っていきます。提出期限は税務署が会社設立から「2カ月以内」、東京23区が「15日以内」、そのほかの都道府県・市町村は原則として「1カ月以内」と異なるため、注意して下さい。
社会保険関連は年金事務所、労働保険関連であれば労働基準監督署とハローワークです。いずれも2~3種類の書類を用意する必要があり、提出期限は一律ではありません。起算日も「会社設立日から」とは限らず、「労働者の雇用日から」あるいは「加入要件を満たした日から」など多様です。
これらの手続きに不備があると、会社運営に支障をきたすかもしれません。細々した部分もチェックを怠らず、必要書類の届け出を速やかに済ませておきましょう。
個人事業廃業届を提出
会社設立の準備とともに、個人事業を廃止する手続きも忘れてはいけません。個人事業を終える場合、各種の廃業届を提出することになります。提出先は、税務署・都道府県税事務所・市区町村窓口の3カ所です。
税務署へ提出する書類は、以下の5種類があります。
- 「個人事業の開業届出・廃業等届出書」
- 「事業廃止届出書」
- 「青色申告の取りやめ届出書」
- 「給与支払事務所等の廃止届出書」
- 「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」
これらのうち2は、消費税の納税義務者であった場合。3は、個人事業の開業時に青色申告を選択していれば用意する必要があります。それぞれ提出期限は異なりますが、何度も足を運ぶ手間を考えると、できるだけ一度にまとめて処理したほうが得策でしょう。
一方、都道府県税事務所と市区町村窓口に提出する書類は、いずれも「事業開始(廃止)等申告書」のみです。提出期限は地域によって違うため、事前の確認は欠かせません。
個人事業から法人へ移行する際には、どの手続きでも作業内容が豊富です。それでも何か不手際があると、予定通りに会社を立ち上げられなくなるかもしれません。スムーズに法人化するためにも、各々の作業を計画的に進めることが望ましいといえます。
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