ビジネスでいきるフレーミング効果
更新日:2023.02.24ビジネス豆知識ビジネスにおいて相手に与える印象はとても大切です。表現の仕方や見せ方の違いで相手に与えたい印象や評価をコントロールすることができればビジネスだけでなくプライベートでも役に立ちます。本質が同じものでも、表現の仕方や見せ方の違いで相手に与える印象や意思決定が変わる効果がフレーミング効果です。今回はフレーミング効果について紹介します。
「フレーミング効果」
フレーミング効果(Framing effect)は心理作用のひとつです。全く同じ内容なのに、表現の仕方や見せ方の違いで相手に与える印象や意思決定が変わる心理効果のことです。1981年にプロスペクト理論などで知られる行動経済学者のダニエル・カーネマン氏と心理学者のエイモス・トヴェルスキー氏が共同研究の末に発表しました。
人は何か物事を解釈する際に、それぞれのフレーム(枠組み)を通して解釈しています。コップ半分の水が入ったコップを見て、半分しか入っていないと感じるのか、まだ半分も残っていると感じるのかは、人によってその時の喉の渇き具合によって変化します。表現の仕方によって捉えられ方が変化します。
このように人は無意識の内にそれぞれのフレームで判断します。感覚的になんだかこちらの方が良さそうと判断しています。ものは言いようと表現されることもある心理効果です。フレーミング効果が発生するのは、人が絶対評価ではなく相対評価をしてしまう傾向にあるからです。
「この商品よりもあの商品の方が優れている」や「この人よりもあの人の方がカッコいい」などです。この思考パターンがフレーミング効果を発生させているのです。しかし、この傾向を知って上手にフレーミング効果を活用することができたら、ビジネスでもプライベートでも相手に与える印象や評価をコントロールすることが可能になります。
フレーミング効果の例
(1)成功率が9割の手術
(2)100人手術して10人は失敗する手術
全く同じ内容なのですが、成功を基準においた説明の(1)を選択する人が多いです。失敗を基準においた説明の(2)はなんだか不安に感じます。
(1)今まで生きてきて付き合ったことがある恋人はひとりだけ
(2)人生でひとりしか恋人がいない
これもどちらも同じことを言っていますが、①の方が良い印象です。おまけに付き合った期間も分からないのに誠実なイメージを持ってしまいがちです。逆に(2)の方はモテないのだなと感じてしまいます。表現方法を変えるだけで相手に与える印象が変わります。
(1)満足度が95%のサービス
(2)不満度が5%のサービス
どちらのサービスを受けても同じなのに、(1)の方がなんだか良いように感じてしまいます。表現の仕方で相手の受け取り方が変化する分かりやすい例です。
(1)高速道路で1時間15分
(2)高速道路で75分
どちらも同じ時間ですが、(2)の方が時間のお得感を感じることができます。
(1)年間36500円の保険をお守りとしていかがでしょうか
(2)1日100円の保険をお守りとしていかがでしょうか
同じ金額でも1日当たりの金額にフォーカスすることでお得に感じることができます。(2)の方が契約してもらいやすいでしょう。更によりお得を表現するには、人は割引や半額よりも無料が好きな人が多いです。
(1)50%OFF
(2)2つ買えば1つ無料
50%OFFも魅力ですが、(2)の2つ買えば1つ無料の方がお得感が増します。
(1)100人全員2%引き
(2)100人に1人無料
100人全員2%引きよりも、(2)の100人に1人無料の方が宣伝効果は高くなります。
フレーミング効果を利用したマーケティング例
フレーミング効果はマーケティングにおいて非常に有効な手法です。マーケティングしたい商品によって表現の仕方が違いますので推進商品と予防商品に分けて紹介します。
推進商品
多くの推進商品はポジティブな要素を全面に出して訴求するのが良いです。ポジティブフレーミングとも言われます。栄養ドリンクの宣伝を例に紹介します。
(1)タウリン2g配合の栄養ドリンク
(2)タウリン2000mg配合の栄養ドリンク
どちらも同じ量のタウリンが配合されていますが、(2)のタウリン2000mg配合の栄養ドリンクの方が多く配合されているように感じます。このように表現の仕方を工夫することで商品の印象が変わり宣伝効果も大きくアップします。推進商品の場合はネガティブな要素をできるだけ小さく扱いましょう。もうひとつ牛挽肉の例を紹介します。
(1)赤身75%
(2)脂身25%
どちらも同じなのに、(1)の赤身75%の方が良さそうに感じます。ポジティブに訴求する方が説得しやすくなります。
予防商品
悪いことを予防するための商品や薬などの商品の場合は、ネガティブな要素を訴求するのが良いです。予防商品は損をしたくないという気持ちに訴える方が説得しやすいです。ネガティブフレーミングとも言われます。
防犯対策の宣伝を例に紹介します。
(1)今回の防犯対策では、50%の人が安心できます。
(2)何も防犯対策をしなければ、50%の人が危険なままです。
どちらも同じですが、損をしたくないという気持ちを揺り動かされるのは(2)の何もしない防犯対策の方が危険な状態であると感じます。人は損をしたくないという感覚の方が強いので、ネガティブな言い回しにすることで強く訴求することができます。そうすることで、問題意識の低い人にも注目されやすくなります。もうひとつ健康診断の例を紹介します。
(1)健康診断を受診すると、癌の早期発見につながります。
(2)健康診断を受診しなければ、癌の早期発見ができなくなります。
ネガティブに訴求している(2)の方が注目されやすいです。
フレーミング効果について紹介しました。表現の仕方や見せ方の違いで相手に与える印象や意思決定が変わる効果がフレーミング効果です。フレーミング効果を上手く活用すれば、ビジネスだけでなくプライベートでも役に立ちます。
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