もしもし検定過去問:一服千考「誤った日本語・バイト敬語」

更新日:2022.04.27スタッフブログ

生鮮野菜の露店

「もしもし検定の過去問を電話代行サービス(株)のオペレーターが解説」のコラムです。今回は、一服千考(イップクセンコウ)として投稿させて頂きます。一服千考というのは「ひとつのことを突き詰めて考えるよりも、一服して頭を切り替えた方が良い案が浮かぶもの」という意味合いがある四字熟語になります。このワンポイントアドバイスにも重要な要素がいくつも含まれていますので、電話代行のオペレーターとしては是非とも紹介したいと考えています。今回話題にさせて頂くのが、バイト敬語などと呼ばれたり、時代が流れることで、本来の使い方から離れてしまい、誤った使い方が世間一般に広まってしまっている言葉を紹介します。

使ってはいけない接客用語

これから尋ねる内容に対して過去形を使う「よろしかったでしょうか」など、不適切な表現を使わないように気を付けましょう。

  • ×1万円からお預かりします
  • ×○○とかありますか
  • ×○○でよろしかったでしょう
  • ×こちら○○になります

公益財団法人電信電話ユーザー協会(編)(2013年)
『電話応対技能検定(もしもし検定)3・4級公式問題集』(日本経済新聞出版社)

世間一般にバイト敬語と呼ばれるものの間違いではないでしょうか。どのような発端でこのようにバイト敬語と呼ばれるようになったのか、この場所で解き明かすことはできませんが、あまり日本語を知らない人間が会社全体の応対マニュアルを作成したことが影響し、多くの店舗でそれが使われ、競合他社がそれをマネて、応対マニュアルを作ったがために日本全国的に「バイト敬語」として広まったのかもしれません。

「○○でよろしかったでしょうか」「こちら○○になります」は、未だに小売店や飲食店などで聞きます。注意が必要な接客用語と言えるかもしれません。

正しくは「○○でよろしいでしょうか」「こちら○○でございます」です。補足すると「~になります」は対象の状態が変化した時に使われます。なので、「300円になります」は間違い。「追加注文で1個無料になります」は正しいといえます。なぜなら「0個」から「1個」に変化しているからです。使い方を誤らないように注意しましょう。

間違った表現が定着している例

的は「得る」ものではなく「射る」ものです。「とんでもない」は一続きのことばです。

× 的を得たご指摘ですね。
 当を得た(的を射た)ご指摘ですね

× いいえ、とんでもございません
 いいえ、とんでもないことです(とんでもないことでございます)

公益財団法人電信電話ユーザー協会(編)(2013年)
『電話応対技能検定(もしもし検定)3・4級公式問題集』(日本経済新聞出版社)

今回は間違った表現についてそれぞれ解説して行きます。的、というのは射るものであって、得るのは当たりです。そもそも、的当てというゲームがありました。弓で的を狙う古来からあるゲームです。そのため「的を射る」という慣用句になり、「当を得る」という形もあるわけです。二つの慣用句があることから、それぞれが混合し誤用してしまったのかもしれません。

もう一つの「とんでもない」ですが、これの説明に「一続きのことば」とあるが
なかなか理解できないかと思いますので、補足をさせて頂くと、「とんでもない」というのは、「とんでも」+「ない」という「とんでも」の否定ではありません「とんでもない」という1つの言葉である。という意味です。

「とんでも」+否定となる「とんでもございません」という使い方は間違いという訳です。

ただし、ここから注意点です。「とんでもございません」ですが、一部において利用が認められるケースがあります。それが相手からの賞賛や褒めを打ち消す場合に利用するのは認められています。政府が出している「敬語の指針」という、敬語の何たるかを決める文化審議会からの報告としてあがっています。なので、電話先で「あなたの説明がわかりやすかったわ」と言われ、「とんでもございません」という使い方としては間違いではありません。

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