従業員のSD(自己啓発)|特徴やメリット
更新日:2023.06.02ビジネス豆知識ビジネスの場において、SDは自己啓発や自主的な学習活動を指すことがあります。企業では人材育成の方法のひとつと見なされ、重視する傾向があります。これからSDを実践したいと考えるなら、どんな方法であるか理解しておくと役立つでしょう。そこで今回は、ビジネスにおけるSDの概要、メリット、企業による支援方法などをご紹介します。
目次
ビジネスにおけるSDの概要
ビジネスにおけるSDは、さまざまな人材育成の手法があるなかで、自発的な学習により能力向上を目指す方式です。多くの企業で必要性が認識され、近年の企業調査では約8割が実施していると報告されています。
ビジネスの場での使い方
企業による人材育成の分野において、SDはSelf Developmentの略であり、自己啓発を意味する言葉です。単にSDとだけ表現すると言葉の意味合いは多岐にわたりますが、Self Developmentの略語として用いた時は、基本的に自己啓発を意味します。とくにビジネスの場では、従業員の自主性にしたがって仕事の知識やスキルを高める方法が該当します。
ビジネスシーンの人材育成に目を向けた場合、それぞれの職場に見られる指導方法は多種多様です。そのうち、従業員本人が自分の意思で仕事関係の学習活動に取り組むスタイルが、自己啓発を意味するSDと表現されます。SDの意味合いはビジネスの場でも広範囲に及びますが、人材育成の分野では従業員が自己啓発の形で自主的に学習するスタイルが代表的な用法のひとつに挙げられます。
企業で必要とされる理由
SDが企業で必要とされる主な理由は、入社時の新人研修や職場による社員教育での不足分を補えるためです。現在、ほとんどの企業は社内全体で新入社員に向けた研修を開催し、それぞれの職場では新人向けにOJTやOff-JTを実施しています。ただ誰にでも同じ効果があるとは限らず、成長レベルには参加者の間で個人差が生まれがちです。
これらの人材育成で高い効果が上がらなかった時、足りなかった点を補強できる方法がSDによる自分磨きです。各自が個々の苦手分野やニーズをふまえた自主学習を進められるため、個人差を埋めるのに役立ちます。厚生労働省の企業調査では約8割の企業がSDを支援しているとの結果が示されており、ビジネスシーンでは重視される傾向が強いと理解できます。
OJTやOff-JTとの違い
人材育成におけるSDと、企業や職場の主導するOJTやOff-JTとの大きな違いは、自分磨きの内容や進め方を、実際に学習する本人の意思で決めるところです。OJTとOff-JTは、「On the Job Training(職場内訓練)」また「Off the Job Training(職場外訓練)」を意味します。通常業務に沿った実践的な訓練と職場を離れた社外研修との違いはありますが、いずれにしても訓練内容を考える主導者は企業側です。
それに対しSDの場合には従業員本人が何を学ぶか決定し、自分の選んだ方法やペースで学習活動を進めていきます。企業側は学習方法の選択を従業員の意思に任せ、基本的には支援する立場に回ります。さまざまな意思決定が従業員本人に委ねられる点は、OJTやOff-JTと異なるSDの大きな特徴です。
SDのメリット・デメリット
SDが従業員や企業にもたらす主なメリットは、選択肢の幅広さや自分に合ったペースでの進めやすさです。とはいえ本人の意思への依存度が高く、途中で挫折する傾向が目立つと指摘されています。
選択肢の幅が広い
何を学ぶか決める際の選択肢の幅広さは、SDを実践する従業員にもたらされる大きなメリットです。普通、業界や職種を問わず業務内容は多岐にわたり、人によって向き不向きがあります。コミュニケーション能力に優れているが事務作業は苦手、逆に地道なルーティンワークは得意だが接客や電話対応に抵抗があるなど、得手不得手は人それぞれです。
SDの方式で学習すると、新人研修やOJTで明らかになった苦手分野の学習に力を注げます。同時に得意分野を手がければ、短所を克服するだけでなく長所も伸ばせると期待できます。さまざまな能力が磨かれて業績アップにつながれば、従業員本人と企業の両者にとって大きなプラスです。
自分のペースで進めやすい
自分のペースに合わせて取り組める学習活動の進めやすさも大きなメリットのひとつです。企業側が主導する場合と違い、日々の生活のなかでSDに着手するタイミングは自分で決められます。諸事情からモチベーションが上がらない時、自分の意図に反して周りから無理強いされる心配はありません。
実際、「仕事の休憩時間に学習すると気分転換になる」や「帰宅してからのほうが緊張せず集中できる」など考え方は多彩です。とくに学習時間を決めず、毎日、お気に入りのテレビ番組を見てから開始するパターンも知られています。また、学習場所も自由に選べるので、SDに適したスペースを見つけておくと作業効率を上げるのに効果的です。
挫折することが多い
SDに取り組んだ時、直面する可能性の高いデメリットは、自分の意思で長く続けることの難しさです。どれだけ長期にわたりSDを継続できるかは、ほぼ自分の意志にかかっています。企業や職場から強要されるわけでなく、意志の力が強くないと十分な成果が得られないうちに途中で挫折するケースが目につきます。
確かな手ごたえが感じられないまま学習活動を止めた場合、あまり弱点の克服は望めません。長所を伸ばすとしても、それまでと大差ないレベルにとどまるケースが多くを占めます。SDで十分な成果をあげるには、明らかな成果が出るまで学習活動を続ける強い意志や忍耐力が不可欠といえるでしょう。
企業による支援方法
企業によるSDの支援方法は、大まかに「金銭的支援」「時間的支援」「場所・情報の提供」の3つです。これらの方法でサポートすると、従業員は途中で挫折しがちな学習活動を長く続けやすくなります。
金銭的支援
金銭的支援は、SDを開始するのに伴い発生する必要経費の一部、もしくは全額を企業側が負担する方法です。従業員が仕事関係の能力やスキルを磨くために自主的に学習する時は、市販の関連本をテキストとして利用することがあります。平日の業務終了後や週末に時間があれば、セミナーに参加する場合もあります。
いずれにしても、書籍購入やセミナー参加には費用が必要です。従業員の給与所得には限りがあり、積極的に学習活動を進めるとコスト負担は重くなります。それでも企業が金銭面を支援すると従業員の負担は減り、学習意欲の向上につながります。
時間的支援
日々の業務に追われ忙しい従業員は、学習時間の確保が困難です。学習時間を設けられるように企業でサポートする方法が、時間的支援です。SDの学習効果を高めるには、まとまった時間が必要になります。職場で多くの業務を抱えていると、時間的な余裕はなくなっていきます。残業や休日出勤が続けば、コスト的な不安がなくても学習活動は思い通りに進まなくなるかもしれません。
十分な時間を確保できず悩む従業員には、企業が時間面で支援すると効果的です。社内で用意できる支援策としては、就業中に一定の学習時間を設定する、あるいはSDのために休暇申請できる制度を整えるなどの方法があります。
場所・情報の提供
企業による場所・情報の提供は学習効率アップなどに効果があり、SD自体の促進につながる支援方法です。SDを効率よく進めるには、学習活動に集中できる環境が不可欠です。企業が社内に学習用のスペースを準備すると、従業員は就業中でも時間があれば自己学習に専念しやすくなります。
また、関連書籍やセミナー情報を提供すれば従業員が情報収集する手間を省けるほか、書籍購入やセミナー参加を促すのに有効です。これらの効果から、従業員がSDに取り組む場合は企業による支援が大切と考えられます。
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