こんな法律問題は?弁護士?認定司法書士?
更新日:2023.03.17スタッフブログ法律の専門家といえば、弁護士。ただ最近は、一部の法律業務を担当できる「認定司法書士」も増えています。法律問題に悩んだ時、どちらに相談すればよいのでしょうか?今回は、弁護士と認定司法書士の違いについてご説明します。
弁護士は法律のプロ!あらゆる法律相談に対応
法律のプロフェッショナルである弁護士に、対応できない法律問題はありません。離婚問題から労使間トラブル、企業法務の改善など、あらゆる法律問題をカバーできます。ちなみに裁判で争う係争の種類には民事事件と刑事事件がありますが、刑事事件の弁護を担当できるのは弁護士のみです。
すべての法律相談・法的トラブルに対応できるといっても、オールマイティに活動する弁護士はまれで、特定の分野を専門としているのが一般的です。ちなみに弁護士は税理士や弁理士の業務も担当できます。昨今は訴訟外手続き(ADR)での解決を推進する動きが顕著となっており、それに合わせて特定行政書士・特定社会保険労務士などが訴訟外トラブルの仲介役を担うケースが増えています。
認定司法書士はどこまでできる?
法律相談や法的トラブルの解決は本来、弁護士にしか認められない専権事項です。現行制度では、法務大臣に認められた認定司法書士にのみ、訴訟額140万円以下の案件処理が認められています。なお、訴訟額140万円以下の案件は簡易裁判所で争われます。認定司法書士には、弁護士人口の不足などからリーガルサービスが行き届かない人の法的トラブルをカバーする役割があります。具体的には、過払い金請求、任意整理などを受任する事務所が多い傾向です。
過払い金請求とは、金融業者に対し、払い過ぎた利息の返還を求めるための手続きです。多くの消費者金融・クレジットカード会社はグレーゾーン金利(最大29.7%)で貸し付けしていた時期があり、その期間の過剰利息はすべて返還請求できると最高裁が認めています。過払い金請求の訴額140万円以内であれば、認定司法書士が受任できます。
任意整理とは債務整理のひとつで、借金返済が難しいケースで利息をカットし、返済額を圧縮する手段です。債務者に代わって弁護士や認定司法書士が債権者と掛け合い、利息の一部もしくは全カットできないか相談。債権者の承認が得られれば、返済できる範囲に利息額が軽減され、かつ返済期間を3~5年に短縮できます。債務整理の受任通知を受けた金融業者は一切の取り立て行為ができません。債権者と弁護士(認定司法書士)の交渉がまとまり、新たな返済プランが決まったところで返済の再開となります。
認定司法書士が請け負える過払い金請求・任意整理は訴額140万円以下の簡裁案件のみです。140万円以下の過払い金請求事案でも、簡易裁判所で決着がつかず、地方裁判所までもつれることになったら、弁護士に切り替えなければなりません。「訴額140万円以下なら司法書士、以上なら弁護士」と機械的に決められるものでもありません。過払い金請求の依頼なら、その実務に精通した専門家を選ぶのはもちろん、料金設定や実績など事務所別にチェックすることが大切です。認定司法書士であっても、過払い金返還交渉の実績を持つプロであれば安心して依頼できるでしょう。
費用の疑問。弁護士に頼むと高い?
「弁護士に頼むとお金がかかる」というイメージを持つ方は多いかもしれません。法律相談の報酬は自由設定が認められており、個別に見ていく必要があります。弁護士費用の内訳は、主に「相談料」「着手金」「報酬」の3つ。相談料は法律に関する悩み相談やアドバイスにかかる費用で、時間ごとに設定されるのが一般的です。着手金とは受任と同時に発生する料金で、業務内容や結果に関係なく支払う必要があります。報酬は問題解決など結果への対価として支払う費用です。訴訟費用や交通費などの実費も依頼者負担となるでしょう。
弁護士費用が高いと思われる原因は、相談料や着手金を請求する事務所が多いためでしょう。報酬以外の費用がどの程度かの事前確認が求められます。なお、過払い金請求・債務整理に関しては、弁護士会・司法書士会で料金に関する大まかな指針(ガイドライン)が策定されており、相談料無料が原則です。過払い金請求に関しては、相談料や着手金の請求も認められません。業者からの返金があってはじめて報酬が発生する仕組みです。
ちなみに公的機関の「法テラス」を利用すれば、立替制度の利用や後払い、分割支払いも可能です。法律相談も無料で受けられます。ただし利用条件があり、資力基準から外れる方は利用できません。自分好みの弁護士・司法書士を選べないなどデメリットにも注意して下さい。
自己破産はどちらに頼む?
自己破産とは、裁判所が免責を下すことですべての債務免除が認められる債務整理の一種です。裁判所手続きが必要なため、弁護士に申請手続きを依頼します。裁判に関する実務は弁護士の独占業務ですが、自己破産に必要な書類の作成や書類集めに関するアドバイスなどは、司法書士でもできます。自己破産手続きの代理を弁護士に頼むと、30万程度の費用がかかります。費用をなるべく軽減したい時は、書類作成を司法書士に依頼してあとの手続きは自分で行う方法がおすすめです。
自己破産手続きでは次の書類が必要です。
□自己破産申立書:債務者の氏名や住所、借金の理由、総額などを記載した書類
□陳述書:自己破産を選んだ理由。破産状況によっては反省文が必要
□住民票・戸籍謄本:家族全員の氏名が記載され、かつ3ヶ月以内のもの
□収入が分かる書類:給与明細や源泉徴収票。給与明細は2~3ヶ月分
□預貯金のコピー:預貯金1~2年分のコピー
□課税証明書:源泉徴収票でもOK
□不動産登記簿謄本:居住地を証明するための書類
□退職金:退職したらいくら支払われるのか見込みが分かる証明書。総務にお願いして発行してもらう
□車検証:車所有なら資産証明書として提出
破産申立書の書き方や、反省文を書く時の注意点などをアドバイスするのが司法書士の役目で、書類集めは本人が行うことになります。自己破産において司法書士がカバーできるのは書類作成・収集に関するアドバイスのみで、裁判実務までは請け負えません。専門家に自己破産手続きを依頼する際は、どこまで司法書士に任せられるか把握することが大切です。
相続登記は司法書士? 弁護士?
相続登記とは、相続発生にともない不動産の名義変更をする手続きのこと。登記の専門家である司法書士に依頼するのが一般的ですが、遺産分割協議が絡む事案では弁護士がそのまま相続登記まで引き受けるケースも見られます。
相続登記の前に、相続人の間で遺産の配分を決める遺産分割協議が必要です。遺言や法定相続通りに決める方法もありますが、一般的には相続権利を持つ親族が集まり、話し合いのなかで決めていくのがスタンダードです。遺産分割協議は法律にしたがい進行する必要があり、協議書の書き方に不備があるだけで無効となります。トラブルの要素を可能な限り排除するために、弁護士同席の下で進めていくのが理想です。
遺産分割について、当人同士の話し合いで決着がつかない場合は、弁護士が間に入り、双方が納得するかたちでの配分を探ります。最後まで穏便に分割協議がなされるためにも、弁護士の役割は非常に重要です。なお、遺産分割協議書の作成は司法書士や行政書士でも代理できます。ただし、遺産分割について具体的なアドバイスができるのは弁護士のみとなります。
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