働き方改革で管理職の仕事が増えた?

2020.01.09ビジネス豆知識
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近年、企業内における働き方改革が注目を集めており、実際に働き方改革関連法案が順次施行されています。しかし、それと同時に問題視されているのが「管理職の仕事負担増」です。働き方改革によって管理職の負担が増加してしまう理由には何があるのでしょうか。今回は、さまざまなデータや各機関が行っているアンケートをもとに、管理職の仕事量の変化や適切な改革方法についてお伝えします。

働き方改革

 

働き方改革に伴う管理職の仕事量の変化について

働き方改革関連法案とは、労働基準法をはじめとした労働者の働き方に関わる法案の改正のことで、2018年6月29日に成立しました。急激な少子高齢化によって生産年齢人口(15~64歳)が減少しており、その対策が急務となっています。そこで、「長時間労働の解消」「正規・非正規雇用の格差是正」「高齢者の就労促進」など、多くの方が安心して働ける様な制度が盛り込まれました。2019年4月1日より、順次施行されています。

しかし、働き方改革関連法案の整備が進むなかで、当初から懸念されていた点がひとつあります。それが「管理職の負担増」です。働き方改革の中心が非管理職の業務量の削減に向けられていること、高度プロフェッショナル制度や人事管理の手間によって管理職の仕事量が増加するのでは、といわれていたのです。そして、今それが現実になろうとしています。以下では、さまざまなデータから働き方改革による管理職の仕事量の変化について確認します。

 

働き方改革の進み具合と仕事量の変化

まずは、パーソル総研の行ったアンケートをもとに、働き方改革の進み具合と管理職の仕事量の変化を確認します。このアンケートでは、「自社の働き方が進んでいるか」という質問に対して管理職が「Yes」か「No」で回答。その後、自身の業務量について尋ね、働き方改革と管理職の仕事量の変化を確認しています。アンケートの結果は、以下の通りになりました。

 

[働き方改革が進んでいる]

◼️管理職の業務量が増加した・・・62.1%
◼️組織の業務量が増加した・・・69.0%
◼️人手不足を感じている・・・65.7%

 

[働き方改革が進んでいない]

◼️管理職の業務量が増加した・・・48.2%
◼️組織の業務量が増加した・・・36.3%
◼️人手不足を感じている・・・44.2%

 

※参考:#SHIFT「働き方改革進む会社ほど管理職は「仕事増えた」6割が回答」(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/04/news030.html

 

調査結果を見ると、働き方改革の進んでいる会社の管理職ほど業務量の増加を感じており、組織全体としても仕事量が増えている様です。これは、前述の通り働き方改革の目的が、非管理職に関する点に集中してしまっているためでしょう。

 

管理職の残業

また、リクルートスタッフィングが9月30日に発表した調査結果によって、管理職の残業の実態も明らかになりました。

 

[働き方改革関連法案施行以降の残業時間の変化]

◼️とても増えた・・・3.6%
◼️やや増えた・・・9.2%
◼️変わらない・・・61.2%
◼️やや減った・・・22.1%
◼️とても減った・・・3.9%

 

[部下の残業時間削減のために、自身の仕事量が増えていると感じるか]

◼️とても感じる・・・9.7%
◼️やや感じる・・・24.5%
◼️変わらない・・・52.4%
◼️あまり感じない・・・11.2%
◼️まったく感じない・・・2.2%

※#SHIFT「中間管理職の7割「残業時間減っていない」”身代わり残業”で「仕事量増」も3割」(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1909/30/news085.html

 

上記のアンケート結果を見ると、働き方改革関連法が管理職の残業時間削減にはあまり役立っていないこと、その原因が部下の残業時間削減にあると感じている方が一定数いることが分かります。

 

管理職の負担を理解していない人事

働き方改革が進んでいるにもかかわらず、管理職の負担があまり軽減されていないのは、改革を先導する人事と管理職の間で認識のズレがあるためかもしれません。「中間管理職が抱える業務上の課題」という質問に対して、管理職本人と人事担当者の回答上位3項目では、以下の様な違いがありました。

 

[管理職]

◼️1位・・・人手不足
◼️2位・・・後任者の不在
◼️3位・・・自身の業務量の増加

 

[人事]

◼️1位・・・働き方改革への対応増加
◼️2位・・・ハラスメントの対応増加
◼️3位・・・コンプライアンスの対応増加

※#SHIFT「働き方改革進む会社ほど管理職は「仕事増えた」6割が回答」(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/04/news030_2.html

 

両者では現場への認識に大きな差異があることが分かります。また、「中間管理職を支援しているか」という質問に対して、人事担当者の24%が「特に行っていない」と回答しています。負担の増加を感じている管理職のフォローができていない現実がある様です。

 

 

なぜ働き方改革が進むと管理職の負担が増えるのか

ここまで働き方改革と管理職の負担増加との関連性について説明してきましたが、そもそもなぜ働き方改革が進むと管理職が増えるのでしょうか。ここでは、管理職の負担増加に繋がっているふたつの理由についてご紹介します。

 

高度プロフェッショナル制度の創設

最初に考えられるのが、働き方改革関連法の整備によって創設された「高度プロフェッショナル制度」です。高度プロフェッショナル制度は、働きによって得た成果で報酬を決める制度です。この制度が適用される労働者には、労働時間や割増賃金など「労働時間に関する規定」が適用されません。

高度プロフェッショナル制度の対象者かどうかは、さまざまな要件から決められますが、管理職になるほどその確率は高まります。そのため、管理職の仕事量が増える可能性があるのです。

 

人事管理の手間増大

今回の働き方改革関連法案の整備では、有給休暇の取得や残業時間の管理なども設けられています。その結果、部下の勤務状況を正確に管理する必要が出てきたため、今までにはなかった事務管理の手間が増えています。

部下の仕事状況を管理するのも上司の仕事とはいえ、負担が増えることに違いはありません。

 

 

管理職の負担を軽減するためにどうすべきか

長年にわたって会社に従事してきた管理職は、会社にとっても大きな戦力のはずです。一般社員だけでなく、管理職にも働きやすい環境を整える必要があります。以下では、管理職の負担軽減のために実践すべきことをご紹介します。

 

アウトソーシングの活用

現在管理職が行っている勤怠管理や従業員の勤務状況の把握などは、アウトソーシングの活用で負担を減らせる可能性があります。管理職が行う必要のない細かな作業や、煩雑な事務手続きは外注化を検討しても良いかもしれません。

 

社員の裁量権拡大

従業員の裁量権が狭い結果、管理職の負担が増大している可能性もあります。各々で判断したほうが都合が良いにもかかわらず、毎回管理職の判断を仰いでいるケースも少なくありません。

経営判断や業務上の重大な判断と関係のない部分は、ある程度社員に裁量権を与え重要な部分のみを管理職が請け負うことで、管理職の負担を大きく軽減できるはずです。

 

業務のムリ・ムラ・ムダの排除

管理職が普段行っている業務には、「ムリ・ムラ・ムダ」なものがあるはずです。業務に関係のない作業や煩雑な業務など、必要のないことに時間を取られている方も珍しくありません。管理職の負担を減らすには、「ムリ・ムラ・ムダ」な業務を減らすことから始めましょう。

 

働き方改革を進め従業員の労働環境が整備されるのはすばらしいことですが、管理職の負担が増加していることを忘れてはいけません。会社をさらに大きくし、新たな管理職の担い手を生み出すためには、一般社員だけでなく管理職の労働環境にも目を配りましょう。管理職の負担軽減のためには、経営陣のサポートが必要不可欠です。

 

参考:

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1909/30/news085.html

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/04/news030.html

働き方改革 管理職の負担が増える?勤怠管理について徹底解説!

 

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