登記とどう違うの?土地の情報、地籍

2016.12.15スタッフブログ
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土地の登記についてどう考えるべきか

地籍、という言葉があります。これは登記に近い言葉ではあります。しかし、地籍は国公有地を含む土地についての過去から現在に至るまでの、あらゆる情報のことを意味しています。一方、登記という言葉は土地に関する権利についての記録です。不動産の表示に関する制度としての登記は、国民の権利を守る最小限の制度という性質があるので、地籍とは違う意味合いを持つ言葉となっています。

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日本書紀にまで遡れる地籍

歴史の授業で必ず習った大化の改新の頃。農地の支給や収容に関する班田収授の法が施工された頃に地籍という言葉があり、貢租、つまり税を徴収する目的で使われたもので、今で言う登記と同じ扱いでした。鎌倉や江戸時代にかけても、課税する土地の調査という名目で検地が行われて、これも収穫高から年貢の量を決めるためのものでした。この様に古い言葉ではあっても、土地の位置や形状、面積などを調査するといった意味を持つのは、比較的近代になってからのことでした。

税収に重きを置く土地情報とは別物の土地情報

明治に入ると、地籍編成事業というそのものの名前を持つ事業が起こります。これの目的は、民有地だけではなく、官有地も含めて調査して地図を作ることにありました。地租改正事業と重なったため、そちらで作製された改租地引絵図を基にして作製されたようです。この時に、課税される土地である民営地以外も調査するという、今までの土地調査とは明確に違う事をするという意味で、地籍という言葉が使われたと言われています。

その後、地籍という言葉が歴史上ではっきりと現れるのは、明治21年。松方正義が起草したという地籍条例案になります。ここで書かれた内容は、要約すると「地籍とは土地の面積を正確に図り、所有者を明確にしたもので、税や財政の基準としてだけではなく、国家の力の及ぶ範囲を定める大事な要因だ」といったものになります。歴史上の土地の扱いがあくまで税を決めるために行われてきた面が強かったのに対し、明確に面積や国土としての数値を意識したものになっています。

地図が大きく変わる可能性

2014年、国際測量者連盟がこの地籍についての意見を提唱しています。それに基づくなら、地籍という言葉は正確な地図を制作するだけでなく、官民問わずにすべての土地を網羅した情報という事になります。また、その使用目的が多種多様であるために、その利活用についても十分に考慮された情報だとしています。

誤解を恐れずに言えば、正確な地図にリンクされ登記まで含んだ土地に関するデジタルデータという扱いになります。これは地理情報システムを念頭に置いたものだと考えられますが、これが実現していけば「紙と鉛筆による地籍や登記はなくなる」「台帳的な地図はなくなり、モデリング地図の時代が来る」といった言葉も、SFの話ではなくなるのかもしれません。

土地にとっての戸籍?

余談に近い話になりますが、人にとっての戸籍と同じ様な意味合いで地籍という言葉を使うこともあるそうです。この場合だと、土地登記情報やそれ以前の土地台帳、それに付随する図面類などを含む、土地がどの様に変わってきたかといった沿革に関する情報も総べたものとして扱われています。

日本語は似たような意味の言葉がたくさんあって、でも少しだけ意味が違うというものがほとんどです。その小さな差を理解して言葉を組み立てるのが、日本語の複雑で綺麗なところなのかもしれません。この地籍という言葉も、単語の説明としては登記と大差ないものでしたが、歴史上での扱われ方では、明確に別物としての扱いを受けていることが分かります。近年ではまるでSFで使われるような、立体的なモデリング地図さえ作れるデジタルデータを指す言葉、とも受け取れる使われ方をしています。最初に地籍という言葉を作った人も、よもやこんな使われ方をするとは夢にも思わなかったでしょう。

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