増えゆく東京の外国人労働者の受け入れについて
更新日:2023.03.15スタッフブログ現在、東京の外国人労働者はかつてないほど増えています。さまざまな企業で採用していますが、労働条件や生活面でトラブルに見舞われるケースもあり、労働環境は必ずしも快適ではありません。国内の少子高齢化が進むなか外国人労働者は貴重な戦力であり、働きやすい環境の提供が望まれます。そこで今回は東京都の外国人労働者数や割合をふまえつつ、外国人労働者を取り巻く問題や受け入れのために企業ができることをご紹介します。
目次
東京都の外国人労働者数や割合
いま国内では、深刻な人手不足の影響もあり外国人労働者を求める動きが活発です。とくに東京は、外国人労働者の増加が目立ちます。
全国的に外国人労働者が増えた背景
近年、全国的に外国人労働者が増えている主な要因は、少子高齢化の進行とそれに伴う労働力の減少です。国内における少子高齢化の動きは、以前から指摘されていました。夫婦共働きの世帯が多いなか仕事と家事・育児の両立はいまでも難しく、少子化の流れは止まりません。一方で医療技術の進歩により平均寿命は延び、結果的に高齢者の人口比率は高くなっています。
現在、定年を迎えた高齢者が次々と退社していくのに対し、多くの会社では後進の若い労働力を十分に確保できていません。人手不足を補う解決策として、いまや外国人労働者は不可欠な存在といわれています。現状では外国人労働者を求める声は大きく、その影響もあり2019年4月1日からは改正出入国管理法が施行されました。
都道府県別では東京が1位
全国の外国人労働者数と割合を都道府県別に比較すると、2018年の時点で1位を獲得した地域は東京です。この順位は、総務省と厚生労働省が発表した統計調査にもとづいています。調査結果によれば、2018年の東京の外国人労働者数は43万8,775人でした。
この年の都内の人口は792万2,000人であり、外国人労働者が占める割合は18人に1人の計算です。同じ調査による2009年の結果は、外国人労働者数が13万8,907人、696万9.000人を数えた当時の都内人口のうち50人に1人の割合です。それぞれの数字を比べた場合、都内の外国人労働者は人数と割合のいずれも10年間で大幅に増加したと分かります。
業種別に見た都内の外国人労働者数と割合
東京都の統計結果を業種別に見ると、外国人労働者が多くを占める業種はさまざまな分野に及んでいます。
1位から10位は、以下の通りです。
1位 ・・・宿泊、飲食サービス
2位 ・・・教育、学習支援
3位 ・・・情報通信
4位 ・・・製造
5位 ・・・学術研究、専門・技術サービス
6位 ・・・卸売、小売
7位 ・・・生活関連サービス、娯楽
8位 ・・・鉱業、採石業、砂利採取
9位 ・・・サービス
10位・・・建設
1位は総数1万2,361人にのぼり27人に1人の割合、10位でも総数3,488人になり88人のうち1人を占めます。これらの数字から、東京ではさまざまなジャンルの会社が外国人労働者を頼りにしていると判断できるでしょう。
外国人労働者を取り巻くいくつもの問題
東京で外国人労働者は大いに頼られているものの、職場や居住地ではいくつもの問題が発生しています。とくに目立つのは、言葉、価値観、労働条件、生活環境の問題です。
言葉の問題
外国人労働者が働くうえでもっとも悩まされるといわれる問題が、言葉の壁です。どの業種でも会社に勤務するとなれば、他の従業員とのコミュニケーションは避けられません。外国人と日本人ともにお互いの言葉が理解できず、苦労する場面が増えています。最近は外国人の出身地が多様化し、母語が英語でない労働者も増えています。東京は国際色が豊かといっても、会社側がいろいろな言語に対応するのは容易ではありません。言葉の壁はますます拡大しており、問題の解決は難しくなっています。
価値観の問題
言葉の壁とともに、外国人労働者がよく経験する問題は価値観の違いです。東京に限らず日本で育まれた風習や文化は、世界共通というわけではありません。自分の出身地と日本の価値観が異なる場合、考え方の違いで仕事に支障が出るケースも見られます。時間厳守など日本の職場では基本的なビジネスマナーも、出身地によっては共有されません。外国人労働者に日本で時間を守るのは当たり前との認識がなくマナー違反を注意され戸惑うといった話は、多少なりとも聞かれます。
労働条件の問題
労働条件の問題は、いろいろな職場で発生しています。不適切と指摘されている事柄は、ひとつに限られません。なかでも目立つのは、労働時間と賃金に関わるケースです。実際より短い時間しか働いていないことになっている、あるいは賃金を少なく計算される事例は珍しくありません。場合によっては、契約書が作成されない事態も起きています。最近は、労働条件の悪さから外国人労働者の間で東京をはじめとする日本の職場環境のイメージは低下しています。
生活環境の問題
外国人労働者がぶつかる問題は、職場だけにとどまりません。居住する地域でも、生活スタイルの違いにより苦労しています。よく知られているのは、挨拶をめぐるトラブルです。朝夕、近所の方が声をかけても、外国人は言葉の意味を理解できないと返事できません。黙って通り過ぎた場合には、「挨拶も交わせない」「最低限の礼儀も知らない」などの誤解につながっています。職場でも日常の生活空間でも日本人とうまく交流できず、孤独になっていく外国人労働者は増える傾向にあります。
受け入れのために企業ができること
現状において外国人は貴重な労働力です。企業は「言葉の壁をこえる」「日本特有の考え方を共有する」「適正な労働条件を提示する」「生活面もフォローする」といった努力が欠かせません。
言葉の壁をこえる
まず企業努力によりクリアしたい課題は、言葉の壁です。職場でスムーズに意思疎通を図るには、日本語を覚えてもらうのが得策です。現在、日本に滞在する外国人の増加に伴い、国内には日本語を学べる場所が数多く見られます。お金や時間的な問題から語学学校に通うのが難しい場合、職場の同僚が教える選択肢もあります。お昼休みや業務終了後の時間を使って一緒に勉強すれば、お互いの親睦を深めるのにも効果的でしょう。
日本特有の考え方を共有する
基本的なビジネスマナーを守ってもらうには、日本特有の考え方を共有しておくことが大切になります。社内での言葉遣いに問題があるなら、改めてもらう必要があります。敬語の使い方を指導する場合、言葉の表面的な意味だけでなく昔から日本では他者に敬意を払う姿勢が尊ばれてきたことまで伝えれば、気持ちのこもった言葉遣いの習得を見込めるでしょう。外国人労働者は、日本ならではの価値観や文化的背景を理解することで馴染みのないビジネスマナーも受け入れやすくなると考えられます。
適正な労働条件を提示する
少しでも長い期間にわたり働き続けてほしいと考えるのであれば、適正な労働条件の提示は必須です。最初に、契約書の作成は必須です。労働時間や賃金については、口頭でなく書面に具体的な数字を明記する必要があります。勤務が開始したら契約書通りに働いてもらい、滞りなく給与を支払うことも必要です。外国人労働者が安心して働ける労働条件を提供すれば、高いモチベーションで業務に臨んでもらえるでしょう。
生活面でもフォローする
できるだけ精神的な負担を減らすには、職場での仕事以外に普段の生活面でもフォローすることが重要と考えられます。地域住民とうまく交流できていない時には、日頃の挨拶や買い物で心がけたいポイントをアドバイスすれば参考になるでしょう。地域ボランティアや地元イベントへの積極的な参加を促すのも有効です。
地域住民のひとりとして近隣の方々と良好な人間関係を築ければ、精神的な余裕が生まれ仕事でも大いに力を発揮してくれると期待できます。これから外国人労働者はますます価値を高めると予想されるため、企業は受け入れる体制をしっかり整えておく必要があるといえます。
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