神道の葬儀に関するマナーを知ろう
更新日:2023.03.24スタッフブログ神道の葬式「神葬祭」は、仏教と手順が異なります。マナーを知らないまま参列すると、いろいろ戸惑うかもしれません。あらかじめ礼儀作法を覚えておき、失礼のない振る舞いを心がけたいところです。今回は、神道の葬儀の流れや準備するもの、当日の服装などをご紹介します。
目次
葬儀の流れ
神道の葬儀は、大きく「臨終~納棺」、「神葬祭1日目」、「神葬祭2日目」の流れで進められていきます。
臨終~納棺
身内の方が亡くなられた際、最初に行われるのは「帰幽奉告(きゆうほうこく)」です。ご遺族は訃報を知らされたらご自宅の神棚や祖霊舎(それいしゃ、先祖をまつる祭壇)に報告し、これらに死のけがれが及ぶのを避けるため扉を閉めて白い半紙で封じます。
次は、ご遺体を北枕に安置する「枕直しの儀」です。故人に白小袖を着せ、守り刀を胸の上に置きます。かたわらに、小案(小さな台)も設けます。お供えするものは、米や酒、故人が生前に好んだ食べ物などです。守り刀は、小案に配置する場合もあります。一通り済むと、「納棺の儀」です。ご遺体を納め、しめ縄や紙垂(しで)を棺にめぐらせ装飾します。
神葬祭1日目
神葬祭1日目には、「通夜祭」と「遷霊祭(せんれいさい)」が営まれます。通夜祭は、仏教の通夜にあたる儀式です。神職が祭詞(祝詞)を読み上げ、参列者は玉串を「奉奠(ほうてん)」します。
玉串奉奠の折には玉串を両手で受け取り、遺族に一礼して下さい。玉串は、正面に立てる感じでもちます。祭壇に置く時、時計回りに回転させ根本を祭壇に向けます。玉串を捧げ、二礼、二拍手、一礼です。拍手はしのび手で打ち、音は立てません。数歩下がり、遺族に一礼を済ませ元の位置に戻ります。
遷霊祭では、故人の御霊をご遺体から霊璽(れいじ)に移します。霊璽は、仏教でいえば位牌です。「御霊移し(みたまうつし)」とも呼ばれ、部屋の明かりが消されるなか御霊は神職により移されます。
神葬祭2日目
神葬祭2日目に営まれるのは、葬場祭、火葬祭、埋葬祭、帰家祭です。葬場祭(仏教の葬儀や告別式に相当)では弔辞奉呈、弔電奉読、祭詞奏上、玉串奉奠などを行い、火葬場での火葬祭へ続きます。火葬祭は故人とお別れする時間であり、ここでも祭詞奏上と玉串奉奠が行われます。
かつては火葬後にすぐ埋葬祭を済ませましたが、現在は忌明けの五十日祭を目安に納骨するケースが少なくありません。いずれの場合も、帰宅したら「帰家祭」です。玄関口で塩や手水により身を清めてから家に入り、無事に神葬祭が終わった旨を霊前に報告します。
準備するもの
神葬祭に参列する場合、準備するものは「御玉串料(おたまぐしりょう)」(仏葬の香典)です。神式の不祝儀袋(香典袋)に納め、渡します。
不祝儀袋の種類と表書きのマナー
不祝儀袋には、宗教や宗派によってさまざまな種類があります。蓮の花や百合の花の入ったものは、避けて下さい。蓮の花は仏式、百合の花にはキリスト教の意味合いがあるため、神式にはふさわしくありません。水引は黒白か双銀を選び、結び切りの形で用意します。
神式の表書きには、「御玉串料」のほかに「御榊料(おさかきりょう)」や「御神前(ごしんぜん)」があります。さまざまな宗教に使える「御霊前(ごれいぜん)」と記載しても、問題ありません。
不祝儀袋に文字を書く際は、薄墨を用いるのが正式といわれています。理由としては、涙で墨がにじんだことを示せるためとも、うまく墨をすれないほどの悲しい気持ちを表せるためとも伝えられています。
いまや古くからの伝統文化は姿を消しつつあり、薄墨にこだわる必要はありません。普通の墨やボールペンなどを使ってかまいません。ただし、達筆でなくても丁寧に書くよう心がけましょう。
不祝儀袋に包む金額の相場
不祝儀袋に包む金額は、一般的に故人との関係性、自分の年齢や立場によって相場が異なります。宗教・宗派によって、いくら包むか定められているわけではありません。相場金額は次の通りに考えられています。祖父母が亡くなった場合、20代は1万円、30代は1~3万円、40代以降なら3~5万円です。両親が亡くなった際には、20代でも3~10万円、30代以降であれば5~10万円を包みます。
故人が親しかった友人や知人の場合には、年代を問わず5,000円前後が相場です。30代以降になると、1万円ほど包む場合も少なくありません。
勤務先の方の葬式では、20代が5,000円、30代が5~1万円、それ以降は1万円からになるケースが多く見られます。上司の身内や同僚の葬儀の場合も大きく変わりません。職場の代表者がまとめて集めることもあるので、具体的な用意の仕方に関しては会社の方針にしたがって下さい。なお、数珠の使用は控える必要があります。本来、僧侶が読んだお経の数を確認するためのものであり、神式には適しません。
当日の服装や注意したい言葉遣い
神式の葬儀でも、当日の服装は仏式と同じく通常の喪服で大丈夫です。わざわざ、特別な衣類をあつらえる必要はありません。
通夜と葬儀の服装
通夜は、急いで参列することになる場合もあるので略礼服が主流です。たいていは黒、濃紺、グレーのダークスーツや、地味な色のスーツを着用します。喪服を用意できなくても、ツヤのない落ち着いた色調を選べば失礼になりません。
葬儀では、礼服を身に付けるのが基本です。礼服用のブラックスーツやワンピースなどは、あらかじめ一式用意しておきましょう。ネクタイや靴下、靴などの小物も黒で統一します。所持品はポケットに入れてバッグを持たないか、黒無地の布製や光沢のない合皮製バッグを使いましょう。髪の毛が長い場合は目立たない色のヘアゴムで耳より下にまとめます。肌の露出も控えましょう。
アクセサリーや小物類のマナー
アクセサリーは、最小限にとどめるのがマナーです。結婚指輪以外のアクセサリーは一通り外しましょう。ネックレスをつける場合は、一連のパールネックレスが無難です。靴やバッグに余計な飾りがついているのは、派手なデザインと受け取られ望ましくありません。できるだけ、金具などがないものを選んで下さい。素材は、ベルトまで含め殺生を連想させる動物皮が使われていないものにしましょう。
ハンカチは無地の白か黒、ふくさは寒色系のものを使うと好印象が与えられます。また、時間を気にしていると思われないために、時計も外しておくほうが良いとされています。
参列時に注意したい言葉遣い
神道は、仏教に限らず他の宗教と死生観が異なります。神式では、「亡くなられた方を先祖とともに家の守り神として奉る」ために葬儀を営みます。葬儀の意味合いが仏式と同じではないため、参列時の言葉遣いにも注意しなければいけません。
遺族に言葉をかける時、神道では「御霊のご平安をお祈りいたします」と挨拶します。仏教のお葬式でよく聞かれる「ご冥福をお祈りします」は、神式の考え方に合わない表現です。「成仏」や「供養」も適切ではないため、気をつける必要があります。「重ね重ね」は不幸の連続を思わせ「生きていた頃は」は生死を強く実感させる言い回しと見なされるため、神式や仏式を問わず葬儀の場では使用を控えましょう。
神道は、死生観から葬儀の意味、流れなど、ほかの宗教との違いが多々あります。服装は一般的な喪服でかまいませんが、不祝儀袋の形式や葬儀場での言葉遣いには注意が必要です。葬儀に参列する際には、悲しみに沈む遺族に不快な思いを抱かせないためにも、マナーをきちんと心得ておきましょう。
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