株主総会のルールや決定プロセスについて

更新日:2022.05.09スタッフブログ

招集された株主総会

株主総会は、株式会社の運営と深く関わっている非常に重要な機関です。具体的な内容について聞かれると、うまく説明できない人も少なくないかもしれません。今回は、株主総会の概要や株主の権利、また株主総会で決定される項目や決め方の種類について解説します

株主総会の具体的な内容とは?

株主総会とは?

株主総会とは、株式会社の基本的な運営方針などを決定する機関のひとつ。構成員は株主です。ニュースなどで耳にする機会の多い、一般的な上場企業の場合、株主総会は開催時期を基準にして大きく「定時株主総会」と「臨時株主総会」のふたつに分類されます。

定時株主総会は、会社法により定期的な招集が義務付けられているものです。日本では事業年度末の決算日を基準にして、3カ月以内が有効期限と定められています。国内の株式会社は3月決算である場合が多く、定時株主総会はそこから3カ月以内の6月後半に集中するケースが一般的です。それに対し臨時株主総会は、必要に応じて臨時に招集されます。開催時期や回数についての規定は特にありません。

株主総会を招集する時は、会社から株主のもとに招集通知が届きます。この通知により総会の開催日時と会場が分かり、そこで決議される項目も確認できます。直前に送られると株主はきちんと準備できない恐れがあるので、招集通知は開催日の2週間前までには発送しなければいけない決まりになっています。

株主の権利について

株主が所有する権利は、大きく分けて「自益権」と「共益権」の2種類です。これらは総称して、「株主権」と呼ばれます。
自益権とは、株主個人の利益に関わる権利です。「剰余金配当請求権」と「残余財産分配請求権」は代表的な権利であり、前者を行使すると株主は出資している会社から配当金を受け取れます。配当金が分配される割合は株主の持ち株数によって異なり、実際の配当金額は会社の売り上げに左右されます。後者は、会社が解散した場合に適用される権利です。解散時に会社が所持している資産はまず債権者への返済に使われますが、その残りは持ち株数に応じて株主に分配されます。

共益権とは株主全体の利害を左右する権利であり、株主総会における「議決権(投票権)」は代表例のひとつです。持ち株数の多い株主は投票数も増えるので、それだけ会社経営に与える影響力も大きくなります。また、この権利は「単独株主権」と「少数株主権」に分けられます。前者は1株だけ出資している株主でも行使できますが、後者は一定数の株式を所持していないと行使できません。
株主は配当金などにより会社から経済的な利益を受け取る権利だけでなく、より多くの利益を得るため会社経営に参加する権利も与えられているわけです。

株主総会で決まること

株主総会では、会社経営に関わる基本事項や役員人事など、株主および株式会社にとって重要な議題について決議されます

議題を決議するための投票箱

会社経営に関わる基本事項とは、具体的に挙げると「定款の変更」「事業譲渡」「合併などの組織再編行為」「解散」などになります。定款は会社の根本を左右する基本ルールであり、株主総会での決議は欠かせません。その他の項目も会社組織のシステムを大幅に変更する案件であるため、株主の同意が求められるわけです。
役員人事では、会社の取締役や監査役を選びます。制度的にみれば、株主は株式の所有者であり実際の会社経営は取締役が担当しています。役員人事によって誰に会社の経営を委ねるかが決まるので会社にとっては非常に重要であり、株主の承認は不可欠です。

株主総会では、さらに剰余金の配当や役員報酬についても決められます。配当金額は株主の利害に直接影響し、役員報酬の決定は会社役員に任せると不当に高額設定される恐れがあります。そのため、これらの問題についても株主の意向を聞かないわけにはいきません。
いずれも会社だけでなく株主の利益に大きく関わるため、株主総会によって決められるのです。

決め方

株主総会の決議は、「資本多数決」です。株主ひとりでなく、1株ごとに1議決権が割り当てられる仕組みであり、「1株1議決権の原則」と呼ばれています。持ち株数に応じて議決権も与えられるので、たくさん出資していると多数決での影響力は強くなるわけです。大口の株主には、それ相応の発言権が認められているシステムといえます。

基本的に、株主は株主総会に出席していないと議決権を行使できません。開催地が株主の居住地から近いとは限らず、同じ日にいくつかの会社が開催する場合もあります。いろいろな理由から、株主総会に出席できなくなるかもしれません。それでも議決権は株主の大切な権利であり、できるだけ行使してもらうため代理人に依頼する「代理行使」など例外措置が取られています。

株主総会の決議は、項目の重要度によって「普通決議」や「特別決議」など複数の種類があります。普通決議では剰余金の配当や役員報酬などが扱われ、出席した株主が持っている議決権のうち過半数に達すると可決です。一方、特別決議では定款の変更や合併が取り上げられ、議決権の3分の2まで賛同を得なければなりません。

決議に必要となる票数からは、配当金など個人の利益に関わる項目より、定款の変更など会社全体に影響する問題のほうが重視されていると理解できます。

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