医療従事者をサポートする医療秘書とは?

更新日:2023.03.17スタッフブログ

医療従事者

医療業界における人手不足は、深刻な域に達しています。厚生労働省が公表した「コメディカル不足に関して」という資料によると、日本の100床あたりの看護師数は38人です。1病床あたりひとりの看護師も付けない実態があり、現場の疲弊は加速するばかりです。そんな医療従事者たちを支える職業に、「医療秘書」があります。今回は、医療秘書の基礎知識や具体的な業務内容、仕事に適切を持つ方の特徴をご紹介します

医療秘書ってどんな仕事?医療事務との違いは?

いきなり医療秘書といわれても、どんな仕事なのかイメージすることができないという方が多いでしょう。事実、患者として病院などの医療機関を利用しても直接やりとりをすることはほとんどありません。そこで、医療秘書とはどんな仕事なのかをご紹介します。

医療秘書とは?

医療秘書にはさまざまな役割がありますが、メインとなるのは医療機関で働くスタッフの業務サポートです。具体的には来客のもてなしや電話対応、郵便物の整理などから、資料の作成や整理の手伝いなど幅広い業務を受け持ちます。現代の医療機関では医師や看護師、ソーシャルワーカーなどさまざまな役割を持った方が働いています。そんなスタッフが自分の役割に集中できる環境を作るという大切な役割を担うのが医療秘書なのです。冒頭でもお話した通り、医療秘書として働くうえで、特に必要な資格はありません。また学歴や年齢制限なども基本的にはありません。医療機関の求人に応募し、採用されれば誰でも働くことができます。医療業界で活躍する職業の中では、比較的ハードルは低いでしょう。

医療秘書と医療事務の違いは?

医療秘書と混同されやすい職業として、医療事務が挙げられます。前述の通り、医療秘書は裏方として医師・看護師などをサポートします。一方の医療事務は、患者との直接的なやりとりが発生する職業となります。表に出る職業か、出ない職業かの違いがあります。医療事務は医療秘書同様、医師・看護師の様に直接的な医療行為は認められていません。基本的には、病院などの医療機関に来た患者の受付や診察費の会計、カルテ管理などを行います。また大きな病院では、各診療科への案内なども医療事務の仕事のひとつです。医療事務についても、働くために必要な資格はありません。医療秘書と同様に病院などの医療機関の求人に応募し、採用されればすぐに働くことができます。

医療秘書になるには?

医療秘書になるための必須資格はありません。しかし、医療に携わる仕事であるため、一定の知識や技能がなければ即戦力として働くのが難しいのも事実です。必須というわけではないものの、医療秘書の技能検定に合格することで就職に有利になるケースがあります。医療分野における事務職としての技能を認定するものため、医療分野への就職を目指しているのであれば受験しておいて損はありません。

この技能検定には受験資格がなく、専用テキストなども販売されています。独学で受験し、合格することも可能でしょう。また、医療秘書の講座を開いている専門学校や通信教育も多く、これらを受講するのも有効です。即戦力として雇ってもらえる可能性が高まります。医療事務も同様、必須といえる資格はありません。ただし、医療事務管理士技能試験や診療報酬請求事務能力認定試験の資格を持つことで、就職に有利になるケースがあります。

医療秘書の職場と年収

ここからは医療秘書の職場環境と月収、一般的な生活パターンについてご紹介します。

医療秘書の職場は?

まずは医療秘書の職場環境についてですが、小さな個人病院の場合、そもそも医療秘書を置かないというケースが考えられます。よって規模の大きな病院に勤めることが大半です。特に近年は、医師や看護師などの医療従事者の人手不足が深刻となり、また医療に求められるサービスも増えています。医療従事者の負担軽減が、業界の重要課題です。医療秘書は、医療従事者をサポートする役割を担う職業です。この課題を解決するため、積極的に雇用する病院も多くなりました。そのため求人数が比較的多く、地方においても職場の選択肢はたくさんあるでしょう。

医療秘書の月収は?

医療秘書の年収は、勤務地域や医療機関によって異なります。一般的な中〜大規模の病院で正社員として働く場合、月収は15~25万円ほどとなります。またボーナスなどの条件についても、医療機関によって変動します。応募の際には基本給に加え、ボーナス査定についてもしっかりと確認しましょう。医療という特殊な分野ではありますが、その月収は一般の事務職とさほど変わりません。ただし医療秘書は、非正規雇用が多い傾向にあります。仮に派遣社員や契約社員の場合、月収が15万円以下になってしまうケースもあります。またパートやアルバイトの場合は、地域の最低賃金となることも多いようです。

医療秘書の勤務時間は?生活パターンは?

月収同様、勤務時間も医療機関によって異なりますが、8:30~17:30に働く医療秘書が多いようです。ただし規模の大きな病院などの場合、夜勤があるケースも少なくありません。休日については、土・日・祝日とカレンダー通りの休み方が一般的です。シフト制であっても、週に2日以上は休める職場がほとんどです。
パートやアルバイトの場合、勤務日数や勤務時間に融通が利きます。例えば、子どもが幼稚園や学校にいる間のみ働く、といったワークスタイルも可能です。また残業は少ない傾向にあるものの、働く医療機関によって差があります。

医療秘書として働く方の悩み

実際に医療秘書として働く方は、どの様な悩みを抱えているのでしょうか。医療秘書は医師や看護師などの医療従事者をサポートし、その負担を軽減する役目を担います。事務処理的だけでなく、院内のスタッフ同士のスケジュール調整や、連携をとることも医療秘書の仕事です。このことから、多くの方々をまとめなければならず、人間関係が悩みとなるケースが見られます。同じ仕事をひたすら繰り返すといったかたちではなく、状況に応じてさまざまな業務をこなす必要があります。仕事に慣れるまでは、心身ともに疲弊してしまう方も少なくありません。

医療秘書に向いているのはどんな人?

医療秘書は、あくまで裏方に徹する職業です。目立つ様な業務はほとんどなく、“縁の下の力持ち”として活躍します。よってあまり目立たない立場で仕事をしたい方や、影ながら誰かの役に立ちたい方に向いている仕事といえるでしょう。

一方で、さまざまな人と会話を楽しみたい方にも、医療秘書は向いています。直に対応することはあまりないものの、患者から話しかけられやすい場所で働くことがあり、必然的にコミュニケーションが求められます。直接医療行為を任せられるわけではありませんが、医療に関係する仕事であることに変わりはありません。いずれにせよ、医療分野に関心がある方におすすめしたい職業です。

業界全体の人手不足や求められるサービスの高まりから、医療秘書の需要は増加しています。決して知名度の高い職業ではありませんが、現代の医療現場に必要な存在です。また月収や生活パターンなどを考慮しても、一般的な事務職と相違ないでしょう。事務職の経験が豊富な人材なら、採用される可能性が高くなります。必須資格がなく、誰でも取り組める仕事ですので、興味のある方は挑戦してみてください。

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